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ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

井山棋聖、4勝2敗で防衛

2014-03-17 08:31:41 | 囲碁

井山棋聖が山下九段の挑戦を受けて戦っていた囲碁の棋聖戦7番勝負は井山棋聖が4勝2敗で防衛した。最初から井山棋聖が3連勝し、あっさり決まってしまうかと思われたが、そこから山下挑戦者が2勝を返し、白熱してきた。しかし第6局を井山棋聖が制してタイトル防衛に成功した。

内容的にも面白かった。二人とも戦い志向なので激しい読みのぶつかり合いになる。しかし、全体的には井山棋聖のほうが一枚上という印象である。井山棋聖が勝つ時は危なげなく勝っているのに対して、山下挑戦者が勝つ時は優勢になっても激しい追い込みがあり、辛くも逃げ切ったという印象があった。従って、井山棋聖が2連敗した時にも精神的に追い込まれたというような問題がなければ最後は井山棋聖が勝つだろうと思っていた。

その井山棋聖は7大タイトルのうち6冠を制しており国内では圧倒的な強さを示しているのだが世界戦では中国、韓国の棋士になかなか勝てない。世界戦は持ち時間が短いので長い持ち時間の日本スタイルの碁を一度、世界戦の優勝者と井山棋聖の間で企画してくれないかな、と考えているが実現は難しいだろう。囲碁のプロ棋士は日本棋院または関西棋院に属しているのだが、この棋院が現状の棋戦の運営をするただの事務方になっていて、運営力というか企画力が乏しいように思う。何となく、大相撲協会と似ているような感じを受けている。プロ棋士以外の人材を理事に入れるなどの活性化の対応が必要だと思う。

7大タイトルのうち6冠を抑えている井山棋聖にしても年間勝率は7割台である。囲碁界では過去に坂田名人が1年間だけ勝率8割に達したことがあるが、それ以外は勝率が高くても7割台である。将棋界では羽生名人が7冠を制覇したことときに年間勝率8割3分を達成しているのが過去最高である。そう考えると大相撲の横綱白鵬の年間勝率9割を超える成績は超人的に思える。白鵬の年間勝率はここ数年間9割を超えている。アマチュアスポーツでは例えばレスリングのアニマル渡辺選手の国内外含めて189連勝という記録があるが、プロ制度がが定着している相撲以外の競技でスポーツや囲碁将棋などを含めて年間勝率9割を超える人は他に見たことがない。大相撲の横綱は過去にも年間勝率9割を超える人がいたようである。瞬時の動きで勝負が決まる大相撲でこの勝率が達成できるのはなぜなのだろうと思うと同時に、改めて横綱白鵬の偉大さを思う。

 


囲碁部のOB会

2014-01-12 16:33:02 | 囲碁

土曜日、日曜日と熱海で大学の囲碁部のOB会の合宿に行ってきた。ここ6年ほど熱海の温泉で行っているが幹事の人の熱心な呼びかけで最近はいろいろなところから集まるようになった。東京近辺はもちろん、名古屋地区、関西、東北に住んでいる人も集まって総勢29人の盛会だった。

クラブ活動のOB会は職業も年齢の違う人たちが集まっていて同窓会とは全く別の楽しさがある。私は高校の卓球部のOB会にも出ているが、卓球部の場合には今も卓球をやっている人は少なく、集めって飲むだけであるが、囲碁部の場合には60歳、70歳になっても囲碁を続けている人が多く、集まるとおしゃべりではなく、囲碁大会になる。昨日からスペインのマドリッドで棋聖戦の挑戦手合いが始まっている。このことも話題になった。

囲碁大会は持ち時間を決めて手合い時計を使う、大会形式である。たまに軽口を聞く人もいるが、ほとんどは黙って、勝負に熱中する。大学囲碁部なので実力は皆高く、そこらの碁会所ではなかなか巡り会えない相手と、たっぷり打てる。囲碁は手談という別名があるくらいで、対局すると相手の気持ちが伝わっている。全体で6局打って私が3勝3敗だったが、もう一つくらいは勝てたはずで、自分では多少不満だった。

