棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

8-棚からぼた餅-人間どもの不始末

2007-12-25 10:11:53 | Weblog
「くそ!。福の神のやろう。オレはあんないいかげんなヤツと違うんだ。
あいつの仕事は「棚からぼた餅」的な気まぐれですむが、
オレの仕事はしっかり段取りを整えておかなくちゃ。
なんせ、人間テーのは、テメーがしでかしたことが都合悪くなると
厄病神のせいだとヌカシャーガル。
正直言ってオレには人間どもに悪さをするほどの
パワーなんかありゃーしねー。

人間どもの不始末を調べ上げて、
係りの神さんに報告するのが主の仕事だ。
オレ一人でやれることといったら、博打のツキをおとしたり、
親不孝者や不信心者にお灸をすえる程度だ。

しょせん欲張りで馬鹿な人間をチョットこらしめるだけだ。
寄り合いに顔を出せば大明神連中の使いぱしり並だし。
連中ときたら何もしないくせに書類が不備だとか、挨拶がなかったとか、
難癖ばかりつけ、現場の事なんかなんにもわかっていねー。知ろうともしねー。
かといってハンコ一つ欠いてもなんにもできねー。
なんといっても机上計画最優先。書類最優先だからなー。」

7-棚からぼた餅-庄屋の屋敷

2007-12-24 10:34:26 | Weblog
厄病神が住んでいる古びた屋敷は、
昔はそれなりに面目をもっていた庄屋だったのです。
村は飢饉が続いたうえに、一人息子が亡くなっていらい庄屋さんは
すっかりやる気を失い、気がほうけたようになってしまったのです。

人気の失った屋敷は、活力が失せ、暗く埃のにおいがただよっております。
閉め切られた奥座敷にどっかりと座った疫病神。
ぶつぶついいながら濡れた計画帳をひろげております。

6

2007-12-23 17:05:06 | Weblog
「オイ!。フクノカミ!。預けたものをけえしてくれ!」
ビリビリと響き渡る大声に、福の神は肝がつぶれる思いで、
「ナナナナ長旅ごくろうさまです。
ニニニ荷物はちゃんとあります」
「何だ?。びしょぬれじゃあねえか!」
「アアア雨漏りがいたしまして。なにせこんなボロ家でして」
「この村は貧乏だからナー。それも、テメーたちがしでかしている
結果だというのに・・」

厄病神はぶつぶついいながら、ゆっくりと解き始め、
とつぜん、大岩が崩れ落ちたごとく叫びました。

「ワワワワワーー。字がかすんで読めねー。
毎年、順送りに立ててきた計画だ。
オレはこうみえても、几帳面なんだ。
あんたのように、気まぐれとちがうんだ。
こうしてはいらねー。来年にまにあわせなきゃー」

厄病神はブリブリ怒りながら、村中の庄屋の屋敷に帰って行きました。

福の神は、げんこつの一発も覚悟していたのでした。
厄病神はなんて働き者だと、心から思ったのでした。

5-棚からぼた餅--さーたいへん

2007-12-22 15:18:48 | Weblog
みぞれ混じりの雨が降り出すと、さー大変。
ぽたん・ぽとり・ポトポト・・・
チョンチョンチョン。

狭いホコラに居座った荷物は
たちまちずぶぬれになってしまいました.

「ととど゛とうしょう。どこかへ逃げてしまおうか。
といっても、どこへ行ったらいいのやら」

ただウロウロするばかり。
しまいには、息をフーフーふきかけたのですが、
脳しんとうをおこして、ひっくりかえってしまいました。

4-棚からぼた餅--毎年度厄毎計画・報告書

2007-12-21 13:16:30 | Weblog
ヤヤヤやべーー。
厄病神ドンに知れたら、ただじゃーすまねー」
福の神は、あわてて元に戻しましたのですが、
いったん知ってしまうと、もっと知りたくなる。

神様も人も同じ事。開いてみますと、

1月------大雪・・山ノ神と打ち合わせ・・雪崩発生地点について
    村人は里にとうぶんいけなくなる。
    金太郎の赤子が焼けどをする。
この夫婦はけんかばかりしていて、家事をおろそかにする

