昨夜、ときおり愛読しているネットの【ダイヤモンド・オンライン】を見ていたら、
【 年金生活者が確定申告をしないと大損する理由】と見出しを見た・・。
私は民間会社の中小業のある会社に35年近く勤めて、2004年(平成16年)の秋に定年退職し、
この間、幾たびのリストラの中、何とか障害レースを乗り越えたりしたが、
最後の5年半はリストラ烈風が加速され、あえなく出向となった。
そして遠い勤務地に勤め、この期間も奮闘した結果、
身も心も疲れ果てて、疲労困憊となり、定年後はやむなく年金生活を始めたひとりである。
こうした年金生活の中で、確定申告に関しては、厚生年金、わずかな企業年金以外に
積立型個人年金の分割払い、或いは医療控除があったりし、
毎年の2月頃に、『所得税の確定申告』を所属地域の税務署に郵送をし、早や12回をしてきた。
しかしながら私が気付いていない確定申告について学ぼうと思い精読し、
税金などに関しても苦手な私でも、解りやすく表現されて、
やがて多々教示されて、そうだったの・・と独り微苦笑を重ねたりした。
この記事は、(株)生活設計塾クルー取締役、ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんが、
『老後のお金クライシス!』連載している中のひとつの寄稿文であり、
【ダイヤモンド・オンライン】に2017年6月28日に配信されていた。
そして深田晶恵さんに感謝をしながら、年金生活の多く御方と共有致したく、
あえて長々と無断であるが転載させて頂く。
《・・
☆税金・社会保険料の上昇で、年金の手取り額は下がり続けている!
あるシニア女性向けの雑誌で、取材依頼を受けたときのこと。
「年金生活のお金」に関する読者アンケートの自由記述欄に「税金の負担が重い」と書く読者が多く驚いた。
読者の年金収入の分布を見ると、言うほど税金が多額とも思えない。
現役時代の給与にかかる税金のほうが、よっぽど重たかっただろうにと、
隣の席に座っている同僚FPに話してみたところ、
「年金にかかる税金といえば、FP的に考えると所得税と住民税だけど、
普通の人にしてみると、引かれているものと納めるものは、すべて“税金”の感覚なのかもよ。
国民健康保険料も介護保険料も全部税金。固定資産税も自動車税もあるしね」と言う。
なるほど、その通り。
“お上に払うものは、すべて税金”の感覚なのだろう。
そして、年金生活に入り、収入がダウンしたからこそ、負担感が増したのかもしれない。
一方で70代後半から80代以上の人が感じる「負担増」は、れっきとした事実である。
本コラムの第62回『65歳以降「年金だけでは暮らせない」という現実』でも取り上げたように、
年金の手取り額は毎年減り続けている。
紹介した試算は、公的年金と企業年金を合わせて、額面年300万円受け取っている人のケースで、
手取り額は1999年(公的介護保険導入の前年)には290万円あったのが、2016年は257万円。
17年間で33万円も減っているのである。
原因は、税金と社会保険料(国民健康保険料と介護保険料)のアップである。
どちらも自分では、コントロールしがたい出費であるが、対策がないわけではない。
確定申告をすることで税金を減らし、場合によっては社会保険料の負担も少なくすることができる。
確定申告をすることのメリットを解説する前に、年金収入の課税の仕組みを見てみよう。
☆年金収入の「課税最低ライン」は、304万円から196万円に下がった!
2005年、年金生活者にとって、大きな増税となる税制改正が実施された。
65歳以上を対象として、税金を計算するうえでの「控除」が縮小・廃止されたのである。
図(1)を見ながら解説しよう。
「控除」は「非課税枠」と考えるとわかりやすい。
図にある通り、専業主婦だった妻がいる65歳以上の年金生活者が、
受けられる控除を積み上げると、改正前の控除額の合計は、304万円だった。
つまり、年金収入が304万円までは、所得税がかからないということ。
「課税最低ライン」である。
2005年に公的年金のみなし経費である「公的年金控除額」が縮小された。
最低額が140万円から120万円に減る。
そして、「65歳以上の人はお年寄りですから、税金の負担を軽くしましょう」という意味合いで
「基礎控除(38万円)」と別に存在した「老年者控除(50万円)」が廃止された。
収入がゼロの配偶者がいる場合、「配偶者控除(38万円)」の他に「配偶者特別控除(38万円)」がダブルで受けられたのだが、
前年の2004年になくなっているので、それも合わせると控除額は、わずか2年間で108万円減少したのである。
これらの改正により、65歳以上の年金生活者の課税最低ラインは、196万円になった
(厳密に言うと、住民税は控除額が小さいものもあるので、住民税の課税最抵ラインは186万円)。
このことは改正当時、大きな話題にならなかったが、
年金生活ウォッチャーの私は、驚愕の大増税だと思っていた。
なぜなら、元サラリーマンの年金生活者の多くが「非課税」だったのが、
改正により、ほとんどの人が「課税」になったからだ。
☆ほとんどの年金生活者が課税に、自治体の住民サービスにまで影響
40年くらいサラリーマンだった人(男性)の公的年金額(老齢厚生年金と老齢基礎年金の合計)の目安は、
平均給与や年金加入期間によっても異なるが、200万~240万円。
平均給与が高かった人でも、250万円くらいなので、改正前なら、ほとんどの年金生活者は、所得税も住民税も非課税だった。
退職金を年金受け取りして、仮に公的年金との合計収入額が320万円だとしても、
改正前は非課税枠が304万円あったので、課税対象となるのは、ごくわずかの額で済んでいたのである。
夫婦ともに年金収入が「非課税の枠」内におさまっているなら、
「住民税非課税世帯」に分類され、医療費負担が少なくなったり、自治体の住民サービスを安く受けることができたりする。
たとえば、医療費の高額療養費は、所得区分によって1ヵ月の自己負担限度額が異なり、
住民税が非課税だと、限度額は最も少なくなる。
介護保険料も「住民税が課税か非課税か」で保険料算定の区分が異なる。
細かいことであるが、都内在住の70歳以上の高齢者が利用できる
「シルバーパス(バスや都営地下鉄などに無料乗車できるパス)」の購入費用は、
住民税非課税なら1000円、課税所得が125万円以上なら1万255円と約10倍の開きがあるのだ。
控除額の廃止・縮小は、税負担が増えるだけでなく、
社会保険料負担や自治体の住民サービスにも、大きな影響を及ぼすことを覚えておきたい。
国や財務省が増税をしたいとき、通常は早くから新聞などで増税案を発表し、「世論」を探るステップを取る。
消費税増税や配偶者控除の廃止などは、議論が活発だった記憶があるだろう。
しかし、「老年者控除の廃止」と「公的年金控除の縮小」は、改正案が紙面に載ることはなく、
いきなり年末の「税制改正大綱」で発表になり、大きく騒がれることはなく、そのまま法案が通ったのである。
消費税などに比べて、わかりにくいし、新聞記者は現役で働いているので、
大きな関心を持たなかったのかもしれない(私は当時、憤慨していた)。
控除の種類や課税の仕組みを知らないと、増税案が出てきたとき、文句を言うこともできないのである。
☆年金生活者こそ毎年の確定申告をしないと大損!
