足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

東京の為替業者の存在感・・・円相場を動かした

2016-04-25 06:01:23 | 投資戦略
ウォール街では先行きの相場見通しについて見方が分かれる。
先週は史上最高値(1万8312ドル)まであと一歩のところまで進み1万8096ドルまであった。
今週のバロンズ誌のカバーストーリーは年2回の機関投資家を対象にした調査では強気、超強気の回答が38%で6ヵ月前の55%、1年前の45%よりも減少した。このアンケート調査(20年間続いている)ではもっとも低い水準になった。プロの運用者たちは慎重な姿勢に転換している。
慎重論の背景には企業収益の不振、景気鈍化とリセッション入り懸念、中国問題、地政学リスクをあげている。
当面の有望業種はエネルギー、基礎素材、金融、ヘルスケア、消費必需品の5業種である。昨年5月をピークにした下落相場の余韻が払拭されておらず、昨年2009年以来の足掛け7年にわたる上昇相場の調整局面は終わっていないとみる。
現在の相場の反騰は下落トレンドの中の一時的な戻り相場と判断しているわけだ。長期的な上昇相場になるには時期が熟していない。
足元の相場は、ことしの2月に底入れ最近まで15%反騰したものの、これはあくまで下落相場のなかでの戻りとみるのが慎重論の根拠である。米連銀の2回目の利上げの先送りが主因でリフレトレード(金融緩和を買う)の域をでていないとみる。

東京市場は今回の下落が昨年6月から、ことし4月の安値まで29%と大幅な下落になった。NY株のように戻り高値を記録するには40%上昇しなければならないという谷底に沈んだ。現在の戻り相場の反騰率は18%で、高値まではまだまだ上値余地が残されている。日本株を見る限り大底いれとするには早い。
日銀がこのような現状をみて、今週の政策会合で新しい追加策を出すかどうかが注目される
「ブルンバーグが今週の日銀の政策会合で金融緩和策をとると記者の観測記事報道した」と、本ブログで書いたが間違いであった。ブルンバーグの記者でなく「為替取引業者OANDA社のアナリスとの日銀での取材」の間違いであった。訂正しお詫びする。
それにしても為替取引業者のレポートが東京市場の円相場を動かし、ウォール街でも反響を呼び円相場に影響を与えたことには注目したい。株価の急騰にもなった。
為替取引の世界でも株式市場と同じように新しい取引業者の存在感が目立ちはじめた。
今週の日銀の政策会合の成り行きが大きな関心事になってきた。

来週は注目のイベントがある

2016-04-23 07:16:21 | 投資戦略
NY株はもみ合い。
2月の安値からNYダウ、S&P500はともに15%上昇した。米連銀の引締め政策の先送りが背景になり、指数は史上最高値に迫る。目下、発表中の第1四半期ではグーグルやマイクロソフトなど大どころの減額修正が散見される。ここでは上昇トレンドは一服するのは当然かもしれない。
季節的には“Sell in May”という経験則からみた縁起のよくない季節を迎える。先行き相場が史上最高値1万8312ドルを更新して新しい次元の相場展開にはいるかどうか、ひとつの節目にはいる。

来週の東京市場は日銀の金融政策の判断に関心が集まる。
先にマイナス金利政策に踏み切ったが、金融界からは不評で大手銀行の首脳はマイナス金利の及ぼす収益への悪影響を指摘し、銀行の収益の圧迫を問題にした。経営者としては当然のことで、銀行の利益が減り、株主に対しての経営責任が果たせないからでもある。
銀行はマイナス金利には反対であった。このような雰囲気を反映して円相場が買われて上昇し、株価は大幅な下落にった。一方、NY株はドル安を好感してダウ平均は1万8000ドル台に乗せ、日銀の政策がNY株の上昇の原動力になるという皮肉な現象になった。
ブルンバーグに為替取引業OANDA社のアナリストの日銀当局との取材の内容が報道され、一段の緩和政策観測したのが円安のきっかけを呼んだ。円相場はNY市場で110.80円になった。
米連銀が来週26日~27日、日銀は27日~28日に政策会合を開催するが、熊本の震災もあって、日銀は金融機関にもマイナス金利を適用する検討にはいったという観測が流れている。金融機関の収益を考慮した。個人金融資産の収益率がゼロになり、年金運用にも影響が出るとい余波ができたことに対応、株安の景気への影響にも配慮しはじめた。
昨日の東京市場では鉱業、鉄鋼、自動車、海運、倉庫、通信、銀行、証券、不動産など業種の銘柄が買われ、2012年末の安倍政権の誕生時のような様相になってきた。この東京市場の人気が持続性を持つかどうかは、政府と日銀の動きにかかってきた。

来週は相場にとって今後の動向を左右する時を迎える。



NY株は小休止・・・日米と自動車株に注目したい

2016-04-22 06:13:04 | 投資戦略
NY株は今週に入って初めて反落した。3日間の連騰のあとの反落。
特に悪材料が出たわけでなく、ナスダック指数はわずか-2.24ポイントで、これまで軟調であったバイオ関連株指数はプラスで終わった。
投資家のセンチメントは好転してきており、先高期待感は変わらない。

