源氏殿の義兄にあたる私は、明石の君のことをまるで身近で観察をしていたようなことを言いましたが、伝え聞いたことから推察をしたにすぎませんが・・・。
当時は、嵯峨の屋敷に琴の名手の君がおられ、川風になく松の音とあいからまった響きは、天上の調べのごとくだとうわさされていたのです。
私もなんとか君にお会いしたいと願ってはいたのですが、政務が多忙を極め、いずれの方の思い女かとさぐっていたのです。
私ら貴族は女のもとに忍んで行くといっても、下世話人のごとくこそこそしたものでわありません。
行列こそ作りませんが牛車に供をつけての忍び。その気になれば身元を明らかにすることなど造作もないことです。わかってみれば、相手が光源氏殿。
誰でもが塀の外でひっそりと調を聞くしかありません。
当時は、嵯峨の屋敷に琴の名手の君がおられ、川風になく松の音とあいからまった響きは、天上の調べのごとくだとうわさされていたのです。
私もなんとか君にお会いしたいと願ってはいたのですが、政務が多忙を極め、いずれの方の思い女かとさぐっていたのです。
私ら貴族は女のもとに忍んで行くといっても、下世話人のごとくこそこそしたものでわありません。
行列こそ作りませんが牛車に供をつけての忍び。その気になれば身元を明らかにすることなど造作もないことです。わかってみれば、相手が光源氏殿。
誰でもが塀の外でひっそりと調を聞くしかありません。