「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

山梨リニア実験線視察

2012年07月11日 | リニア新幹線
 昨日は、大鹿村議会議員・事務局で山梨リニア実験線の視察に出かけた。村長も同行。既に行っている人も何人もいるけれども、まだの人もおり、やはり議会としてみんなで視察に行ってイメージを共有しようという話になった。私自身は昨年夏に行って以来。
 まずは山梨県立のリニア見学センターへ。前に行ったときは休館日だったので、今回は中を見ることができた。実験線先行区間の走行試験は昨年9月に終了していて、現在はここでは設備の更新工事が行われていた。延伸工事は来年度中に完了する予定で、その後、新型車両にて実用化仕様などの確認を行う走行試験が行われることになっている。でも、そうなると、来年秋に出される環境アセスの準備書には、そうした走行試験の結果が反映されないことになってしまう。





 これが超電導磁石。上に載っているのが液体ヘリウムのタンク。


 次に都留市大平の、平成9年にリニアのトンネル残土で谷を埋めて造成したという場所へ行く。広さ約8ヘクタール、55万立米の残土が運び込まれ、盛り土の高さは高いところで12メートルあるそうだ。


 以前はこの谷の真ん中に川が流れていたそうだが、今は山際を流れている。下の写真のガードレール左側。右側は造成地。田んぼになっているところが多いものの、リニア工事の近辺は遊休地も目立つ。大鹿村の急峻な地形の中に果たしてこのような埋め立てが可能な谷があるものだろうか?


 次に、去年も行った宮川橋梁。長さ130メートル。既に工事は完了していて、人もいなかった。明かり部分といっても、騒音対策のためにこういうコンクリートのフードで覆われているので、乗っている人にはトンネルと同じ。


 都留市から今度は笛吹市へ移動して、リニアの橋梁を一望できる花鳥展望台へ。去年は橋脚の工事中で、それぞれがまだつながっていなかったけれども、既に南アルプスに向かって一直線につながっていた。本当にすぐそばに民家がある。天竜川を渡るところの前後はこういう状況になる。


 最後に境川の土捨て場の横を通り、車内から見る。ここは広さ約22ヘクタール、付近の三つのトンネル分、約160万立米、東京ドーム1.3倍の残土が運び込まれていて、盛り土の高さは40メートルにもなるそうだ。ちなみにここは当初、宅地開発する計画だったらしいが頓挫して、いまだに活用策は決まっていない。トンネル掘削は終わったと前に報道されていたけれども、ダンプは次々にやってくる。これらのダンプはみんな、フロントガラスのところにリニアの工事車両であることが表示されている。また、工事現場付近には要所要所に警備員が配置され、交通整理を行っていた。


 初めて現場を見た議員たちも、みな工事の規模に目をみはり、小さな村の中が大変な状況になりそうなことを実感されたのではないかと思う。
 ちょうど今日の信濃毎日新聞にリニアの残土問題に関する記事が出ていた。松川町議会の6月定例会の一般質問で、リニア建設に伴う県内残土量について、深津町長は「約500万立米」と答えたそうだ。受け入れを表明しているところもあるが、とてもそれで収まりきる量ではない。明日、飯田で開催されるリニア説明会でも、質疑などできっと話題になるに違いない重要な課題のひとつ。