「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

リニア説明会

2012年07月12日 | リニア新幹線
 今日は飯田市でリニア新幹線計画についての説明会が開催された。平日の日中だったけれども、600名を超える参加者があり、関心の高さをうかがわせた。
 最初に建設主体のJR東海より、パワーポイントを使った1時間くらいの説明があった。簡単な概要説明の後、特に去年の説明会や方法書への意見などで疑問の声が多く上がっているリニアの消費電力、磁界、地震や火災等異常時の対応について説明があり、最後に最近の状況ということで、環境アセスメントの状況や山梨リニア実験線更新・延伸工事の状況等について説明があった。
 消費電力については、2027年首都圏~中京圏開業時の想定、ピーク時に1時間当たり5本、所要時間40分として、約27万キロワット、2045年首都圏~関西圏開業時の想定、ピーク時1時間当たり8本、所要時間67分として、約74万キロワットという、去年の国交省の審議会の最後のときに出された数字を示して、電力会社のこの夏の供給力見込みの数字(東電5771万kW、中電2785万kW、関電2542万kW)に比べて十分小さいという説明。さらに、リニアの消費電力をオフィスビルや食品スーパー、ホテル・旅館など他業種の数字と並べ、さらにピーク時間が他のものは14時が多いけれども、リニアは朝夕にピークがあるということで、十分小さいという説明もあった。柏崎刈羽原発の出力(110~136万kW)も示しながら、リニアは原発の電力を前提としているのではという疑問に対して、そんなことはないという説明。しかし、その表を見ながら、私は逆に、東電管内のすべてのスーパーやホテル・旅館、飲食店などと、リニアだけの数字が一けたしか違わないということに、改めてリニアは大量の電力を消費する乗り物なのだなという印象を強くした。
 磁界については、今までの説明よりはだいぶ詳しい説明だったと思う。リニアの磁界は0~12Hzの超低周波であること。超電導磁石の磁界が大きいわけだが、リニアは16両編成で400メートルあり、500km/hで走行していると、先頭から最後尾まで通過するのに3秒かかる。1本の列車に17個の超電導磁石が付いていて、1秒間に6回磁界の強弱を繰り返すので6Hzということになるそうだ。車内に乗っている人からすると、相対速度は1000km/hになるので12Hz。停止時は0Hz。周波数が大きくなると、人体への影響も大きくなり、ICNIRPのガイドラインの数字も小さくなる。山梨実験線の実測値は線路脇4メートルで0.19ミリテスラ、高架下8メートルで0.02ミリテスラで、それぞれICNIRPのガイドライン(6Hzで1.22ミリテスラ)の約6分の1、50分の1となり、健康影響はないという説明だった。しかし、電磁波の影響についても、放射線の影響と同じで、研究者によっていろいろな説があるみたいで、素人には果たして国際ガイドラインそのものが信用できるのかどうか、疑問はぬぐえない。ただ、よくいわれる携帯電話は高周波。
 地震については、地下では地上のように振動の増幅が生じないので、トンネルは揺れにくいとのこと。また、東日本大震災などを受けて耐震基準が改定されたり、新たな知見があったときには、必要な対応をしていくとのこと。中越地震でトンネルに変状が生じたところは、震源断層の5km以内、地山の悪いところ、覆工背面に空隙などがあるところという共通点があるそうで、リニアでは空隙のできないNATMという工法を用いる、また地質の悪いところはロックボルトの本数を増やす、コンクリートの厚みを増やす等々の対応をするといった説明もあった。
 火災のときは、次の駅かトンネルの外まで走行して避難する。トンネル内で停車した場合は、斜坑などを避難通路として用いるとのことで、岩手の一戸トンネルの事例が紹介された。

 質疑では、やはり慎重・反対派の質問が多く、そもそも論から、人口減少時代、これだけの高コスト事業でJR東海の経営が大丈夫なのかといった話、磁界の問題等々。また、笛吹市を視察された豊丘村の方が、実験線工事で想定外の水がれが起きている実態を踏まえて、どのように参考にしていくのかという、沿線住民の不安を代弁するとても良い質問をされていた。私も幾つか質問項目を考えていって、一つは残土処理・運搬の問題について。二つ目に、ガスタービン発電機を搭載するのをやめて誘導集電方式を採用することで、消費電力はどう変わるのか。新幹線の改修工事の際にはリニアの本数がもっと増えるのではないか。三つ目に、実験線延伸工事完了後に実用仕様で走行試験をすることになっているが、それでは準備書に反映されないのではないかということを聞いた。二重系化といっても、東海地震の際にはリニアも大きな被害があるのではという質問もしたかったけど、質問は三つまでといわれていたので、選択を間違えたかも。

飯田でJR東海リニア説明会 残土の活用強調(中日新聞)

JRとリニア促進県協議会の説明会(南信州)

リニア説明会に600人 磁界や電力消費、工事などに質問 長野(msn産経)