韓国の囲碁年間が置いてあったので、何局か並べてみた。日本のプロとは姿勢が違う。以前書いたように囲碁には戦略を立てる「大局観」と戦術を決める「読み」が必要である。プロなら両方を持っているが、日本の棋士は、「読み」で「行ける」と判断しても、大局観が「危ない」と告げれば決行しない。危ない道を渡らずに確実に勝つ道を探す。しかし、韓国の棋士は「読み」のほうを優先し、「行ける」と判断すればやっていく。無難な手を続けていると押し切られてしまうことが多いのだろう。しかし、プロとて神様ではないので、読み間違いもある。負けるときは比較的簡単に負ける。危ない道を渡るので、抜群の勝率を続けることは難しい。しかし、道場剣法ではなく真剣勝負を毎日やっているので感覚が研ぎ澄まされていく。それが日本の棋士が勝てなくなってきた理由ではないかと感じた。

OB会に話を戻して、いわゆる近況報告とか、他の人はどうしているとかいうことは食事時間などの雑談で話をする。全員と話すわけではないので、年齢の近い人の近況を聞くことになる。私以上の年齢の人は囲碁を楽しむという感覚だが、若い人(50歳くらいまで)は研究熱心で雑談の時間も詰碁を解いたり、その日に打った碁を並べ替えして研究している。強いはずである。

「友あり遠方より来る」そして趣味の囲碁を楽しみ、酒を飲み、温泉に入る、楽しい一日だった。

 


囲碁名人戦、井山挑戦者が6冠に

2013-10-18 08:15:14 | 囲碁

昨日、以後の名人戦第5局があり、挑戦者の井山棋聖が山下名人を破って4勝1敗で名人位を奪取した。これで井山氏は7大タイトルの内6タイトルを独占する快挙である。残る一つのタイトルである十段位は昨年の今頃は持っていたのだが、今年の春に関西棋院の結城九段(現十段)に取られている。

内容的には去年より物足りない感じが残った。山下名人が自分のペースに持ち込めない碁が多かったように思う。昨日の午後は私は学会に出席していたのだが、他の人の講演を聞きながらインターネットで名人戦中継をチラチラ見ていた。ずっと井山挑戦者が有利だと思っていた。ところが自分の講演の順番が回ってきて講演を終えて席に戻って改めてみるとどうも逆転している。私は白120の点を打たれてしまったのが失敗だったと思っている。優勢になったときは戦いを避けて囲いあいにするのが勝ちやすいのだが、計算を間違えたのだろう。井山氏にしては珍しい判断ミスだと思う。

その後、再逆転したのは山下名人が無理に頑張ったからである。山下名人も形勢判断ができていなかったのだろう。おそらく持ち時間が亡くなってきていたのだろうと思う。時間がなくなると乱れるのが、日本の棋士が中国、韓国に勝てない最大の要因だと思う。

今の日本囲碁界が井山6冠が頭一つ抜けており、それに続く、張栩、山下、高尾、羽根、河野の5強が挑戦者として勝ちあがってくるという形でこの6人はそれ以外の棋士に殆ど負けていないというデータを今年の初めに示したが、最近は張栩の調子が落ちてきていて他の棋士に結構負けるようになってきている。以前「張栩の碁が荒れている」と書いたがその影響が成績に出てきたのではないかと思っている。

井山6冠には来年春の十段戦の挑戦者になって全冠制覇してもらいたいところだが、その前に来週21日からの天元戦の挑戦手合いで挑戦者の秋山九段に勝ち、24日からの王座戦の挑戦手合いで挑戦者の張栩九段に勝たなくてはならない。挑戦手合いの同時進行で体力的に大変だと思うが秋山九段よりは地力が上だし、張栩九段は調子を落としているので両方勝つ可能性は高いと思う。その次に棋聖戦が待っており挑戦者は今回負けた山下前名人または村川7段だが、やはり山下前名人が出てきたほうが大変だろう。

最後の十段戦は挑戦者決定プロセスがトーナメントなので勝ち抜くには大変だが、敗者復活制度があり1度は負けてもまだ挑戦者になれる可能性が残っているので、今の井山氏の力なら挑戦者になれる可能性はかなりあると思う。これからの各種挑戦手合いが楽しみである。


囲碁、井山六冠の特集番組

2013-04-21 18:28:52 | 囲碁

囲碁で井山裕太氏が史上初の6冠となった事をNHKの教育テレビで取り上げ、6つ目のタイトルの棋聖戦の勝負どころの感想を解説していた。番組は師匠である石井九段が「この手はプロでも驚いていたけど、どの辺りから考えていたの?」と聞いてそれに井山氏が答える形で棋聖戦挑戦手合いの勝負所を解説していた。囲碁の解説というよりは、プロでもほとんどの人が気が付いていなかったような点を、どういう気持ちで打っていたのかという人間性のようなものを引き出そうとする番組だったが、プロ同士の会話なのでかなり強い人でないとぴんと来なかったかも知れない。

