棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

タントラ--インドの根っこ

2008-10-05 08:55:30 | 海外紀行文
インドの精神世界の根っこになっている教えにタントラがあります。
知識をひろげる--という意味らしいのですが、膨大な資料にはほとんど著者は不明です。
ヒンドゥー教・仏教にもとりいれられ、インドばかりでなくネパール・チベット・中国・日本・東南アジアなどなどに、影響が及んでいる。
タントラって何だ!!となりますと、解説などできませんが、この世界は男性原理と女性原理の二元論で成り立っている。
そこで、男女の結合によって、完全なるパワーが生まれ、精神的に肉体的に解脱でき「非二元性になる。
究極的に一つの原理になってしまう。ということです。
お分かりですか・・・。「わからない」それでいいのです。
さらに、セックス・ヨーガの業法とは、歓喜の局地を味わうことによって、宇宙パワー的なエネルギーを内在できる。
と、ダンダン難しくなってきましたが、「好きだ・愛しているよ」の範囲ではないことは確かです。
先に書いた、中国の帝王学としての性書とも違います。
当然、セックス産業の担い手(売春・買春など)の方々の、ご修行・お楽しみとは、まったく違う次元です。
あっけらかんと、明るい性への教えは、性をタブー視している多くの宗教から、邪教だとそしられてきていました。
しかし、新しい世界思想の模索が始まっている今、多くの哲学・思想家が注目をしているといいます。
もう一度言います。インドは性へのモラル意識は高く、日本のようなだらしなさは決してアリマセン。

男女の交合は2にして1なるものとして、シンボル的な精神と肉体の一体なので・・・ゴンス。
ウンウン・・・とうなずく姿が見えますが、チョット違うかもしれません。

シルクロード特集を視聴して

2008-08-03 17:36:16 | 海外紀行文
シルクロード・エリアの取材・映像など、人気50地の放映がありました。
そのいくつかの現場を歩いたこともありました。
人気ナンバー・1は、予測したとおり「敦煌・莫高窟」で、私も敦煌の町に一ヶ月ほど滞在し、周辺を探索したものです。

遺跡はどこに行っても土色の寂寞とした風景に、一人旅にはいささか辛いおもいがしたものでした。
佛教壁画は私の専攻分野ですが、現地では正直なところ鑑賞・研究どころではなかった。
自分の無知もありますが、中国人観光客を観ている方がおもしろかった。

ビールを飲みながらの視聴は、TV画像の絵葉書的な風景に、なんだか腹が立ってきてしまった。
(そんな現在の自分を含めて)
目を閉じれば、光景がありありと浮かび、腹の底から悲しみと怒りが込みあがってくることがあります。

チベット圏は正に聖地であり、信仰の大地。
黙々と己の背丈だけ地に伏しながら進む「五体投地」の巡礼者。
そのすぐ横を、すざましい砂埃とCO2を撒き散らし、解放軍トラックがひっきりなしに過ぎてゆく。
慣れてしまったのか、達観しているのか・・・。巡礼者はまったく変わることがなく百トリ虫のごとく進む。

シルクロードは、月の砂漠的なロマンに溢れた地ではあるが、富と血にうえた権欲者の道でもある。
いまなお続いている。
写真はムスタンに近いネパールの聖地ムクチナートの壁画・・・今は無い

熱帯雨林の大河--カリマンタン島

2008-06-14 11:25:59 | 海外紀行文
カリマンタン島紀行(消えた熱帯雨林--5月12日より)でもふれましたが、雨季と乾期の水位は3-4M。
所によってはその差は6M近くあり、それも岸辺が崩壊し、川辺の集落を追いやっています。
自然岸は流木などによって、一層早く崩壊が進み流れを変えている。
さらに、大型船が行きかうたびに、川辺の道や畑が崩れ落ちていくのを目撃できました。

森の小川は清水のなかに魚が泳ぎ、実にさわやかな世界ですが、大河になればなるほど泥水へとなっていきます。
上空からみますと、ま茶色の帯が一面の緑色にくねくねと描かれています。
海への河口域は数キロにわたり、茶色がひろがり、とても南国の美しい海などといえません。
写真はマハカム川中流域の集落・現在は消えているでしょう

