棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

和の知恵-器について

2009-09-10 09:47:31 | 山郷の暮し
器といえば土ものといわれる陶器に、通称・瀬戸物といわれるガラス質の磁器。そして木の器の三種にたいべつできまいす。
西洋は圧倒的に磁器もので、ともかく薄い器が高級品。パッと名称がでてきませんが世界的に有名なナントカ磁器がありますね。
薄さが珍重されるヨーロッパですが、東洋の神秘な色--漆の黒色にも興味を示しました。もちろん木の椀ではなく磁器に塗りました。
ベトナムではフランスの指導で、なんとドラム缶や砲弾などの戦争残骸物を材料にしたカップなどを作ったのです。これはかなりヒットしたものらしく、今でもお土産などにあります。
薄さが高級器とするヨーロッパの感覚から産れたものでしょう。

熱い飲み物を直接飲むのは二日本が多い。また器を手にするのも日本が多く、熱くてはこまってしまう。そこで木製のお椀や陶器が発達した要因の一つではないだろうか。ヨーロッパではお茶かコーヒーが主だから、磁器では熱いから取っ手をつけてしまった。

日本を旅行したことがあるフランス人が、旅館でだされる、お膳仕立ての食事風景の美しさは忘れないと語っていました。
食べ物と器の絵付けとのバランスは正に芸術だと。

器で思い出すのは印度。バナナの葉を縫いつないだ聖なるお皿での食事は旨かった。そおそう、日本だったらオオバの葉なんかで食したら風情がありますね。

81-珍訳源氏

2009-09-10 09:24:52 | 物語・絵本・童話
凶兆と占われた昨年は、秋口に入ると神仏への祈りが実ってくれたか、ようやくおさまってきた。
藤壺の院さまの一周忌もおえ、喪服を脱ぎ、春の日を楽しむようになった。

昔頭中将だった私は大納言。一族も三位以上の位につき権力の中枢を占めています。源氏殿33歳の正妻葵の上は妹で、一子(夕霧の若君)を残し亡くなってしまいましたが、我が一族がひきとり、12歳の立派な若君に育っていました。

源氏殿は息子の元服の式を、二条の自分の屋敷でおこないたかったのですが、若君の祖母の大宮のたっての願いで、そのまま故太政大臣の屋敷で盛大におこなわれたのです。
成長を祝う様々な式については今までにかたってきましたが、代え添え役がどんな地位の人かが、今後の出世に関係してきます。それ故に物語でもことさら取り上げられるのです。

蚊の話--ケロシン

2009-09-09 09:00:22 | 山郷の暮し
小泉八雲さんが蚊に悩まされ「食血餓鬼-じきけつがき」と憎らしげにいっていながらも、ヨーロッパの学者が提唱した、水溜りに石油を一滴の説に異議をとなえました。
仏教的には前世の因果で蚊に陥ってしまった。私が食血餓鬼に生まれ変わるかもしれない。出来ればお墓の水溜りに・・・と日本文化に惚れようだ。
確かに。お墓に設営された花差しや水溜りに、石油を一滴というわけにいかない。お墓のたたずまいこそ、日本文化の根っこのようなものと、読み取っていたハーンさんです。
時々、ラフカディオ・ハーン珠玉の絶唱と称される「天の川幻想」を読んでいます。

はなしを戻しましょう。子供の頃、蚊の殺虫剤として「ケロシン」がありました。
今から思うと石油(英-kerosene)そのもので、そいつを霧吹きのデッカイヤツで部屋中にシューーシューーやったものだ。まったく恐ろしい話で、体に言い訳がないし、だいいち火事の本をまいていたわけだ。
数年前のことですが、カリマンタン島の熱帯雨林中の集落で、このケロシンをピューピュー噴霧していた。今も変わらないことであろう。

80-珍訳源氏-新時代の幕開け

2009-09-09 08:52:36 | 物語・絵本・童話
私の父(もと太政大臣)も他界し、14歳になられた冷泉帝もたいそうおちからをおとしておられた。
正直、私に太政大臣のチャンスがめぐってきたともいえるが、帝の後見人である源氏殿の力も増したということでもある。
 桐壺の院さまも正月から体調を崩され、3月に亡くなられてしまった。享年37歳の厄年(当時の厄年は37歳であった)であった。
皆に好かれお慕いされたお方とはいえ、源氏殿の悲しみようの異常さに、奇妙さを感じたのは私だけではなかった。
正直、源氏物語を読んで「ヤッパリソオだったのか」と、納得行くことごとがあったが、当時は恐れ多い藤壺の尼のことで、ウワサを抑えなくては成らない立場であった。(冷泉帝)



残暑に蚊の猛攻撃

2009-09-08 08:55:11 | 山郷の暮し
なんとなく涼しい夏だったかと思いますが、先週あたりから厳しい残暑が続き、ここいらで雨がほしいところ。
オーブンのような熱気の西日が照らすといっても、夕刻になればたちまち涼しい風が吹きか、たなびくススキの穂かげ、草むらからコオロギの声が優しく響く夜です。
ところが、晩夏のなかで必死に生き残ろうとしているやつが。真夏よりもしっきりなしに音無しでやってくる。犬猫の周りでも飛び回っている。
我が家はいつもオープンのうえに、いたるところに水溜り。筆を洗う水桶でもたちまちボウフラが泳いでしまう。

