フィリッピン、特にメトロマニラでは土地、住宅を所有せず、戦争の爪痕、政治の貧困、災害などを背景に、都市住民がスラムを形成している所が多くあります。バセコ地区もその一つで、土地所有は港湾局にあります。場所はイントラスムスという16世紀にスペインによって造られた、古い歴史地区に隣接しています。住民の不法居住(squatter)で形成されたスラムに、外部から様々なNGOや政府組織が関わり、居住の改善がされ、時には停滞、挫折しています。
この地区では大火災もあったり、追い出しがあったりしましたが、大統領布告により居住が認められ、いくつかの事業が取り組まれている成功例ともいえます。主な住民支援組織にGK(Gawad Kalingaタガログ語で手助けする意味)とUPAがあります。経過と相互の関連性については、木場紗綾(2010)「スラムの住民運動と外部者」論文で詳細に書かれています。写真1は整備が遅れている地区です。写真2は改善が進む地区です。最後の写真は海岸近くのごみ捨て場からビニールなど拾う人々です。