私が感心したのは第5局で、黒ががっちり地を固めて白番の井山氏が攻めに行ったあたりで、私は井山氏が苦しい局面だと思っていたのだが本人は苦しいと思っていなかった点である。一見して黒字が多く、白は黒石を攻めることはできそうなのだが攻めてどこに地を作ればよいかが見えない局面で、相手の石を取ることもできそうになかった。しかし、井山氏は「互角以上」という感触を持っていたようである。それは攻められる黒石は捨てられないほど大きく、周りの白石にも弱みが無いからだった。こういうところの感覚は井山六冠と残る一つのタイトルを持っている山下名人に共通している感じがする。実際、その碁は白が上手く攻めて勝った。

番組の中で様々な人の井山評が出てきたが私が普段感じている「井山氏は江戸時代の本因坊秀策と似ている」と言った人は居なかった。本因坊秀策は「ヒカルの碁」でサイとして出てきた江戸時代の名人である(実在の人物)。囲碁の名人クラスは誰でも考え方が柔軟で構想力がある。構想を立てるのだが相手のいることなのでそれを邪魔してくる。そのときにプランBを用意しておいて邪魔するならプランB にする、という考え方が柔軟でかつ上手いのである。そして結果として相手を攻める形になることを好むあたりが秀策と似ていると思うのである。攻めは好きな名人クラスの人として過去に藤沢秀行とか大竹英雄とかいう人たちが居たが、こういう人たちよりも井山氏のほうに秀策との近さを感じる。

日本国内では無敵の井山氏も韓国、中国にはなかなか勝てない。彼が韓国、中国の棋士をどう感じているのかを聞いてくれるともっと良かったのだがそこが少し残念である。


将棋でコンピュータが名人に勝つ日は近い

2013-04-19 13:53:17 | 囲碁

将棋界で電脳戦というコンピュータプログラム上位5種とプロ棋士5人が戦う企画を行っている。

プロ棋士側は、阿部4段〇、佐藤(慎)4段X、船江5段X、塚田9段は引き分けで1勝2敗1引き分けである。最後の三浦8段が勝って全体として引き分けとなる。三浦8段以外はトッププロとは言えず、塚田9段も団井は9段だが過去の人になっているのでまだ名人に勝つレベルにコンピュータがなったとは言えないが、総統に近いレベルまで来ている。注目の三浦8段の対局は明日である。

この勢いだと2年後くらいには名人と互角、その後はコンピュータのほうがどんとん強くなって人間は離させる一方ということになるのではないだろうか。幸い、囲碁の世界ではまだ人間のほうが大分強い。先日、プロ棋士の石田芳夫9段が4子置かせて負けたというのが話題になっている。石だ9段に4子で勝てると言えばアマチュアでは相当強いほうに入る。しかし、これも対局を繰り返すとコンピュータの癖を人間が掴んで人間側の勝率が上がる感じがしている。

チェスの世界では1996年に世界チャンピオンが初めて人間に勝ち、その後は離される一方である。最近はコンピュータがグランドマスター相手に駒を落として良い勝負になっている。チェスの世界ではプロの団体は無く、基本的にアマチュアである。選手をランク付けする仕組みはあり、世界の大会などで好成績が続くとグランドマスター(GM)という称号がもらえる。但しグランドマスターは世界に1000人以上いるので、GMに駒落ちで指したからといって世界チャンピオンに駒落ちで指せるとは言えないだろう。

チェスの世界はプロでは無いのでまだ良いのだが、将棋のようにプロでありながらコンピュータに勝てないとなると果たしてスポンサーが続くのだろうかというのが心配になる。今は珍しがっているが、人とコンピュータの対戦やコンピュータ同士の対戦では今一つ盛り上がらないのではないかと思う。コンピュータ同士の対局の棋譜にどれくらいの人がお金を払うだろうか。スポンサーがつかなくなって日本将棋連盟は解散してしまうのではないだろうか。コンピュータが職業をなくすことに複雑な思いがある。

考えてみればコンピュータにつぶされた職種は他にもたくさんある。これからもどんどん出てくるだろう。21世紀に入ってからは技術イノベーションが人の職業を奪っているという統計がある。20世紀までは技術イノベーションによって職を失う人がいても、それよりも新たに生み出される仕事が多く、全体としては職業は広がっていたのだが21世紀にはそれが逆転しているという。人の仕事というものの将来像を考える哲学を議論する必要がありそうである。


