Con Gas, Sin Hielo

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「TSUNAMI -ツナミ-」

2010年10月02日 02時11分44秒 | 映画(2010)
フラグを押し流すほどのKのチカラ。


韓国がR.エメリッヒに挑戦状を叩きつけたような本作。

やっぱり相当おバカな話なのかなーと導入を観ると、治まりの悪いオーバーアクトに感情移入しづらいキャラクターが続出。

<超>日本語吹替版とやらで、登場人物の説明がいちいち字幕で出てくるのも含めて、やっぱりこれはIQが低い作品だわと思いながら観ていた。

地震観測においては、おそらくわが国に数歩も数十歩も遅れをとっているであろう韓国。大地震への備えを怠らないわが国に対し、おえらいさんが「日本はいつも大げさに捉える」と漏らす(このギャグのセンスは最高だ)。

研究者のジョーユー氏似の博士が一人危険が迫っていることを訴えるが、元妻も含め誰も聞く耳を持たない。

どう見てもありきたりな設定なのだが、こうしたちんたらとしたエピソードが後半の展開の意外性を際立たせるのだから、分からないものである。

かくして対馬(もちろん日本領!)付近を震源に巨大地震+津波が発生。映画的な規模とスピードで、緩急織り交ぜて半島へと迫ってくる。

これは批判ではない。最大の見せ場を前にして、時速数百kmでももったいぶるのは映画の見せ方としては当然である。

実際、津波は期待に応えて派手に押し寄せる。細い高層建築は折れ、道路を濁流が駆け抜け、倒れた電柱が溺れた人たちを感電させる様はなかなかの見どころとなっている。

ただ、案の定というか、意外なまでに誰も命を落とさない。本当の津波で人的被害がどう発生するか分からないので何とも言えないが、そのしぶとさに笑ってしまおうかと思ったときに、登場人物の運命が分かれ始めた。

結論を言ってしまおう。展開は普通じゃない。前半のエピソードの中で嫌がらせや憎まれ口をたたいた人物が生き残り、懸命に善を尽くしていた人間が波に飲み込まれていくのだ。

なんだこれは?気まぐれか?

しかし、主人公マンシクとヨニの幼馴染みの人物の顚末を見るかぎり、これはどうやら故意にそうしているのだとの結論に至る。

ヨニに決して言ってはならない秘密をばらし、母親にないがしろにする言葉を投げつけ、津波襲来時には煙草の火をタンカーに引火させ被害を拡大させるという失態を繰り返した彼は、思いもよらず救命行為の表彰を受ける。

しかし最後に彼が見せたのは涙であった。名誉では補いきれない悔い。

単なる生き延びるかどうかだけではない善悪の彼岸。アジア的か韓国的か、それとも監督の趣味か。重い悔恨を背負って生きることで裁きを下すところに新鮮味を感じた。

(70点)
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは。 (mezzotint)
2010-10-08 10:20:35
クラムさん
ご無沙汰しています。
TB&コメントありがとうございました!
「2012」を意識していますよね。
ハリウッドはやはり見せ方は上手いような
感じはするのですが、、、、。どうでしょう?
人物の顛末が、クラムさんの記事の見解
なかなか面白いですね。こんな風に捉えて
観るとまた違った面白さで鑑賞できるのかも
しれませんね。
返信する
ある意味邪道 (クラム)
2010-10-09 16:42:02
mezzotintさん、こんにちは。

「違った面白さ」は偶然の産物でして・・・。
理解できない感情や行動で登場人物に入りきれないでいたのですが、
まあディザスタームービーだから彼らの末路を楽しめばと切り換えたら今度は、
私の感覚ならすぱーんと退場させるキャラが意外としぶとい。

という感じでその周辺に固執してしまったようです。
ちなみに代表格はあの友人。
顔をかすめるようにコンテナが落ちてくる場面はコミックでもなかなかないかも。
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