棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

40-珍訳源氏-女の怨念

2009-07-26 09:37:12 | 物語・絵本・童話
40女の怨念
源氏殿に訊ねると、懐妊中の正妻-葵の上を見舞ったとき、寝室の隅に六条の御息所の生霊--いきりょうをみて、ぞっとしたという。
六条の君にはしばらく会いに行っていない。もしやそのことが原因なのか知れない。申し分のない教養と美しい姫だが、惜しむらくは気性が激しいことである。
妻・葵の上にお子ができたことも面白くなかったのでしょう。
なんといっても先の加茂の祭りの折に、葵の上の車と六条の君の車とに、並び順番のことで争いがあったらしいのです。
私はたいして気にもしていなかったのですが、六条の方は辱めを受けたと、かなり恨み辛みがあったようです。
真に女子の嫉妬心の強さには理解できませんが、むしろ自分の不備で、生霊にまでなって恋焦がれてしまうことに、六条があわれでならない。と光源氏殿は語った。
私はお聞きをして恐ろしくもありますが、生霊とまで成っても恋焦がれる女性がおいでになる光源氏殿が多少なりともうらやましくもあった。

イラスは「暮景の女」シリーズより

ryusun

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