お話を戻しましょう。
下下との気取らないお遊びを覚えてしまったそんな日々を送っていたとき、父左大臣のお供でさる屋敷に赴いた。そこでチラリとみた姫にとりこになってしまった。
なんといったらいいのか・・・そお、梅雨も上がり、夕刻のうす明かりにボーーと咲く・・・ナンという花でしたか・・・・。
「夕顔」ですかと源氏殿かいった。そお、とりわけ美しいのではないのですか、清楚でやさしく控えめな姫にむちゅうになり、下賎の女との遊びはぴたりとおわってしまいました。
「身分はともかく、気立てのいい女に情がうつって、面倒を見ていたが、妻にばれてしまい、遠のいてしまった。あるとき女からの手紙に撫子の花がそえられていた。私たちの間に女の子が生まれていたのさ。そのうちに、女も子供も消えてしまった。いくら探しても解らないのだ。不憫でならないが、あまり、気の弱いのも問題だよ」
光源氏はいたく、興味を示された様子だった。
まさか、この姫と源氏殿がめぐり合うとは誰がおもったであろう。さらに、私の娘と源氏殿が10数年後に結びついてゆくなど・・・・運命のいたずらというより、いにしえの縁だったのだろうか。
下下との気取らないお遊びを覚えてしまったそんな日々を送っていたとき、父左大臣のお供でさる屋敷に赴いた。そこでチラリとみた姫にとりこになってしまった。
なんといったらいいのか・・・そお、梅雨も上がり、夕刻のうす明かりにボーーと咲く・・・ナンという花でしたか・・・・。
「夕顔」ですかと源氏殿かいった。そお、とりわけ美しいのではないのですか、清楚でやさしく控えめな姫にむちゅうになり、下賎の女との遊びはぴたりとおわってしまいました。
「身分はともかく、気立てのいい女に情がうつって、面倒を見ていたが、妻にばれてしまい、遠のいてしまった。あるとき女からの手紙に撫子の花がそえられていた。私たちの間に女の子が生まれていたのさ。そのうちに、女も子供も消えてしまった。いくら探しても解らないのだ。不憫でならないが、あまり、気の弱いのも問題だよ」
光源氏はいたく、興味を示された様子だった。
まさか、この姫と源氏殿がめぐり合うとは誰がおもったであろう。さらに、私の娘と源氏殿が10数年後に結びついてゆくなど・・・・運命のいたずらというより、いにしえの縁だったのだろうか。