今年初めての囲碁

2013-04-09 08:03:46 | 囲碁

日曜日に市ヶ谷の日本棋院で開催された住友グループの囲碁大会に出席した。今年始めての碁を打つ機会である。会社のOBとして出たのだが成績は良くなかった。副将で出て2勝2敗である。負けた相手は決して弱くはなく負けてもおかしくない相手だとは思ったが、どちらかというと勝てるはずの相手だったと思う。

普段打っていないのでやはり時間がかかる。特に残り10分位になってから持ち時間の使い方が下手になっている。以前は10分あれば悠々と最後まで打ちきれる自信があったのだが、今はふと気がつくと残り2分位になっている。勝った碁も1局は残り1分位だった。形勢は有利でそれほど終盤で考えたつもりはなかったのに時間を使っている。

優勝は三井住友銀行だった。以前は弱かったのに急に強くなったような感じがした。終わるとその場で缶ビールと乾き物で簡単な懇親会を開く。極めてアットホームな大会で、こういう大会で勝てないとは自分も弱くなったなと改めて思う。

話は違うが今朝再び二子玉川から大学まで歩いた。今日は等々力通りに出て奥沢駅前を通って大学に向かう、ほぼ最短距離だと思う。あざみ野で6時24分の急行に乗ったので歩き始めたのは6時40分頃だと思う。大学に着いたのは7時45分だった。1時間とちょっとで大学まで来たことになる。前回もそれほど遠回りをしたつもりはなかったのだが万歩計で見ると2000歩ほど少なくなっている。

外に出るとピリッと寒いが、日差しは暖かい、この季節の朝の散歩は気持ちが良い。


囲碁、井山本因坊は史上初の6冠

2013-03-16 14:33:24 | 囲碁

囲碁の棋聖戦で挑戦者の井山本因坊が張栩棋聖に4勝2敗で勝ち、棋聖位を奪取した。これで7大タイトルの内、一人で6つを持つことになった。囲碁界では史上初である。残るは名人位だけである。

今回の棋聖戦は内容的には私にとって若干物足らなかった。序盤から中盤にかけて難しい戦いが始まり、おそらく一段落したときに、どちらかが有利になる。そこで劣勢になったほうが挽回しようとして色々やるのだが、結局うまく行かずに押し切られてしまった、という感じが6局ともあった。優位に立ったのが井山本因坊が4回、張栩棋聖が2回だった、という感じである。

井山本因坊はここ数年、優勢になっても手を緩めず、最強の戦いを続けて相手をつぶしてしまう、というような印象があったのだが、今シリーズの5,6局目の後半は確実に勝とうという姿勢が見られた。それはそれで良いのだが、劣勢になった3,5局目が簡単に押し切られた印象があり物足らなさが残った。

名人戦は今年の秋である。既に井山本因坊はリーグ戦で1敗しており(高尾9段に負け)、挑戦は容易ではないが全勝が張栩棋聖で、直接対決が残っているのでまだ可能性はある。将棋の羽生3冠に続いて7冠達成という大記録を作るかもしれない。

先日、ここ10年くらいの10段戦の挑戦手合いの棋譜を見てみた。小林光一、武宮正樹、王立誠、趙治勲、高尾紳路、張栩、井山裕太というような感じで覇者が移り変わってきているのだが、内容的には私と同世代の武宮、小林の頃よりも最近のほうがはるかに険しく内容のある碁になってきている。やはり勝負どころは一か所という感じなのだがそこでの複雑さというか戦いの激しさが現在のほうがかなり上の感じがする。武宮、小林も若い頃は険しい碁を打っていたのだが、50歳くらいになると楽に勝とうという姿勢が伺え、それで若手に勝てなくなってきたのだという感じがする。やはり切磋琢磨の厳しさが重要なのだと思う。

棋聖戦は読売新聞社主催で、私はネットの読売新聞のサイトで棋譜を見ていたのだが、どういう訳か読売は結果についての対局者の感想などは一切ネットに載せない。どちらが勝ったということを書くだけである。私は毎日新聞を購読しているのだが1面に写真入りで大きく報じていた。ネット上でも、読売以外のサイトのほうが結果の意義などについては大きく報じている。読売には棋譜が載っているので不満はないのだが、読売にネットの扱い方は不思議な感じがする。