女の守り神--刺青について

2008-05-24 06:57:35 | 海外紀行文
ダヤック族のアートについて簡単に説明いたしましたが(5-18)、刺青についてもう少し。
刺青はダヤック族ばかりでなく、アミニズムを信じる種族にあった習慣といえます。
日本の刺青の起原も、「精霊信仰」からでしょう。
ダヤック族とは森の民族の総称ですが、その中で「ケニャ族」は、身分を現している模様もある。
中でも『犬』を図案化したものは、酋長や貴族階層の女性を表す。
犬は安産の表徴で、日本では「いわた帯」といわれる風習は、犬に関係があります。
そのほか、悪霊から身を守る刺青の図案には、えび・さそり・渦巻き文などがあり、スタンプになっており、連続模様を彫り上げる。

派手なTシャッツを着た若者が、腕に小さな渦巻き文を入れていた。
「パワー・アップする」し病気にならないと言ったが、どこか気恥ずかしそうだった。

写真は私のコレクションの夫人像ですが「吠える犬の帽子」を冠っています。
酋長の奥様を表したものです。

8-森の神々--森へ帰ろうⅡ

2008-05-22 06:26:19 | 海外紀行文
オバアチャンはゴザや籠を編む手を休め、森の神様の話をよくしてくれました。

僕たちの魂は、鳥や獣・魚・虫そして木や草など、森のあらゆるものとつながっている。
森の神様が、姿を変えているだけで、人も神様の一部だと。

森を独り占めにしたり、汚したり傷つけたりしてはいけない。
僕たちで一番恥ずかしいことは、自分だけの楽しみや、勝手な行動をすることです。
森から取れる食べ物は、皆のもので、必要以上に採ってはいけません。

森には良い精霊と、悪い精霊がいます。
悪い精霊にとり付かれると、もう生まれ変わることが出来ず、どろどろとした汚いものになってしまいます。
お父さんの彫刻や、長い家の廊下の壁の絵は、この悪霊から守る大切なものです。

色々あるお祭りも、神様への感謝や、悪い精霊を沈めるために行います。

森の芸術家たち--カリマンタン島

2008-05-22 06:11:49 | 海外紀行文
http://ryuomaru3.web.fc2.com/mam-caos-1.html
宗教的・呪術的要素によってデザイン化された絵や造形は、アートというのは的確ではないが、ダヤック・アートとしましょう。
前記のブログ(5/13・18)に記載しましたが、彼らの生命観は植物のように絡み合い、つながっている。
まるで、森の構造そのものといえましょう。
カロンキランと呼ばれる「ヒトデ」から触手が伸び、動植物へとなっていきます。
生命は単体で存在するのではなく、全てが結び合った生命の連続体とでもいえる感覚なのです。
私は、この生命の連続体感覚に魅せられてしまったのです。
http://ryuomaru3.web.fc2.com/mam-caos-1.html
基本彩色は白・黒・赤・黄色・緑の5色。
白色は調和・均衡で平和の意味。
黒色はパワーを表し、具体的には石・岩・山などの自然力だ。
赤色は血で生命である。戦い・狩りなどから身を守る意味もある。
黄色は植物の実りの色で、豊饒の願いがある。
緑色は植物を表し、食料の根源である。
特に緑色から、黄色への変化をつけた塗り方は、自然の営みサイクルを表している。

なによりも不思議なのは、ヒトデのようなところに「目」が描かれ、超越世界である神々や精霊を現している。
生命の本質は、神々に支配されている、象徴的な表現だ。
写真は、穀物収納庫の外壁に描かれているもの。判りにくいと思いますが、柱は人体が彫られ、上部にネズミ返しがあります。

森の芸術家

2008-05-18 18:38:02 | 海外紀行文
ダヤック・アートについて簡単に説明いたしますと、魔除のための彫刻に壁画などの、いわゆるアートてきなもの。
呪術の要素が強い刺青や模様など。生活上の美意識など。
立体の代表は、広場の中心に建てられるトーテンポール(ブラウィン)は、美術的にも完成度が高く、州都サマリンダの官庁ホール・大ホテルなどにある。
柱の形状は、大地の象徴として壷(ダジョー)から、全ての生命が、つる草のように絡み合い、描き出されている。
最上部には、守り神であるサイチョウや犬・虎などがのっかっている。

