2008年9月、リーマン・ブラザーズが破綻した。
米国の金融危機が本格化する引き金になり、その後、日本企業の業績も崖から転げ落ちるように急低下した。2009年当時の経営者が業績を説明するときの枕言葉にはかならず「リーマン・ショックで・・・」というのがついた。
金融危機の発端になった本家本元の米国の株価は先週末、NYダウ平均が11,444ドルと2008年9月のリーマン・ショック直前の11,443ドルをわずかだが上回った。
しかし日経平均は当時の水準から20%下の水準である。
火事を起こした隣家は立派な建物を再建したが、延焼して迷惑をかけられた方は半焼のまま補修した建物で不自由な生活を送るという状況である。
こと投資家にとってはこの表現が当てはまる。
この差はどこから来たか。
米国は金融不安の解消を最大の課題にして連銀がなりふり構わず政策を遂行した。それに政府も景気対策に全力を投入し、景気を自律回復の軌道に乗せた。しかし日本の政策当局の腰の引けた対策が後手に回り、円高という最悪の副産物を残したままの状況が続く。
ただ企業は懸命のコスト削減を実行し、ようやく先行きには自信が蘇り始めた。このことを株価には未だ織り込まれていないのが現状である。日米の株価の差を埋めるプロセスにはいるかどうか、人気面での最大のカギは円相場である。