日本囲碁界の現状

2012-12-09 16:08:19 | 囲碁

以前から、私は日本の囲碁界は井山本因坊、山下名人、張栩棋聖を中心に回っていると思っていたし、書いていたが、対戦成績を見ると、この3人に羽根九段、高尾九段、河野九段の3人が加わった6強で回っているようである。そこで過去1年間の7大タイトル戦の予選を含めた対戦成績を調べてみた。NHK杯などの早碁と世界戦は含んでいない。

その結果は下記のようである

井山本因坊 6強対戦 27勝7敗、それ以外の対戦 17勝0敗

張栩棋聖  6強対戦 9勝15敗、それ以外の対戦 9勝3敗

山下名人 6強対戦 7勝10敗、それ以外の対戦 9勝3敗

高尾九段 6強対戦 8勝10敗、それ以外の対戦 17勝6敗

羽根九段 6強対戦 8勝14敗、それ以外の対戦 16勝3敗

河野九段 6強対戦 7勝10敗、それ以外の対戦 27勝3敗

6人の中でも井山本因坊が圧倒しており、他の人はその余波を受けて負け越しになっているが、それ以外の対戦では6人合計でも95勝18敗で8割以上の勝率である。この勝敗を見る限り井山1強で第2グループに5人、それ以外は離れているとみるべきかもしれない。以前「張栩の碁が荒れている」と書いたがその反動が今は来ている感じがする。戦いを仕掛ける仕掛け方に無理がある感じがする。碁の中身をみる限り張栩、山下は他の3人より少し上の感じがするが、戦いの仕掛け方をうまく捕まえないと張栩が脱落して行くのではないかと心配している。読みの深さは感心するものがあるので張栩氏にはまた復活してほしいものだと思っている。


井山本因坊、王座も獲得、5冠に

2012-11-23 13:04:53 | 囲碁

囲碁の王座戦挑戦手合いで挑戦者の井山本因坊が張栩王座に3連勝して王座のタイトルを獲得し、5冠になった。後は先日防衛した山下名人が持つ名人位と、今回敗れた張栩棋聖が持つ棋聖位だけである。この二つのタイトルが賞金額1,2位を占めているので、賞金という意味では効率の悪い稼ぎ方になっている。名人戦も羽根挑戦者と相星でリーグを終え挑戦者決定戦で敗れたので惜しいところだった。

今、天元戦で河野九段の挑戦を受けているが2連勝して後1勝で終わりなので多分防衛するだろう。その次の棋聖戦では高尾九段との挑戦者決定戦に勝って井山氏の張栩棋聖への挑戦が既に決定している。

今回の王座戦の挑戦手合いは碁の内容も含めて一方的だったが、井山-張栩戦は迫力があると感じる。この二人は波長が合うというかお互いに相手の打ちそうな手が分かるような感じで相当先の読みで勝負が決まっている感じがする。その相当先の読みで、井山本因坊のほうが上回っている感じである。以前「張栩の碁が荒れている」と書いたが、どうも無理を押し通すような張栩王座のやり方が井山本因坊には通用しない、という印象を受けている。

張栩氏も棋聖一冠だけになったので、勝ち急がずにじっくり構えるようになれば面白い碁になるような気がしている。


囲碁名人戦、山下名人防衛

2012-11-14 07:45:16 | 囲碁

囲碁の名人戦は、山下名人が挑戦者の羽根九段を4勝3敗で退けて防衛した。星の上では接戦だが、内容はやはり物足らなかった。

私はネット中継で見ていたのだが2日目の午前中辺りは、黒の羽挑戦者が厚く、「これは羽名人誕生だな」と思って外出した。ところが午後しばらくたってからまた見ると訳のわからない碁になっている。こうなると山下名人が有利で予想通り、山下名人が勝った。

この二人の碁は対照的で、乱戦になれば山下、じっくりとした碁になれば羽根が有利になる。従っていつも名人が乱戦に持ち込もうとする。多少無理をして乱戦にしようとするので、その無理を突かれてリードを許し、しかもうまく乱戦に持ち込めない、というような場合には羽根九段が勝つ。名人が負けた3局はそんな感じだった。

最終局は名人が強引に乱戦に持ち込んで、たぶん無理だったのだが戦闘力の差で勝った、というような碁だった。相手がもっと乱戦に強い人なら名人が負けていただろう。名人戦は日本の最高峰の棋戦である。乱戦に強いからと言って無理を通して勝てるようなものではない、というようなところを羽挑戦者には見せてもらいたかったと思う。