絡み合う模様の中に人手のようなものがあり、超越世界である神々が支配する様子だという。
絵画の基本色は、白・黒・赤・黄色・緑の5原色で。それぞれの意味がある。

刺青ですが、老人の男も女も全身に入れられていたが、若い者にとっては恥ずかしい習慣だと言われていた。
模様の種類のなかで、犬は女の人を守るもので、重要な意味づけがある。

私が、日本には赤色の刺青があると話をしたら、一同びっくり。一番驚いたアムラム君は
「やっぱし今でもサムライ・ニンジャがいるのではないか」と・・。
写真は新しい村でのゲートモニュメント・・背景にまったく樹がありません

パスポートは拳銃の下

2008-05-17 06:27:21 | 海外紀行文
森の中の製材所は、外人立ち入り許可が必要な地域。
工場長さんは必要ないといってくれたが、夜、買出しに行くトラックで、一時間ほどかかる開拓村にある警察所にいく。
蛍光灯がともる警察署には、Tシャッツ姿の若者がボーとしている。
我々の一行にギョッとしたようで、ガイドのアムラム君が説明。
ボスを呼んでくるとでていき、現れたパジャマ姿の50代の男。こいつは難癖つけるナ。と直感。
アムラム君が「スマイル・スマイル」としきりに言う。
大将は私のパスポートと、観光省推薦の手紙をみているが、思いは別なことがありありと。
発電機の燃料切れか、蛍光灯がチラチラしだすと、大将は腰から拳銃を抜き、パスポートと手紙におく。

大将はアムラム君を別室によび、なにやら・・。
ローソクに照らされた拳銃は、気分がよくない。
3万Rp(1500円)よこせときた。とんでもない。「NO  NO」と指1本たてたが、2万Rpで話がついた。
なんのことはない、こずかいをプレゼント、しにきたようなものだった。

警察所といっても自転車が2台では、ものすごい泥道では用をなさないであろう。
「あいつらジャワ人はワルイヤツらだ。ポリスは給料が安いから、金をたかることしか考えていない」と、アムラム君。

帰路、切り開かれた開拓村の空は、星が足元から沸きあがり、そのすごさに、今も忘れられない星空だった。
写真は移住地(新しい村)でのダヤック族のこどもたち。腰掛けているのは製作中のトーテンポール

長い生理です--賢犬さくら

2008-05-16 07:08:03 | 海外紀行文
生理はまだ終わっていないので、つながれっぱなし。
普段より、ぽっくりと膨らんでいるかもね・・・。
あたりまえですが、全て自分で始末をしています。
朝・夕の散歩が唯一の楽しみです。れでも、かぐわしい風が吹いてくると、飛び回りたくなり、ついつい大声でたいくつだ--といってしまいます。
今日の散歩で、お父さんは何お思ったか、私のおしりの写真をやたらパチパチしだす。
まるで、ダーリンのようにしつっこい。
神様からあたえてくれたもの、なにも恥ずかしくはありませんが、「チョットじっとしていろ」と言われてもこまります。
アーートビマワリタイナーー

森の中の製材所

2008-05-16 06:51:58 | 海外紀行文
熱帯雨林の激減に、ようやく重い腰をあげたインドネシア政府は、原則として原木の輸出を禁じた。
つまり、ベニヤや製材したものはOKということか・・。
80年代、熱帯雨林消失の元凶といわれた、日本商社はサッとひきあげ、中国・韓国経由にしたのであった。
原木の伐採最前線は見ることは出来なかったが、日本企業が引き上げた後に、開発に入った中華系人の会社に世話になった。

工場・宿舎といっても、丸太組のトタン拭きの屋根。掘ったて小屋の素人作りの範囲であった。
真っ黒に日焼けした工場長さんは、香港からの中国人だが、現地の奥さんと子供一人、インドネシア人そのもの風貌になっていた。
10名ほどの若い作業員は、各地の島々からの出稼ぎ。前記したトラジャやスマトラ島などの青年たち。

それでは、企業が目をつける森の目安とは、一町歩(100M四方)あたり、直径80cm以上の樹が8本あれば、採算ベースがとれるといわれる。
大河からブルトーザーを揚げ、奥地へといっきに入り込んでいったのである。

フィリッピンなどは、一町歩あたり12本以上の大木が茂っていたと言われ、アッというまに丸裸になってしまった。
今は、残った樹まで切り出している始末です。

ryusun

つぶやき

絵本と無縁になった大人に

子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本