井山棋聖が山下九段の挑戦を受けて戦っていた囲碁の棋聖戦7番勝負は井山棋聖が4勝2敗で防衛した。最初から井山棋聖が3連勝し、あっさり決まってしまうかと思われたが、そこから山下挑戦者が2勝を返し、白熱してきた。しかし第6局を井山棋聖が制してタイトル防衛に成功した。
内容的にも面白かった。二人とも戦い志向なので激しい読みのぶつかり合いになる。しかし、全体的には井山棋聖のほうが一枚上という印象である。井山棋聖が勝つ時は危なげなく勝っているのに対して、山下挑戦者が勝つ時は優勢になっても激しい追い込みがあり、辛くも逃げ切ったという印象があった。従って、井山棋聖が2連敗した時にも精神的に追い込まれたというような問題がなければ最後は井山棋聖が勝つだろうと思っていた。
その井山棋聖は7大タイトルのうち6冠を制しており国内では圧倒的な強さを示しているのだが世界戦では中国、韓国の棋士になかなか勝てない。世界戦は持ち時間が短いので長い持ち時間の日本スタイルの碁を一度、世界戦の優勝者と井山棋聖の間で企画してくれないかな、と考えているが実現は難しいだろう。囲碁のプロ棋士は日本棋院または関西棋院に属しているのだが、この棋院が現状の棋戦の運営をするただの事務方になっていて、運営力というか企画力が乏しいように思う。何となく、大相撲協会と似ているような感じを受けている。プロ棋士以外の人材を理事に入れるなどの活性化の対応が必要だと思う。
7大タイトルのうち6冠を抑えている井山棋聖にしても年間勝率は7割台である。囲碁界では過去に坂田名人が1年間だけ勝率8割に達したことがあるが、それ以外は勝率が高くても7割台である。将棋界では羽生名人が7冠を制覇したことときに年間勝率8割3分を達成しているのが過去最高である。そう考えると大相撲の横綱白鵬の年間勝率9割を超える成績は超人的に思える。白鵬の年間勝率はここ数年間9割を超えている。アマチュアスポーツでは例えばレスリングのアニマル渡辺選手の国内外含めて189連勝という記録があるが、プロ制度がが定着している相撲以外の競技でスポーツや囲碁将棋などを含めて年間勝率9割を超える人は他に見たことがない。大相撲の横綱は過去にも年間勝率9割を超える人がいたようである。瞬時の動きで勝負が決まる大相撲でこの勝率が達成できるのはなぜなのだろうと思うと同時に、改めて横綱白鵬の偉大さを思う。