税金や社会保険料の負担を減らし、少しでも手取り額を増やすには「確定申告」が有効だ。
セミナーに来る年金生活者に「毎年確定申告をしていますか?」と聞いてみると、
「医療費が多額にかかった年だけ」と答える人が、ほとんどだ。
サラリーマンだった人は、確定申告をした経験が少ないから、
「するほうがトク」なことに、気がつかないのである。
公的年金収入がおよそ200万円以上あると、年金から所得税が、源泉徴収されている。
日本年金機構が源泉徴収の金額を計算する際、
考慮しているのは「扶養している家族」と「年金から天引きされている介護保険料」の2点だ
(75歳以上は「年金から天引きされている75歳以上の後期高齢者医療保険の保険料」も考慮する)。
実際には、介護保険料だけでなく、国民健康保険料も払っているし、
民間保険会社で医療保険などに入っていると、生命保険料控除を受けることもできる。
しかし、年金機構は年金から天引きしている介護保険料以外のものを把握することはできないから、
源泉徴収される所得税は、本来の額よりも「多め」に引かれることになる。
現役時代は、勤務先が年末調整で、所得税計算に必要な情報を社員から集めて再計算し、過不足を精算してくれるが、
年金生活者には、年末調整の仕組みがない。
だから、確定申告が必要なのだ。
確定申告のメリットは、払いすぎた所得税の還付を受けることにとどまらない。
翌年の住民税は安くなるし、自治体によっては翌年の国民健康保険料や介護保険料が安くなる場合もある。
年金収入が220万円程度で、国民健康保険料、生命保険料、地震保険料の控除を受けるために確定申告をすると、
「住民税非課税」になる可能性は高い。
そうなると、メリットはさらに大きくなる。
☆確定申告が不要でラクと思ったら、税務署の思うつぼ
こうした仕組みを知っていると
「そうか、年金生活者は確定申告が必要なんだ」と思えるかもしれないが、
前述の通り、メリットがあるにもかかわらずに申告をしている人は、少ないのが現状だ。
税務署は「年金生活の人は、確定申告するといいことありますよ」と広報はしていない。
税金の還付(税務署にとっては税収が減る)だから、わざわざお知らせしないだろう。
それどころか、2011年に「公的年金が年400万円以下、かつ年金以外の所得が年20万円以下の場合は、
所得税の確定申告は不要」という制度ができた(公的年金等に係る確定申告不要制度)。
これを「年金生活者は確定申告をしなくていいんだな」と読むと、税務署の思うつぼ。
確定申告をしないと、国や自治体は、税金を多く取ることができるのだ。
「確定申告をしてはダメ」ということではないので、申告してちゃんとメリットを享受しよう。
(略)申告をするかしないかで、長い老後生活の損得は変わってくるのである。・・》
注)記事の原文に、あえて改行を多くした。
私は年金の総額より、所得税の源泉徴収額と介護保険料が差し引かれて振込額は知っていたが、
今回、初めて学んだことは、《・・年金機構が振込額を計算する際に考慮していることは、
介護保険料と扶養家族の2点だけだ・・》と知った。
このような関連で、《・・年金から天引きしている介護保険料以外のものを把握することはできないから、
源泉徴収される所得税は、本来の額よりも「多め」に引かれることになる。・・》
そして深田晶恵さんがご指摘の通り、国民健康保険料、生命保険料、地震保険料の控除、
或いは医療控除などが発生した場合、確定申告をすれば、
源泉徴収される所得税、ときには所得税の戻りもあり、
やがて連動して住民税、国民健康保険料も減額になることがある。
私は年金生活の中、12回ばかり『所得税の確定申告』をしてきて、
所得税の戻りもあったし、或いは国民健康保険料、生命保険料、医療控除などで、
新年度の住民税、国民健康保険料が旧年度より減額になり、微苦笑した体験もある。
このように私は、ボケない限り、毎年に確定申告をしょう、と改めて決意をしたりした。
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