「哺乳類の中で、おっぱいが大きいのはヒトの女性だけって、知っていました」と70代後半の男性から聞かれました。「えっ、そうなんですか」と答えると、男性は「このことにも二足歩行が関係しています」と加えました。
そこで調べてみたら、その通りでした。
地球上に6000種類といわれる哺乳類のメスはみな乳房を持っていますが、ホモサピエンスの女性の乳房は他の動物に比べると、ずっと大きいのです。
他の哺乳類は排卵や授乳のとき、一時的に乳房が発達します。授乳が終わり、ミルクが出なくなると乳房は消滅します。
ヒトの女性の乳房は思春期に発達し、その後もその大きさを維持しています。乳房の90%は脂肪です。
なぜ、女性のおっぱいが大きいのか、いろいろな説がありますが、最も有力なのが性的魅力説です。進化論を提唱したチャールズ・ダーウィンが最初に唱え、動物学者のデズモンド・モリスが「裸のサル」で探求しました。
他の動物のオスは、メスの生殖器の状態から、発情期を知ります。ところが、ヒトが二足歩行を始めたとき、生殖器がはっきり見えなくなりました。モリスは、女性が性的に成熟しているかどうかを男性が確認する手段がなくなった結果、乳房が発達したのかもしれない、と考えました。
でも、この説では乳房が閉経しても残っている理由が説明できません。ネットには、乳房は「永遠に腫れあがった性皮」との見方もありました。