Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「ソーセージパーティー」

2016年11月06日 14時18分36秒 | 映画(2016)
悪趣味で幼稚なボクらのために。


北米のBox Officeのチャートを見ていていちばん気になるのが、想定外のヒットという類の作品である。

大作やシリーズものばかりが目に付くようになって久しいが、時々紛れ込んでくるサプライズヒットは掘り出し物の予感が漂っていて日本公開が楽しみになる(もちろんDVDスルーという悲劇もあるが)。

今年の夏、「スーサイドスクワッド」には及ばなかったものの異例のヒットとなったのが、ソーセージを主役にした異色のアニメ「ソーセージパーティー」であった。

1本のソーセージくんがアップになったなんとも脱力なポスターと、そこに掲げられている声優陣の豪華さのギャップに興味を持っていたが、館数が超限定ながら劇場公開されることが分かったので、秋晴れの中六本木まで足を運んだ。

公開直後ということでもらった来場記念品は自由帳。表紙には「R15+子供は観ちゃダメ♡」の文字と、艶っぽいパンが笑顔のソーセージを自分の中に挟みこんでいる画が載っていた。

薄々気付いてはいたけど、そういうことね。周りは当然前情報ありのオトナな方たちなのであろう。六本木の1番スクリーンはほぼ満員であった。

独立記念日前日。巨大スーパーの売り物すべてが生きていてしゃべったり争ったりしている世界の中で、特設売り場に並べられたソーセージのフランクとバンズのブレンダは、同じ人に買われて結ばれる運命を信じていた。

彼らにとって人間に買われることは神に選ばれること。スーパーの外では天国のような暮らしが待っているはずだった。

おもちゃに命を吹き込んだ「トイストーリー」シリーズに代表されるように、モノを主人公とするアニメには冒険と感動の名作が多いのだが、本作が明らかに真っ向から異なっているのは、その「天国」が意味するところである。

中に入れたいソーセージと、入ってもらいたいバンズ。他の食材もいろいろ出てくるが、彼らのこのモチベーションを核にして物語を構成しているから、基本的に全篇通して不道徳である。

不道徳も突き抜ければ怖くない。主役たちの前に立ち塞がる敵は、なんと、ビデ。

外国のホテルでそれ用らしい便器を見ることはあるが、日本人の男性にとっては意味不明の物体が大画面を堂々と行き来するシュールな画像となっていた。

望みどおり人間によって購入された食材たちが直面する現実。フランクは、古くから売り場に居付きすべてを知る保存食品から、人間に買われることは食べられることだという真実を明かされる。

そしてフランクたちは立ち上がる。自分たちの命を守るために個性豊かなキャラクターたちが入り乱れて奮闘する様子は、「トイストーリー」シリーズと比べても遜色ない立派な冒険譚に仕上がっている。

ギャグは当たり外れが激しくいかにもアメリカ。Meat Loafはやっぱりお笑いとして扱うのが似合っている。

そして迎える大団円。殺戮者である人間をとっちめて売り場を制圧したフランクたち率いる売り物たち。R15+がそこらじゅうに暴発する衝撃の映像が流れる。

最後はどう落とし前をつけるのかと思ったら、保存食品からまさかの二度めの告白。なんでもありの映画だからこそできる手法であり、バカばかりしていても押さえ方がスマートだったりするからアメリカは憎めない。

(85点)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「PK」 | トップ | 「この世界の片隅に」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画(2016)」カテゴリの最新記事