棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

つれづれくさ-4-結婚詐欺

2009-03-22 08:30:03 | 大人の童話
冷気が含む秋風が吹き出したころ、男は早くに仕事がかたずいたので家に帰ってみると、家は掃除も行き届かず、雑然としている。
そのうえ、妻と小間使いはおらず、母親が苦しんでいる。
「あのあの女たちは鬼じゃ。オマエが働いている間遊びまわっている。この老いぼれババが、ようやく掃除かたずけをしているのだ」
思ってもいなかった母親の言葉が信じられないほどだった。
文と写真は無関係--路地でミニ水仙が咲いていました。今朝は春雨、温泉がいいですねー
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つれづれくさ-3-結婚詐欺

2009-03-21 06:34:42 | 大人の童話
この度、貴方様とご縁がありました。つきましては、当分の間、貴方様の親類縁者、お友達をお招きなさらないでください。変にお思いでしょうが、申し訳ありません。かってながら私の生家との釣り合いが、あまりにも違いますので、ほとぼりが冷めるまで時をいただきたいのです」
話せばもっともなこと。女の身元は貴族らしい。とても恐れ多いことだ。

美しい女は、小間使いを雇い、それなりに母親の介護をしてくれた。
男は日々張り合いを持って、仕事に励んだ。夢のような半年はアッという間にすぎてしまった。
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つれづれくさ-1-結婚詐欺

2009-03-19 07:56:47 | 大人の童話
今は昔、正直で働き者の男がいたが、それなりの年になっても女房がいなかった。
小さいながらも屋敷もあり、蓄えもあったが、女房に恵まれない訳の一つに「老いた母親」がいた。
男はかいがいしく介護をしていたが、仕事も多忙を極め、母親の面度を見てくれる女房をさがしていた。

市中の「よろず相談所」に、女房の斡旋を依頼した。
「へいへい、よろしゅうございます。多少は手間賃もかかりますが、必ずお世話をさせていただきます。ついては、手付金として・・」
と、少なからずの金を払った。
男は「相談所」に時おり出向いては、「器量など問わぬ。母親をよろしく見てくれれば何も言うことがない」
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つれづれくさ--浮気者の不始末

2009-03-17 17:36:08 | 大人の童話

「かねてより我妻が「たこ坊主のような化け物」にとりつかれ、奇態な声をあげている。と小者から報告をうけておりました。
しかし、国事おおく、気はあせるばかりでモンモンとしておりましたが、今日は我妻を守らんと、大和尚に加持祈祷をしていただかんと参じました。とりあえず身の回りの小宝を収め、一刻も早く妻からモノノケを祓っていただきたい」
夫は、取り囲んだ役僧に告げた。
見れば金細工で飾られた立派な唐柩。たいしたお宝が入っていると判断。
「いやいや、しゅしょうなお心構えとぞんずる。さっそく別当さまに報告いたします。おまちください」
「おかしい、どこを探しても別当様はおいでにならん。かといって、私の一存で中身を拝見するわけにも行かないし・・・。
それではご一同,集住の目の中で中身を確認いたしましょう」

役僧と夫が囲む中、唐柩があけられると
「わーーーたこぼうずだーー」
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つれづれくさ-浮気者の不始末

2009-03-16 18:29:14 | 大人の童話
ある夜、夫は前ぶれもなく、突然帰宅。
うろたえたのは女と僧侶。着衣もそこそこに近くにあった唐柩に隠れた。
落ち着かぬ妻や侍女から、坊主がどこかにいるはずだと、唐櫃(からびつ)に僧衣がわずかに見え、少しずつ引き込まれていくではないか。
5
相手は身分の高い僧侶。ただ現場を押さえたと言うだけでは、面白くない。
それどころか、自分の地位も危険にさらしかねない。そこでとっさにひらめいた。
「今から大急ぎで、・・・大寺に祈祷をしてもらわねばならぬ。あれこれ言っている時間がないから、時にこの唐びつを奉納する。ただちにかつぎだせ」
女房・侍女たちがおたおたしている間に、唐柩はくくられ大寺に運ばれてしまった。
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2―浮気の不始末

