豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

「国土計画を考える」

2005-12-30 | 気になる本
本間義人「国土計画を考える」中公新書、1998年
 05年7月に国土形成計画法が制定されました。国家財政が破綻している中で、新しい国土計画を策定するためです。それでは今までの国土計画、開発路線はどうであったでしょうか。この本では一全総から五全総までを概観し、あるべき国土計画のあり方を提案しています。「国土計画なるものはもはや必要ない」ということで、「公共事業計画も、地方がつくる」としています。市の総合計画は全総計画など上位計画の制約を受けてきました。自治体の自己決定権が拡大すると、政策立案能力が重要になります。
 地域創造計画の基本としての提案(「まちづくりの思想」)をしています。それは、1 人権が保証、2 地域の産業で生活しうる共同体、3 グリーンフィールドの完全保護、4 個性ある地域、5 裏通りに重点を置くこと(下水道率、生活道路面積、都市公園率といった数量の低さ)。「5つの目標は市民生活のすべてに関わりあう故に、これが実現してこそ、豊かさが実感として保障される」と述べています。
 さらに、望ましい国土像を数値化すると、1 森林率、緑被率が高く、1次産業が成り立つ、2 住宅、上下水道、公園、義務教育施設、福祉施設などが整備、3 社会的サービスが享受、4 社会的保障制度が約束、所得や富の配分の不平等がなくなるなどです。
 (写真はセンダンの実で、ムクドリがたまに食べます)
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旧足助町の内発的観光まちづくり

2005-12-30 | 都市計画・まちづくり
 年間観光客は96年の232万人をピークに、05年は195万人と減少傾向にあります。三州足助屋敷も入場者数が96年18万人から02年の10万人へと半減しました。三州足助屋敷と百年草は三セクの足助公社となりました。小澤氏は足助観光協会会長兼足助公社社長です。「資本投下の継続は不要な観光地、豊田の通勤圏だから1反農業を週末で行い過疎化に歯止め」(05・9・28、中日新聞)がかけられると述べています。耕作地放棄が合併6町村の中で最も多く、23.2%となっています。グリーンツーリズムの取り組みも行なわれていますが「過疎化に歯止め」がかかるのか、「定常型社会」とどう向き合うのかが課題となります。
「足助町観光協会」の青年部とOBなど有志のAT21(Asuke Tourism)が1993年に発足し、街道雛など住民主体のイベントを展開しました。観客動員数5万人で、02年「中馬のおひなさん」はふるさとイベント大賞の部門賞を受賞しました。02年より始めた「たんころりん」は8月に、足助の街でちょうちんに灯を燈す行事です。灯芯が入っている皿が、昔はひょうたんでよく転んだことから、ひょうたんころりんが短くなったものです。
 人口が1万人を切って高齢化が進む中、地方交付税はカットされるし、合併しても観光は「自律」できるとトップが判断したと思われます。合併を決めるに当って、「自立プラン」も示されず、住民投票も行なわれませんでした。住民サイドからも合併の是非をめぐる学習会やシンポジウムはほとんどありませんでした。足助の観光まちづくりが住民参加はあっても、住民自治形成までにはなっていなかったのでしょうか。
人口は02年に9,972人で、高齢化率29.8%(04年)です。人口の減少にHOPE計画、住宅誘致のニコニコ作戦を展開してきました。産業としては林業の荒廃があり、豊田市へ通勤・通学する者は人口の17%です。財政事情は財政力指数(H15年度)が0.39、歳出決算額68億円です。矢澤前町長は支所長となり、支所行政職員106人から50人に削減され、今後さらに削減されます。予算、職員、議員が削減された状況下の「都市内分権」は自治の後退です。職員参加の地域づくり計画は「地域自治区」(地域会議)に受け継がれます。地域会議は無報酬で月1回程度開かれています。3人の公募委員は2人しか応募がなく、定員20人が19人となっています。専門の自治体職員が縮小されていくと、集落単位で作られたシャングリラ計画もやがては消滅するのではないでしょうか。
 「あすけ振興計画」(04・3)では、「都市と山村の壁が取り除かれる」とあります。クルマ社会、情報社会で生活スタイルに違いは少なくなったが、地域経済(工業と農業)の「都市」(自治体)内格差はなくなりません。国の社会資本投資が大都市中心であっては、「観光立国」として自立した農山村の生活・文化は維持が困難となります。都市と農村の共生とは何か、農村は効率では都市社会には勝てません。農山村の環境保全の意義を理解し、農村の生活が維持できる保障を公的に実現しないとできないと思います。「合併してよくなったのはゴミ袋が安くなっただけ」と、言われないよう注目していきたいです。
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