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融解連鎖

2010-05-28 | 気になる本
風間直樹(2010.1)『融解連鎖』東洋経済新報社
 サブタイトルは「日本の社会システムはどこまで崩れるか」です。前著「雇用融解」に続くもので、現場取材による力作です。雇用問題の追跡をⅠ部とし、Ⅱ部は居住、医療介護、地域社会、公共現場へと社会崩壊の連鎖を警鐘しています。最も根幹になる派遣法の改正案が、民主党の公約とずれて製造業への禁止は常用雇用が1年の有期は可で逃れられ、登録型も26業種が専門的ではありません。しかも、実施が3~5年先と問題はほとんど解決されません。著作が1月のためその点での見解がありませんが、現場労働者の視点、社会システムの維持の流れから危惧されていることは推察されます。弱い人たちは法律を知らなく、無権利状態に置かれています。現場の声を集めるのは容易ではなく、苦労がにじみ出ています。希望が見えてきたのは、反貧困の運動をすすめている宇都宮弁護士が日弁連の会長になったことです。民主党の支持率も下がり、派遣法の抜本改正を要求する共産党、社民党が参議院選挙で伸びるかどうかに関わります。ただ人気の出てきたみんなの党は、従来の「構造改革」路線と単純な公務員削減論しかないように思えます。
 特に私も関心のある住宅問題は、雇用と住居と生活保護は3点セットだと思います。第5章でハウジングプア、日本の住宅政策の貧困(市場任せ)を取り上げています。貧困ビジネスとして生活保護を受けさせて、ピンはねするという方法が横行しています。岡崎市でも発生し裁判となっています。公的住宅の新築が少ないことが根本問題です。民間賃貸は空室が多いので、入居の家賃補助をすればミスマッチがなくなります。廃止を決めていた雇用促進住宅の入居を認めたことは評価できますが、再就職の見込みのない人は入居が困難となっています。ワンストップの窓口相談でなく、政策の連携が行政で出来ていないことに問題があります。現場で対応している自治体の生活保護課、社会福祉協議会、労金、住宅課、産業労政課、ハローワーク、労基署などの実務レベルの論点整理が必要です。公務員の人件費削減を優先するのではなく、制度設計の改善を住民参加で公開討論すべきだと思います。(写真は久しぶりのデンパークです。土曜日でも人があまりいませんでした。)
コメント (1)
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