中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

如鳩と沼田居 展 ―― いのちの眼で見えるもの

2020年08月04日 | 工芸・アート
足利市立美術館で開催中の「如鳩と沼田居 展」に行ってきました。(~16日)
以前の当ブログでも沼田居についてはご紹介しましたが、師でもある如鳩の絵を観るのは初めてでした。

この展覧会を企画された足利市立美術館次長の江尻潔さんの解説付きで、二人の画家の関係性や、作品の詳細、裏話などを伺うことができました。
1周めは江尻さんのお話をうかがいながら、2周めは特に気になる作品を中心に一人で回りました。

二人の画家の作品もいのちを懸けた素晴らしいものですが、学芸員の江尻さんも渾身の企画で、素晴らしいと思いました。展示内容からでもそのことが良くわかりました。
緊急事態宣言が発出され、会期直前での延期、でも6月から再開できて本当によかったと思います。


カタログの中の最晩年の二人の絵と書。
左ページは如鳩83歳の未完のもので、大晦日に心不全で死去。年明けから彩色に入る予定だった。
右の沼田居「かきつばた抽象」は全盲になる直前の作。「空眼縣山人」は全盲になって号としたもの。かきつばた抽象は以前松涛美術館で観たもので、再会しました。

足美のWebサイトからあいさつ文を貼っておきます。

[ 牧島如鳩(1892-1975)と長谷川沼田居(1905-1983)はともに足利出身の画家です。
如鳩は、ハリストス正教会のイコン画家として教会を荘厳するイコンを描く一方、仏画を手がけ、さらにはキリスト教と仏教の図像を混交した他に類例を見ない作品を制作しました。沼田居は、如鳩の父閑雲に南画を、如鳩に西洋画を学びました。1960年ころから視力が減退し、最晩年の10年間全盲となりますが、描くことは生きることと等しく筆を折ることなく人生を全うしました。
 如鳩と沼田居は師弟の間柄ですが、作風も性格も大きく異なります。ただ二人に共通することは人生の後半に大きな転機が訪れたことです。如鳩においては神仏のダイレクトな感得であり、沼田居においては失明という、いずれも有無を言わせぬ体験でした。その結果、驚くべき作品の数々が遺されました。如鳩は独自の図像により目に見えぬ神仏を描き、沼田居は肉眼による「視力」に依拠しない前人未踏の画境を拓きました。本展は、両者の作品をともに展示し、足利が生んだ類いまれな二人の足跡をたどります。]

今展のカタログの最後に江尻さんは次のように書かれているのです。
[彼らの作品は光を発している。見たものは光を浴び、彼らが提示する光により照射された新しい世界に参入する。それはいのちの文脈として「一切の評論」を峻拒する絶対的な「自由の境地」なのである。]

観終えて、江尻さんもまた「自由の境地」で、いのちの眼で、いのちを懸けた企画、評論をしたのではないかという思いも、満ちてきました。

美術館は大きな空間にゆったりした展示で、密になることはありません。
感染防止対策もされていて、入館者は体温、手指消毒、住所を記す、マスク着用などのチェックがあります。
話をしている人もいませんし、土曜日でしたが込み合うということはありませんでした。
ショップやカフェも閉じられていますが、2階に一休みできる椅子はあります。
展示作品が多いので、一休みして観るのも良いかもしれません。
とても貴重な機会ですので、ご興味のある方は是非ご覧ください。
お盆休みは公共交通機関も空いていますし、混雑を避けて行けるのではないかと思います。私は新宿を避け、北千住経由で足利市まで行きましたが、道中も空いていました。

見終わってから、すぐ近くにあるartspace & caféでお昼を食べました。
ギャラリーの展示も拝見しながら、パイナップルスープカレーとチャイ、とてもおいしかったです!

食べるとき以外はマスクをして、わずかな滞在時間でしたが、長かった梅雨も明け、久々に日差しを浴び楽しい充実した時間でした。

コロナのことで、日々ストレスも溜まりますが、二人の画家が生きた道のりも大変厳しいものでした。
その中で亡くなる寸前まで何があっても仕事をし続け、描き続けた画家に敬意が湧くと同時に、自分自身にも置き換えて考えました。
こころを洗わせてもらいました。

また、とても良い企画展をされ続けている足美は、今後も注目していきたい美術館です。一人ふらっと出かけるのもいいですね。


この日は近江上布に透け感のある半幅帯をサクッと締めて出かけました。
半幅帯の詳細はHPの中野着姿をご覧ください。










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