無理ゲーの際を攻める。
2018年の公開時は、低予算のサプライズヒットだった「クワイエットプレイス」。続篇が作られるなど相当な稼ぎがあったのだろう。今回は、大都会ニューヨークを舞台に特殊撮影満載の大作として映画館に帰ってきた。
第1作の時点で既に世界が崩壊していたところ、そのきっかけとなった最初の日々、クリーチャーが地球へ襲来してきた時期を描く前日譚的な作品となっている。
最近よく見る前日譚、作られる割りには、その後の出来事が分かってしまっているだけに盛り上がらないことがよくある。しかし本作に関しては、パニックの規模が前作を遥かに上回るものとなることが容易に想像でき、ある意味まったく違う作品として期待が膨らんだ。
冒頭、ニューヨークの雑踏の音量が90デシベルであるという字幕が出る。何百万人が常に動き続ける街で音を出さないことがどれだけの無理ゲーであるか、この時点で映画のイントロとしては成功である。
さて、第1作では登場人物の出産という驚くべき無理要素を入れていたが、今回は大都会が舞台であることに加えて、主人公がホスピスに通う末期患者であることと、彼女がネコを肌身離さず連れていることを突っ込んできた。
赤ちゃんもそうだが、ネコも鳴くよね。本来であれば。しかしそこはきちんと乗り越える。演技も上手い素晴らしいネコである。代わりに、服が破れた音だけで襲われてしまうかわいそうな人がいるところは、相変わらずさじ加減が上手いクリーチャーである。
そういった苦言は多少ありながらも、ニューヨークの街で繰り広げられるクリーチャーと人間の戦いは非常におもしろく見られる(戦いと言っても人間は逃げるしかないのであるが)。自動車の防犯アラーム、公園の噴水、地下鉄の構内など、都会ならではのアイテムを駆使した攻防は見どころに溢れている。
そしてパニック映画の添え物でありながら結構重要な要素ともなる主人公のストーリーについても、それなりに作られていて白けさせない。ホスピスという設定が最後になって生きてくるところも加点要素である。
前日譚のもう一つのネックは、当該作に続く続篇が作りにくいことにあるが、この後本シリーズはどこへ向かうだろうか。
(80点)
2018年の公開時は、低予算のサプライズヒットだった「クワイエットプレイス」。続篇が作られるなど相当な稼ぎがあったのだろう。今回は、大都会ニューヨークを舞台に特殊撮影満載の大作として映画館に帰ってきた。
第1作の時点で既に世界が崩壊していたところ、そのきっかけとなった最初の日々、クリーチャーが地球へ襲来してきた時期を描く前日譚的な作品となっている。
最近よく見る前日譚、作られる割りには、その後の出来事が分かってしまっているだけに盛り上がらないことがよくある。しかし本作に関しては、パニックの規模が前作を遥かに上回るものとなることが容易に想像でき、ある意味まったく違う作品として期待が膨らんだ。
冒頭、ニューヨークの雑踏の音量が90デシベルであるという字幕が出る。何百万人が常に動き続ける街で音を出さないことがどれだけの無理ゲーであるか、この時点で映画のイントロとしては成功である。
さて、第1作では登場人物の出産という驚くべき無理要素を入れていたが、今回は大都会が舞台であることに加えて、主人公がホスピスに通う末期患者であることと、彼女がネコを肌身離さず連れていることを突っ込んできた。
赤ちゃんもそうだが、ネコも鳴くよね。本来であれば。しかしそこはきちんと乗り越える。演技も上手い素晴らしいネコである。代わりに、服が破れた音だけで襲われてしまうかわいそうな人がいるところは、相変わらずさじ加減が上手いクリーチャーである。
そういった苦言は多少ありながらも、ニューヨークの街で繰り広げられるクリーチャーと人間の戦いは非常におもしろく見られる(戦いと言っても人間は逃げるしかないのであるが)。自動車の防犯アラーム、公園の噴水、地下鉄の構内など、都会ならではのアイテムを駆使した攻防は見どころに溢れている。
そしてパニック映画の添え物でありながら結構重要な要素ともなる主人公のストーリーについても、それなりに作られていて白けさせない。ホスピスという設定が最後になって生きてくるところも加点要素である。
前日譚のもう一つのネックは、当該作に続く続篇が作りにくいことにあるが、この後本シリーズはどこへ向かうだろうか。
(80点)