夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

こだわり・・。   《初出2005.7.17.》

2008-04-21 19:41:06 | 読書、小説・随筆
昨日の読売新聞で、『編集手帳』というコーナーがあるが、
色々と考えさせられた・・。

無断であるが、転記させて頂きます。


瀬戸内寂聴。
村上春樹。
よしもとばなな。
いずれ劣らぬ当代の人気作家には、共通点がある。
文壇の登竜門といわれる芥川賞も、
流行作家への通行手形である直木賞も受賞していない。

昨年、19歳と20歳の芥川賞作家が誕生して話題になった時、
瀬戸内さんが本紙に寄せた一文は、
縁のなかった両賞への思いを語って印象が深い。

「この二つの有名な賞を受賞してなくても、
作家にはなれるという標本としての希少価値をひそかに誇っている」。

二つの賞が創設されて今年で70年になる。
第1回の石川達三(芥川賞)、川口松太郎(直木賞)以来、
受賞者の錚々たる顔ぶれがあればこそ、
瀬戸内さんの言う無冠の「希少価値」も一層輝くのだろう。
    
     (略)

心ひそかな矜持を語った瀬戸内さんの言葉には続きがある。

「(芥川賞と直木賞の)授賞式には、
どんな好意を持っている受賞者がいても出席したことはないし、
これからも出席しないであろう」と。

すでに独自の文学世界を築き、
仏につかえる心静かな境地にいる人の胸にも、
小さなわだかまりを刻印する。
伝統の魔力だろう。


以上が新聞記事であった。


私が東京オリンピックが過ぎた翌年の頃、
このお方が、瀬戸内晴美であった頃、私はひとつの小説を友人間で絶賛した。

昭和38年に発表した『夏の終り』であった。
そして、この作家の『花芯』、『女子大生・曲愛玲』等を読んだりした。
確かに《瀬戸内晴美・初期全集?》あった、と記憶する。

本は3000部程度が、純文学の世界だし、
それ以上売れた場合は、文学評価と違った要素である、と綴られていたので、
私はびっくりした。

この人の昨今まで、新聞記事のように、
ある程度の世界を築かれても、
わだかまり、があるのには、驚きを禁じえない。

人は、幾つになっても、達観が難しい、と今更ながら考えさせられた。

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