決算発表が本格化しているが、投資家の関心は足元の不振は株価に織り込みすみで、先行きの経営者の見通しに関心が集中している。
引け後、発表になったアルファベット(GOOG)、マイクロソフト(MSFT)の決算は予想を下回り引け後、株価は下落した。スターバックス(SBUX)は好調。

ウォール街でも自動車株に人気の回帰がみられる。足元の4月の自動車販売は好調で本年は1780万台と史上最高の記録になるとみる向きが多い。自動車販売は消費の先行的な指標で、米国景気の回復を先導する。

東京市場でも昨日は自動車株に人気は出た。三菱自の燃費不正問題という悪材料が出たが、他の自動車株は軒並み上昇した。本ブログで米国の人気運用者デビッド・ヘロー(オークマーク・インターナショナル)が日本株の重点銘柄としてトヨタ自(7203)、ホンダ(7267)に注力していることを紹介したが、昨日は両銘柄とも急騰した。
ほかに注目したいのはマツダ(7261)と富士重工業(7270)である。2013年のアベノミクス相場の牽引役になった。ともに米国での自動車販売の好調が続く。
自動車株はテクニカル面でも買い場である。


相場は地固め段階

2016-04-21 06:27:19 | 投資戦略
NY株は小幅ながら続伸した。
この日の相場の牽引役はエネルギー、ハイテク、金融、素材、製造業、一方、通信、公共関連は下落した。中国とインテルの決算不振という悪材料があったが、相場の上昇基調には影響がなかった。
「MarketWatch」は今回の相場の回復の理由を次のように解明している。
① 米連銀の株価への配慮
昨年は連銀が金融政策の転換の口火を切ったが相場が大きく反応し2009年3月以来の6年間の上昇トレンドに休止符を打った。イエレン議長は株式相場が自分の判断とは逆に下落したのをみて、方針を変更し本年4回予定の利上げを棚上げした。
② 日欧の中央銀行の金融緩和政策をはじめ主要国が一斉に利下げした。
③ ドル高トレンドがピークを付け昨年末から6%下落した。
④ 米国経済は年率2.4%~2.5%成長を維持し、他の先進国に比べて景気は底固い。
⑤ 悪役であった原油価格が底入れした。
NY株はNYダウの1万8000ドル台固めをしながら、世界の株価のリード役になってきた。足元の判断が間違いとみればすかさず調整するイエレン議長への信頼感はバーナンキ議長と同じような市場の評価を獲得しはじめた。目先は第1四半期の決算発表が個別株の動きを左右していく。

われわれが注目しているデビッド・ヘロー(オークマーク・ファンズ)だが第1四半期の報告書を公開した。21世紀初頭の最高の運用者という栄誉をもつ。
日本株ではオリンパス、セコムを売却したが、トヨタ自(7203)、ホンダ(7267)、野村(8604)が日本株の上位組み入れ銘柄。
第1四半期には半導体製造装置と台湾の半導体メーカーを新しく組み入れた。ハイテク業界の先行きの回復を先読みする動きである。


NY株に日欧も追随

2016-04-20 06:19:11 | 投資戦略
NY株は小幅高。世界の市場に先行して上がっただけにひと休止。しかし日欧、新興国市場は堅調。グローバルベースでみた相場は底堅い上昇基調入りした感を強くする。
目立つのは原油相場に続いて金相場である。昨日は6ヵ月ぶりの高値になった。
金鉱株にも人気が復調してきた。今回の金相場の上昇で注目されているのがヘッジファンドのジェームズ・ハリス・シモンズ(ルネッサンス・テクノノロジー)だ。大学で数学の教鞭をとりながら、独自の運用法を開発しソロス並みのヘッジファンの成果と資産を築いた。
あまり表面には出ないが、リーマンショック直前にソロスを上回る成果をあげ運用資産3兆円の大型ヘッジファンドを築いた。得意の数学の理論をベースにした戦略で、「相場はすべて情報を織り込んで形成され、動きはパターン化できない」というランダム・ウォーク論を自分の成果で覆した。数学の専門家を集め手作り上げた運用手法は門外不出だが、実績が彼の投資論のすぐれていることを証明した。最近は金相場の底入れを的確に予見し、金鉱株のシンボル的なバリックゴールド(ABX)に大量投資した。早くも実績がその理論のすぐれていることを実証した。
金相場は2011年に1,900ドルの史上最高値を記録し、昨年12月には1,050に沈んだ。最近の相場みると典型的な世紀の底値をつけたとみられる。日本の投資家にとってマイナス金利は有望な資金運用分野である。

東京市場はこれから物色範囲が拡大するだろう。
本欄で取り上げたそーせいグループ(4516)が人気株の大黒柱になったが、着実に成長戦略のニュースが出る。日本のバイオ技術の存在感を確立した。バイオ投資には避けて通れない存在である。

日本ペイント(4612)に注目。バフェットが塗料株を高く評価しているのにヒントを得た。