などなど、びっしりと書かれた一年間の予定事項は、詳細なものです。

「まるで暦だ。来年も村の衆は、嫌なことばかりつづくんだなー。
といって、オイラにはどうすることもできないんだけど・・・。
とうぶん、お供え物はなさそうだ」

福の神は、いまにも泣き出しそうな顔をして、しょんぼりしていました。

3-棚からぼた餅--狭い祠に

2007-12-20 17:12:03 | Weblog
村は日照り・かんばつが続いたかとおもうと、
大雨・土石流と、災いのオイパレード。

村人から見放されたホコラに住む福の神。
厳しい冬に向かって、まともな服もありません。
そのうえ小さなホコラに、大きな荷物。
福の神は小さな体を、もっと小さくしていました。

いつもの年でしたら、そのままじっとしていたのでしたが、
やけに荷物のなかみを知りたくなったのです。
慎重にほどいてみますと

「毎年度厄事計画・報告書」

墨痕鮮やかに書かれているではありませんか。

棚からぼた餅-2-厄病神の登場

2007-12-19 09:25:35 | Weblog
「ヤーー福の神、ひさしぶりだなー。
あいもかわらずショゲタ面をしていやがる
ちったー何かやったらどうだ。
といっても、テメーのやることターなんもネーけどヨ。」
われるような大声と、太鼓を打ち鳴らしたような大笑いの主は、
落ちぶれた庄屋の屋敷に住んでおります厄病神でございます。

お相撲さんの化粧回しを寄せ集めたような、
キンキラ・派手派手をきこんでおります。
お顔ときては、鬼瓦を化粧したごとく、ギラギラしたでっかい目玉に、
毛虫が数十匹たむろしているような眉毛。
鼻はでっかい団子を三つほどあわせたかんじです。
ひついでに、鼻毛がブラッシのごとく、口は分厚く精力的。

「ワシャー仲間の寄り合いで、出雲の邦にいかにゃーナラネー。
留守のあいだ、いつものようにこいつを預かってくれ」
抱えておりました大きな荷物をドーンとおくと
祠はグラグラゆれ、いまでもつぶれそうです。

「いいか。中身を見たらしょうちしねーゾ」
げんこつほどもある目玉をギョロリとさせ、
すごんだ厄病神でございました。
「トトトトッとんでもありません。厄病神さんの大切なものをみるなんて。
それにしても、毎年、出雲の邦にいかれるなんて、うらやましいことです。
わたしなんぞずーとむかしのことで・・・。
だいいち旅行代がありません。」

「オレ様の留守のあいだしっかり村を見張っているんだぞ。
といってもあんたのでばんはネーけどヨ。
マーなんかのたしにはなるズラ。」

厄病神はでっかい鼻をさらに膨らまし、
蒸気機関車のごとく鼻息をふきだし、
地響きをたてながら旅立っていきました。

蕎麦

2007-12-18 15:52:03 | Weblog
恒例の新そば宴会を日曜日に開催。
いつものとうり、自制のきかない酒の量だった。

さて、よくいわれる「蕎麦の香りっていいねー」ですが、
最良の香りを知らないと思える。
 ほんのりとした、やさしい香りは、蕎麦打ちの最初の段階である、
水かお湯でこねた時が一番。
茹でられたものは、香りとしては抜け殻に等しい。

もし、そば粉が手に入ったら、熱湯ですばやくこねた
そばがき--が味、香りとも最高です。
蕎麦のうんちくは後日。

2--棚からぼた餅

2007-12-15 15:10:52 | Weblog
 昨日に続き、雪雲空を背色に、すずめくらいの小鳥が2・30羽、塊となって右左すごい速さで飛び回っています。たぶん、虫を追いかけているのでしょうか。
すっかり冬山の姿になってしまったアルプスの山々は、今日は濃い灰色に塗りつぶされています。雪降りになるのかと思いましたが、薄日が差してきました。まだ、冬タイヤに交換してないので、明日にでも・・・。いや、明日は新蕎麦宴会だった。またまた、浴びるほど飲むであろう。二日酔いになる前に・・。

2----棚からぼた餅

 お話は、信州にあるたいそう繁盛している神社でして、暮れから正月は大変な交通渋滞になってしまいます。
お年寄りたちを押し分け、゛この世は天国、こおれたちのものよ゛とばかり若い連中がおしよせます。
どうみたって゛神頼み゛とは無縁に思えるのですが、お悩み多き歳なんでしょう。
お悩みのことを探るよりも、どうしてこんなに繁盛する神社なのか、その秘訣はなんなのか知りたくなったのでございます。

