倉石灯・中野博(2018)『なぜ、トヨタはテキサスに拠点を移したのか?』日本実業出版社
グローバルな変化の時代に、日本とアメリカ、トヨタ(豊田)と米国都市の産業・都市構造と比較してみると興味深い。しかし、プレイノの市民生活である交通、公園、図書館、人口、賃金、飲食店など暮らしぶりまでは書かれていない。できれば、調査をしてみたい。以下、本からの抜き書きであるが、( )内は筆者。
トヨタは、自動車業界を「100年に一度の大変革期」と位置付けている。
トヨタはカリフォルニア州のトーランス市から、テキサス州のプレイノ市に17年、oneToyotaを理由に移転した。プレイノ市は、全米で最も安全な都市ランキングの第1位。人口28万人、公立高校のレベルが高い、巨大モール、どの家からも歩いて15分以内に公園・パークシステムとQOLが高い。トヨタ効果は何か?
アメリカの人口は増加している。若者の人口も増えている。(日本も豊田市も減っている)テキサスメリットは、地理的な優位性と「優位な税制」をあげている。アメリカの住宅は木造が多い。日本では25年から30年であるが、アメリカは30年から75年である。アメリカはメンテナンスしながら、学校などの良い環境に住み替える。トランプが実行した政策は、TPP・NAFTA離脱,中国を「為替操作国」に指定など、と製造業の復活、投資の集中、「パリ協定」離脱、(「イラン核合意」離脱、INF廃棄条約執行など)。アメリカは法人税率を下げた。(日本も下げた、しかも、租税特別措置法で名目よりも実質的には低い。豊田市は企業立地奨励条例で助成。)テキサスは共和党の「小さな政府」、議会はパートタイム議員、予算は2年に1回の予算審議、年俸は7200ドル(約80万円)。
電気自動車、自動運転、ソフトバンクとの提携、さらにウーバーの「空飛ぶタクシー」、と未来予測は目まぐるしい。ウーバーは100万人の大都市を成長拠点。(豊田市は「未来都市研究会」を18年に発足)。アマゾンやグーグルが再生可能エネルギーへ転換しようとしているのには、近年の太陽光発電の導入コストが大きく低下し、発電コストが火力や原子力よりも低くなってきたことが背景にあるシェア文化が都市の生活スタイルを変えること、高速鉄道に接続する都市内交通システムをと整える必要(豊田市も名鉄三河線の複線化方針)。都市はITとAIによる高度なスマートシティ化が進み、スマートシティを再生可能エネルギー活用の高速鉄道がつないでいく。