Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「search/サーチ」

2018年12月09日 23時13分36秒 | 映画(2018)
武器がなくても父は闘う。


100%PCの画面の映像で展開する新しい映像体験、と宣伝されているが、僅か2年前の「アンフレンデッド」がなかったことにされているのはどういうことだろう。

観てみると2年分の進化もあるのか、テレビ映像も含めて動画の部分がかなり多いので、物理的な制約の中で努力している感はあまり見られない。

それより世の中の人たちはオンラインで会話するときに、自分の顔をPCの画面に出して話をするのだろうかとふと疑問に思った。

話はおもしろい。

高校生のマーゴットがある日突然姿を消す。父親のデビッドはPCに残された断片的なデータを元に娘の居場所を突き止めようとするが、マーゴットの知らなかった本質が明るみになり、安否の心配と真実に対する動揺でデビッドは追い詰められていく。

少し暴走気味になるものの、父親の誰よりも深く熱い愛情が事件解決の扉を開いていく展開は、同じ父親として勇気づけられる。

基本的にスリリングかつシリアスな空気でテンポよく話が進むが、マーゴットがよく使っていた生動画配信サイトをデビッドが強面の顔で試す場面など時折コミカルな描写を挟んだり、失踪事件がメディアに取り上げられた途端に群がり出すネット住民のあるあるを皮肉ったり、細部にまでしっかりと気を配った演出には非常に好感が持てる。

犯人探しのどんでん返しもきれいに決まった。全篇を通して完全な悪人が出てこないところも特徴かもしれない。

銃も出てこない。クスリは出てくるが、残念ながらこのくらいが米国の高校生の平均像ということだろう。

(80点)
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「ヘレディタリー/継承」

2018年12月09日 22時23分51秒 | 映画(2018)
正気と邪悪のあいまいな境界。


久しぶりの正統派オカルト映画と話題の本作。心の芯がじわじわと凍り付くような恐怖を期待していたのだが、実際に観てみると通り一遍で理解するのが難しい代物であった。

その最たる原因がミスリードだ。特に主人公の娘・チャーリーのオカルト要素全開な容姿に振り回された。

古くは「エクソシスト」から、悪魔が取りつくのは小さい女の子と相場は決まっている。加えて題名が「継承」である。祖母から邪悪なものを引き継いで後半で大暴れするのだろうと勝手に思い込んでしまっていた。

母親のアニーも序盤から半ば倒錯しているから、誰が真人間であって観客として寄り添っていけばいいのか判断が難しく、唯一間違いなく怪しいと分かったのは、アニーに接近する謎の女性・ジョーンくらいであった。

更に、頭に描かれた悪夢と現実の場面が時折入り混じることも混乱の一因となった。これは、怒涛の展開を見せるクライマックスを半信半疑で捉えざるを得ないという、致命的なマイナス点につながってしまった。

アニーがワイヤーで自傷する場面は、後から整理すればトラウマ級のものすごい画なのだが、彼女が何故壁に張り付いているのかがすとんと落ちず、前にもちらほら出ていた夢や幻想の類かと流してしまった。

息子のピーターのその後も、自分の理解が正解なのかどうか自信が持てないでいる。

苦悩や恐怖が表情から消え失せ、柔らかな音楽と光に包まれて歩を進めた先にいた出迎えの面々は、はっきりと判別はできないが、おそらく首から上はなかったのだろう。

完全なる継承。悪夢の完成。観終わってからいろいろなサイトで脳内補完をして、この映画の本質にようやく指が届いた気がした。

でも過去に名作と言われ伝説になったオカルト映画は分かりやすく恐怖を感じることができた。もう少し改善の余地はあったのではないか。

・・・と思っていたら、公式ホームページに「観た人限定完全解析ページ」なるものがあった。やっぱり映画としては不完全ということでしょう。

(70点)
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