そこで思い出したのが、蚊の話の手記で、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)さんもずいぶん悩まされたようだ。
なにせ裏がお墓で、蚊の発生する水溜りはいたるところにある。
ヨーロッパの学者が、蚊の発生する水溜りに「石油」を微小入れれば駆除できる。蚊に伴う病気を考えると、全土の水溜りに石油をたらせばはるかに安上がりに済む。という学説に、この美しき日本でそんなことをしたら、とんでもないことになる。と、ヨーロッパ的な合理主義に異を唱えた手記があります。
ご一読をお勧めします。
蚊の退治で子供の頃にあった「ケロシン」なるものを思い出した。次回に適当に書きましょう。

79-珍訳源氏-天変地変の年

2009-09-08 08:41:12 | 物語・絵本・童話
79-藤壺の尼の死
年が明け源氏殿は32歳になりました。
この年の冬は寒さも例年になく厳しく、凍てついた道に牛車は滑る事故が続発し、中には死んだものもいたらしい。まさに交通事故初年といえましょう。
寒さはつづき、冷害の心配がされるなか、日食や月食・奇妙な流れ星と天変地変にゆれた。
陰陽師の占いによると凶兆の年と帝にほうこくされた。厄病が流行り、巷では御幣をそれらしく振り回し金を稼ぐ不埒なものを取り締まるのが忙しいとの報告も受けた。
科学的な思考などまったく無い1000年前。
総てが悪霊や荒ぶれる神がなされることと、善神や御仏に祈った時代です。
仏教だ、神道がなんだという以前の、縄文時代から、イヤそれ以前から培われてきた日本人の心の奥底の思いではないでしょうか。
それ故に、皆様方の時代でもオオはやりとか。ケッコーーではございませんか。

展示会の終了

2009-09-07 09:52:18 | 創作活動
松本美術館でのグループ展が終了しました。
会期中特になにもしたわけではアリマセンが、それでも時々お茶を飲みに行きました。
自分の作品を展示場で見直すことは大切で、なによりも製作意図の伝わりようをみることです。あまり迎合してしまうのも問題ですが、反応チェックも大切なことです・・・。
自分の中で「迷い」の点を指摘されると「頭にくる」こともあれば、次のステップに踏み出せる大切な助言となるることもあります。
すばらしい意見は同業分野よりも、異なった分野で活躍している作家から得ることが多いものです。
今回もある一言が脳裏に焼きつき「菩薩絵紋着付舞妓図」に筆を入れる気が湧いてまいりました。
まだまだ完成していなかった、ということでした。

78-珍訳源氏-チョット一言

2009-09-07 09:47:17 | 物語・絵本・童話
平安貴族社会の男女関係には倫理観が欠けているのではないか。となにやら小難しいことをノタマワリそうな方々の渋面が浮かんできますが、先にも話しましたが才能ある男はなんとしても家柄のいい姫をモノにしなくては出世は望めない。
姫としても家柄だけではどうにもならないから、高いくらいの者の後ろ盾がほしい。源氏殿や私のように家柄・位があれば、相手から望んでくるのはあたりまえのことだ。
だいたい倫理観テナモノは、時代によって変化してゆくもので、絶対的な真理ではありません。と、いきまいてもしかたがありませんが・・・。
女の操にしても、問題となるのは帝の后候補くらいで、宗教的に純潔を求められたのは、特別な職として斎宮さまくらいなものだ。
平安時代はあの世に極楽を求めた「浄土信仰」が盛んでしたが、決して厭世社会でなく、逆に真から人間賛歌の時代だったと、視点を変えてみてください。

77-珍訳源氏-松風の巻

2009-09-06 09:58:56 | 物語・絵本・童話
源氏殿の義兄にあたる私は、明石の君のことをまるで身近で観察をしていたようなことを言いましたが、伝え聞いたことから推察をしたにすぎませんが・・・。

当時は、嵯峨の屋敷に琴の名手の君がおられ、川風になく松の音とあいからまった響きは、天上の調べのごとくだとうわさされていたのです。
私もなんとか君にお会いしたいと願ってはいたのですが、政務が多忙を極め、いずれの方の思い女かとさぐっていたのです。
私ら貴族は女のもとに忍んで行くといっても、下世話人のごとくこそこそしたものでわありません。
行列こそ作りませんが牛車に供をつけての忍び。その気になれば身元を明らかにすることなど造作もないことです。わかってみれば、相手が光源氏殿。
誰でもが塀の外でひっそりと調を聞くしかありません。

展示会最終日

2009-09-06 09:31:34 | 創作活動
前後相反してしまいましたが、今回の案内状です。
私の創作姿勢は、生きてきたそれまでの明かしであり、産み出した創作世界は、一期一会のごとくだと思いつつ筆を執ってまいりました。 この度の作品はフーーと息を抜き、蘇ってきた私の今までの総ての世界です。ご鑑賞いただきたくご案内いたします。            私的な案内状です

会場の反応は一般的には、特に好評だといえませんでしたが、絵の読み込みのできる方々からは賞賛をうけました。
いつも感じることですが、そのままストレートに鑑賞していただけるのがいいのか、ある程度の鑑賞力を持った人たちを対称にすべきか今もって迷います。
私の絵を売ってくれる方からは、3部作としたからには統一感がないと商品になりにくいと。
小難しい製作意図はひかえたつもりですが、やはり私の作品はムズカシイと。
菩薩絵紋着付舞妓3部図--展示風景

ryusun

つぶやき

絵本と無縁になった大人に

子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本