今週の注目材料は12~13日の米連銀のFOMCである。
先月末、ジャクソンホールでバーナンキ議長が講演会を行い、その内容では追加の金融緩和策に関しては5分5分の印象で、決定的なコンセンサスは見られなかった。
しかし先週末の8月の米雇用統計では新規雇用増が9万6000人と事前の予想14万1000人を大きく下回った。米国の景気の足元には依然として不透明感がある。
先週、ユーロ圏ではECB(ヨーロッパ中央銀行)のドラギ総裁が「金融市場の安定にはあらゆる政策を駆使」という持論通りスペイン、イタリアなどの国債の買い付けを実行することを決めた。
この流れに乗るように中国が公共投資1570億ドル(12兆4000億円)の追加策を発表した。これまで利下げを実行してきたが、今回は実弾を出した。
都市の道路、地下鉄、その他の建設投資に投じる。民主主義の国家とは異なり、中央集権国家の特権である政策運営を発揮して迅速な景気対策を出した。
久しぶりに上海、香港株がそろって3%以上の上昇になった。欧米や日本にみられない政策の柔軟性である。
賽は米連銀のFOMCに向かって投げられた。現実主義を持論とするバーナンキ議長がQE3(第3次量的緩和)に踏み切る可能性は1週間前に比べて一段と高まった。世界の政策の流れは景気テコ入れと金融市場の安定化に向かっている。
いち早く反応しているのは金相場である。
ヘッジファンドのジョン・ポールソンとソロスが6月から金の手持ちを増やしている。いずれもリーマンショック時には金融危機をテコに大きな利益をあげた運用者である。またロシアの存在感が金市場で注目される。
われわれも金相場を見直そう。かつてとは違って簡単に金投資ができる。上場投信のSPDRゴールド・シェア受益証券(1326)が簡便である。株式と同じように売買でき、市場性も高い。