40代の女性は突然の激しい頭痛に襲われました。行きつけの医院を受診しましたが、原因がわかりません。医院の紹介で脳外科専門病院を受診したところ、脳動静脈奇形と診断されました。
脳動静脈奇形は脳血管の生まれつきの病気です。脳の血管の一部が毛細血管にうまく分かれることができない異常な血管になり、動脈と静脈が直接つながってしまいます。動脈の強い圧力が静脈に加わったり、異常な血管にかかったりすると、脳内出血を起こす恐れがあります。
10万人に約1人が発症するという難病でした。血管が丈夫だった若いときは病状が出なかったのですが、中年に入り、発症したようです。
女性は、専門病院で開頭手術を受け、異常な血管を取り除き、毛細血管を正しい接続にしました。20時間を超える難手術だったといいます。その後、頭蓋骨を癒合する手術を受けました。
女性には3人の小さな子どもがいました。幸い祖父母が元気でしたので、祖父母が育児を看てくれました。家事も手伝ってもらいました。
大きな後遺症はなかったものの、脳の一部にメスが入ったことで、固有名詞が出てこなくなりました。時には普通名詞も忘れてしまうこともありましたが、順調に快復していきました。
手術から3年がたちました。日常生活に支障がなくなりましたが、普通名詞が時折出てこないことがあるといいます。お盆の名前が出てこず「あの丸いもの」と言ったりしますが、身振り手振りで示して、コミュニケーションには支障がないといいます。