界の市場の動きを左右する役者の勢ぞろいがはじまった。
まずECB(ヨーロッパ中央銀行)のドラギ総裁が第一番に舞台に上がった。無制限に国債の買い付けを実行する計画を打ち出した。引き続き中国が1500億ドルの景気対策を打ち出した。政策当局が舞台に誘い出されている気配を敏感に察した。
金曜日、米雇用統計(8月)が発表されたが9万6000人と7月の数字14万1000人に比べて大きく落ち込んだ。8月末のジャクソンホールでのお講演会ではバーナンキ議長はこの数字をつかんでいたはずである。来週、12~13日の連銀FOMCではQE3(第3次量的緩和)に踏み切ることはほぼ確実になった。
世界最大の債券運用のビル・グロス(ピムコ投資顧問)は、今日を見込んで米国債の比率を落とし住宅抵当証券へシフトしていた。国債相場は先行して上昇し、抵当証券が相対的に割安になったからだ。ここ1年、債券投資の世界では抜群の成果を上げ+8%の数字を記録した
このような舞台の裏で、動く気配もなく沈黙を守っている役者がいる。
日銀である。かつてはそれなりに注目された時期もあったが、ここ20年間は舞台にも呼び出されずに身を屈めて動かない。
時たま仲間いりに声を掛けられても、準備ができていないとしてじっとしたままである。
日銀は遅れて18~19日に政策会合を開くが、世界の流れにのって舞台に上がるチャンスをつかむのかどうか、期待感は薄い。日本経済の復活の突破口の円高対策を、最近の世界の潮流に乗って取り上げるべき時に来ているのにである。本来なら政治の世界からこの種のイニシアチブが出るべきだが機能マヒである。
世界の株価は「春に売って、秋の買い戻す」という経験則の成功ルールが、ことしは有効になりそうである。
投資戦略を前向きにする時がきた。