2009-03-12 08:48:02 | 大人の童話
夫は宴席でそれとなく妻の浮気を知らされた。
「いやいや、高僧の出入りは私のお勤め成就を願っての祈祷だと報告を受けております。我が女房にかぎってそのようなことはございません」
とはいっても内心安心は出来ない。
小者からの報告は、屋敷に出入りする高僧は評判の「スキモノ」のようだ。
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つれづれくさ-1-浮気者の不始末

2009-03-11 09:13:31 | 大人の童話
今は昔、大層なお寺の別当職を務める僧侶がおった。この男、僧でありながら女癖の悪さにおいては、ナカナカのもの。
時おり祈祷などに呼ばれる高位の官吏の女房は、評判の美人の上に、小小ケツがかるい。
スキ者二人となれば結果はみえみえ。たちまちなかむつまじくなってしまった。

夫は高位な職となれば仕事も多忙をきわめていたが、妻の浮気癖のあることはウスウス感ずいていた。
信頼のおける小間使いにそれとなく見はらせていた。
報告は、夫の無事と出世を祈願しての、由緒ある大寺の僧侶が出入りするばかり。
ホットはしたが、安心しきれず、恐れ多いことだが、それとなく僧侶の身元の調査を命じたのであった。
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つれづれくさ-すぎたるは

2009-03-10 09:25:17 | 大人の童話
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男は恐妻の虐げられからすこしは解放されると、仕事もできるようになった。
極度に気が弱い男ではあったが、愛される性格の上、能力はあったので、たちまち花開いてきた。
運にも恵まれてきて、小領地ながら国司に任じられた。

男はどうどうと女を迎えにゆき、「夫婦かため式」を盛大におこない、共に任地へと旅立っていった。
もと女房はあいかわらず優男をしたがえ、日夜楽しんでいた。

作者の言葉  中島敦著「夫婦」を下地に創作した。
嫉妬ってヤツは、言い換えればプライドに傷がついたと怒るエゴともいえる。嫉妬するうちはまだいいのかもしれないが、過ぎれば碌なことにならない。
この話、みんな万々歳なのである。

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つれづれくさ-10-すぎたるは

2009-03-09 07:46:28 | 大人の童話
10
一方、女房は己でも予期もしなかった結末に、気も狂わんばかりであったが、本来多情な女は、未婚の青年を集めては以前よりも痴情にあけくれしていた。
衆人も、気の弱かった男への嫉妬狂乱だからこそ面白がったのであるが、いつの間にか、話題にも上らなくなってしまった。

賢い女はそのまま男を引き入れることはなかった。
妻である女房のことを思えば、筋道を通さなければ治まりきらぬと覚悟をしていた。
男は妻の絶対専制に耐えながらも、不思議なくらい充実した日々であった。
家柄を盾にした女房の仕返しは、女の家をさらに困窮したが、男の助けもあり耐え忍んでいた。
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つれづれくさ-9-すぎたるは

2009-03-08 09:34:10 | 大人の童話
9
そんな夫に気がつかぬ女房ではない。今度は芯から怒り狂った。なぜなら人々のうわさからの嫉妬ではなく、明かに夫の心のうちを見たからだ。
女房は今度はプライドにかけても相手の女を半殺しにしてやると、鬼夜叉そのものだった。
一見、ほっそりとした女は日々の仕事で、身軽で体力もあり女房よりはるかに強いからだをしていた。
女房は負けた。
相手を引っかき、衣をずたずたし辱めてやるつもりが、繰り出すたびに女にふわりと逃げられ、だだ宙を飛ぶだけで疲れ果ててしまい、髪ふりみだし地にへたばってしまった。
惨敗の悔しさと、世間の物笑いになることがよぎり、泣き崩れてしまったが、誰も手をさしのべてくれなかった。

壁の隙間から一部始終を見ていた男は、意外な展開におどろき・よろこび・おののいた。それからの日々を思うだに恐ろしくなってしまった。
いっそうのこと、妻と手を切る好機だと思ったのだが・・・。
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ryusun

つぶやき

絵本と無縁になった大人に

子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本