豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

超入門・グローバル経済

2013-10-04 | 気になる本
浜 矩子(2013)『超入門・グローバル経済-「地球経済」解体新書』NHK出版新書
 株価、為替、財政赤字、景気などめまぐるしく変動する経済、それが地球規模で動き問題の所在を分かりやすく5つの視点で説明しています。著者の作品は幾つか読んでいるので、下地はあります。アベノミクスに真っ向から異論を唱える姿勢は小気味よく、数年後には彼女の発言が正しかったと、後悔の時期が来ると信じます。市場、通貨、金融、通商の4つに解体し、最後に総合的に政策を語るのは説得力があります。
 私は海外旅行に行く時は良く市場に行きます。生活用品や文化のベースが見られます。ここでは「いちば」、「しじょう」、「マーケット」の発達と違いを説明しています。今は「ヒトとモノが不在の市場」となり、「カネがヒトとモノから遊離して独り歩きするようになった」、そしてグローバル市場となったとしています。世界経済の変遷p50として世界経済、国際経済、現在のグローバル経済の3つに時代区分し、主要技術に蒸気機関、自動車、ITとし、基軸通貨はポンド、ドル、今は?とし、盟主はパックス・ブリタニカ(英)、パックス・アメリカーナ、今は誰でもないとしています。
 金本位制が崩れ、管理通貨制になりドルが基軸通貨でしたが、そのドルも財政危機で信用度も地に落ちています。アメリカ追従の日本の政治経済は、財政の崖やTPPなど大きなリスクを負っています。「日本の経済は、もはや輸出主導型成長の経済ではありません。日本は、今や資本輸出国です」。著者はユーロに対して、「幻想の単一通貨ユーロ」と否定的な見方をしています。さたに「ユーロはメルトダウンへ向かう」とまで言ってます。
 通貨について、日銀の黒田さんがアベノミクスの「大胆な金融緩和」を進めています。
政府が発行する新規国債は日銀がほとんど買取り(中央銀行がお金を刷って政府の赤字を補填する)で、ハイパーインフレにつながる恐れがあります。そうなれば国民のささやかな貯金も、数字の上では「元本保証」でも価値は吹っ飛びます。
 金融編では、日本国債の脆弱性を指摘しています。国の経済規模の2倍に達する財政の借金が有ります。安倍さんは借金を減らすどころか、公共事業をばらまいています。「低金利状態のもとでは、あまり健全性や安全性ばかりを追求していると、雀の涙ほどの金利も稼げない」。そこで、「やむなくハイリスクを承知でハイリターン商品に投資していくことになるわけです」。通商ではTPP問題で、「一国の特定の産業が活性化するか衰退するかといったレベルのテーマでは」無いとしています。会議は秘密主義で、「守るべきものは守」という首相の発言は怪しいものです。
 最後に政策編では、「国境を越えたヒト、モノ、カネの移動に振り回されています。企業は企業コストが最も低くて、利便性が最も高くて、行動が最も制約されず、そして税金を最も払わずに済む場所を求めて立地を動かします」。鎖国でもなく、地球国家でもなく黄金解は何か、「合意に基づく協調でしかあり得ないでしょう。」と、歯切れが悪く抽象的です。
G20の様子を見ても、自国通貨の切り下げは狙っても、ヘッジファンドの規制等あてになりません。世界同時不況はひたひたと近づいているような気がします。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする