NYダウ平均は4日間、ナスダック指数は5日間それぞれ連続安になった。
今週からは始まった第3四半期の決算、大統領選の行へなどの不透明感が出てきた。
それに6月以来、ほぼ一本調子で上昇してきただけに調整局面を予想する向きも日増しにふえてきた。別に相場の基調に変化が出たわけではない。
日米とも大きな話題はソフトバンクが米国3位の通信会社のネクステル・スプリントの買収の報道である。
ソフトバンクにとっては先のイー・アクセス(9427)の2000億円に次ぐ大型買収である。
孫社長の飽くことを知らない野望が一度に噴き出た感じである。これまでは中国でのプレゼンスの確立に熱意を燃やしてきたが、今度は通信革命の本家本元の米国に関心が向かった。
売上でみると2012年3月期のソフトバンクが3兆2000億円、ネクステル・スプリントの2011年12月期が3兆6000億円である。売上ではほぼ拮抗している。
ただ営業キャシュフローはとソフトバンクが7400億円に対してスプリントは2600億円である。ソフトバンクが動き始めたのは米国での携帯電話業界での再編成の動きが出たからだ。
大手通信企業に次ぐ革新的な経営の地方電話会社の成長が著しく、小が大を呑む話も出ている。
スプリントの買収をめぐって様々な憶測が流れていた。
おそらく今回の案件は米国の投資銀行がソフトバンクに持ち込んだものとみられる。
東京市場での関心事はソフトバンクの株価である。今月初めのイー・モバイル買収の発表以来、-12%下落した。一方、イー・モバイルは3倍以上になった。スプリントの買収は現金で実行するのか、株式で支払うのかは不明だが、時価総額1兆3400億円の資金を現金で支払うのは無理だろう。自社株を利用する場合は株式の需給面に問題が出る。
ただ長期的にはソフトバンクの成長には大きなプラスであることは間違いない。
円高が株式市場を様々な形で揺さぶり始めた。