 表看板には「総願望成就・願望即決解決・現世謳歌約束」
つまり、あらゆる願い事がかない、それも、1年3年後というのでなく、後ろを振り向いたとたんにOK。この世は、楽しむためにある。ということでしょうか。
なんともけっこうなことなのですが。
 この神社のセイリング・ポイントは、コンピーター占いと宝くじ占い・メール占い。すべてハイテクによるもの。
 とくに有名なのが、宝くじ占いで、当選者がでてより、神社は馬鹿あたり。
境内に「売り場」を設ければ、行列ができる。購入者が多ければ当選率も高くなり、確立も高くなるのはあたりまえ。
ホクホク顔の宮司さんにそのへんのお話を承っているうちに、なんだか馬鹿馬鹿しくなってきてしまいました。
 と、グッチてもしかたありませんがこの神社は、30年ほど前までは、山村の小さな神社だったのです。
それが、高速道路のインターができ、村はリゾート地として大開発。
昔は難儀したであろう峠道は立派になり、自動車の販売店か、パチンコ店かと間違えてしまうような、派手な幟旗が並んでいるところがございます。
神社の象徴である「鳥居」がデーーーンと、あらゆるものより一層ハデニ、黄金色に輝いております。
そこには、金箔額の「扁額」には--棚牡丹神社--と、墨痕鮮やかに書かれております。
「なんだか、バチンコ台のイメージじゃあねえか」とお思いでしょう。そうーー、まったくそのとうりで、自分がパチンコ玉になってしまった気分になり、あっちこっちぶつかりながら奥の院へとまいります。
 チーンジャラジラと玉が飛び出してくるわけではありませんが、願かけ成就のお礼報告が、電子掲示板にギラギラときらめいております。
特別御宣託、ご利益強大コーナーは、当然特別料金。
 と、まーー説明は尽きないのですが、肝心の「ご神体」となると、これがよくわかりません。
わからないのが神様だ。といえばそのとうりなのですが、ともかく、その神様の正体をしりたくなりました。それが、このお話なんですが・・・。

 昔々、といったとたんに読む気が失せてしまったでしょうが、宮司さんがおしゃったそんなむかしでなわく、じいちゃんの・・、イヤ、モウチョト昔のことでして。

 そそりたつ山々に囲まれた村は、里に出るまでたった一本の山道しかありませんでした。
村の入り口近くに、鼻息でもぶっ倒れてしまいそうな「ホコラ」がありました。
ぶらさがっている「扁額」には--道祖神--とようやくよむことができます。
 「道祖神」となりますと、かずある神様の中でも、最も親しく頼みやすい身近な神様で、人気ナンバーワンでございます。
縁結び・家内安全・お家繁盛・養蚕や五穀豊穣と、農村にとって深い結びつきがあるのです。
それほど大切な祠なのですが、村は打ち続く災害や不作・疫病などで、すっかり見捨てられてしまっていたのです。
 ところが---この朽ちた祠に「福の神」がすんでいたのです。
神様のご紹介ですから、少なくともご尊顔を拝します、といきたいのですが、いうほうが気恥ずかしくなってしまうようすで--。
 血色悪く干からびたパンのような頬。しなびた黒豆をチョコンチョコンとつけたような目。チョコッとつまんだ程度の鼻。手入れなど一度もしたことがないドジョウひげ。まさに、貧相の決定版の御尊顔。
 さて着ているものときたら、たぶん清潔・神聖な白衣と思われますが、さまざまなぼろきれを不細工に縫い付けてある。
あばら骨が丸見えの姿は、枯れ枝にぼろきれ、というかんじでございます。

 枯葉がふんわりとたまった小春日和。
昼ねを楽しんでいる福の神は、たたき起こされました。

          つづき




棚からぼた餅---ご挨拶---

2007-12-14 11:19:41 | Weblog
こんにちは。
ブログの検索もままならない程度で、ポチポチと始めました。
この文も、最前までかなりの文字を打ち込んだのですが、途中でヘンナモノが現れ--報告--にクリックしたら、パーになってしまいました。気をとりなお再度挑戦。最初からグチぽくなってしまいました。--こんなはずでは--
物語は絵本として製作したもので、まだ画像を挿入できませんが、そのうちできるようになります。

      棚からぼた餅-----福の神VS厄病神----あらすじ
物語は、信州の山奥の寒村を舞台に、福の神と厄病神。そして、村人とのかんけいを、土俗信仰や伝統行事を織り交ぜて展開いたしました。
 舞台設定はありふれた昔話のパターンですが、信州のある地域の正月の「ある伝統行事」からヒントを得て構成したものです。
 一喜一憂する福の神・厄病神。そして村人に、現代社会をシニカルに、ユーモラスに物語った大人の童話です。

ryusun

つぶやき

絵本と無縁になった大人に

子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本