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ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

囲碁、井山名人、全冠制覇

2016-04-24 15:55:27 | 囲碁

囲碁の十段戦で挑戦者の井山名人が勝ち、3勝1敗で十段位を獲得した。これでテレビ碁などの1手1分で打つ早碁を除く7大タイトルを全て制覇した。内容も圧倒的で他の棋士はちょっとかないそうにない感じがする。日本では圧倒的な強さを示す井山7冠だが、先日アルファ碁に負けた韓国のイ・セドル九段にはかなり負け越していると思う。韓国や中国にはこのクラスが何人もいるので、以前も書いたが井山名人は世界ではテニスの錦織圭レベルとみるのが妥当だろう。

日本のタイトル戦は持ち時間が長く、韓国・中国は短めなので長い勝負になるとどうなるをを見てみたい気はする。日本のタイトル戦には中国・韓国の棋士は出られないことになっているのだが、オープンにして世界戦にするべきだと思う。7大タイトルはそれぞれにスポンサー企業がついているので、どこか1社くらいはオープンな世界戦にしないのかな、といつも思う。どうも日本の囲碁界は閉鎖的な感じがしている。

30年ほど前まではプロ棋士として囲碁を職業として生活できる人は日本にしかいなかったので日本に強い人が集まってきていたのだが、中国や韓国でプロ棋士が成立するようになると勝てなくなってきた。以前も書いたが、日本のプロ棋士が勝てなくなってきたのは勉強方法に原因があると思っている。日本では名人のようなタイトル保持者になると一人で勉強するようになるのだが、中国や韓国では強い人でも頻繁に集まって意見交換をする。オープンイノベーションにはかなわないということだと思う。

私が学生だった40年くらい前は「30歳代以下の名人はあり得ない」などと言われていた。それはノウハウを蓄積するのに時間がかかっていたからである。しかし、今は逆に「40歳代以上の名人はあり得ない」という感じに変わってきている。インターネットの普及などで情報の展開が圧倒的に早まり、体力が重要になってきているからである。日本では中国・韓国と比べるとプロ棋士の平均年齢は高い。これも勉強方法に関係があると思っている。

日本の中にも中国、台湾、韓国人の人は参加している。30年くらい前までは日本のレベルが圧倒的に高く、囲碁が強くなりたい人は日本に来て修行をして、日本のプロ棋士制度でプロ棋士の認定を受けた人たちである。古くは中国の呉清源、私より少し上の世代で台湾の林海鋒、私より若干若い韓国の趙治勲、最近では台湾の張栩などの名棋士がいる。しかし、これらの人を囲碁ファンは外国人とは見ていない。日本で活躍しているので、生まれが日本でなかったとしても日本人棋士とみなしており、中国や韓国を活躍の場としている人たちとは別の眼で見ている。大相撲で北の富士などが「日本人力士に優勝してほしい」という発言を頻繁に行い、モンゴル出身力士を別の眼でみている感じがあるのとはかなり違うと思っている。呉清源は既に100歳を超えた中国出身の名棋士であり、ずいぶん前に引退しているが、今でも「最も尊敬する棋士は呉清源」という人が、プロ・アマを問わず多いと思う。こういった点では囲碁界のほうが相撲界よりも開かれた心を持っていると思う。


アルファ碁、トッププロに三勝一敗

2016-03-13 16:24:10 | 囲碁

囲碁の記事ばかりが続くが、注目のアルファ碁対イ・セドルはアルファ碁が3連勝した後で、イ・セドルが一勝を返した。5番勝負なのでアルファ碁の勝ちが決定した。

第3局は、イ・セドルが序盤から激しい戦いを挑んだがうまくアルファ碁にいなされて序盤からアルファ碁が優勢になった。優勢を築くまでは人間とあまり変わらないような手が続いた。優勢になってからの手堅い打ち方が印象的だった。アルファ碁はこのプロ棋士のような形勢判断を行っていることが明らかになった。かなり早い段階で優勢になったので最善手よりも簡明に終局に向かう手を目指していることが明らかになった。勝つ確率の高い手を目指すという意味でプロの形成判断に相当する行為を行っているとすれば、これはまた新たな発見である。

囲碁のプロ棋士は形成判断をするが、この判断には2種類ある。一つは着手を決めるためにどの手が一番有利になるかを判断する形勢判断である。グーグルはこの判断のプログラムの良いものを開発したと言っている。しかし、プロ棋士が形成判断というのは少し違っていて、全体として優勢かどうかを判断して、優勢なら多少損をしても手堅い手を打つ。劣勢なら挽回しようとして難しい手を打つ、というように勝ちに持ち込むテクニックの一つである。

昭和の名棋士、趙治勲は大先輩の高川格氏に対して、「無理な手を打たずに常に5分の別れになるので、常に形勢判断をしている」と評している。一方、同時代の坂田栄男氏に関しては、「優勢でも常に最善の手を目指しているので普通の意味で形勢判断をしているとは思えない」と評している。趙治勲自身は基本は最善手を目指して読みの判断を行っているのだが、終盤で優勢だと思うとモードを切り替えて勝ちきりを目指す。この時は多少損でも手堅い手を打ち、このモードに入ってからは逆転負けは見たことがない。普通の人間の棋士は割りに早い段階で優勢を意識して戦いを避けて逆転負けを期することがあるのだが、趙治勲はやや優勢くらいの時は最善手を目指して強い手を打つので、逆転負けをする時は戦いで逆転負けをする。コンピュータはこのモード切替が柔軟にできるのだろうか?

第4局は、イ・セドル9段が勝った。アルファ碁が黒だったのだが中央に大きな黒字ができそうになって、「また、アルファ碁の勝ちか」と思ったのだが、イ・セドル9段が妙手を打って黒地が破れて明らかに白が優勢になった。コンピュータは読みが強そうだが、広い範囲が関係する複雑な読みでは今一つなのかもしれない。興味深かったのは、この黒地が敗れた直後に、これまでのアルファ碁とは思えないような意味不明の手を何手か打ったことである。まるで人間が動揺したような感じだった。しばらくするとアルファ碁は気を取り直したように、またまともな手を打ち始めた。アルファ碁は形勢が悪くなるとおかしな碁を打つようである。

 


グーグルのアルファ碁がトッププロに2連勝

2016-03-11 09:10:10 | 囲碁

Googleの人工知能 Alpha Goが韓国のトッププロであるイ・セドルに2連勝した。今日の記事は囲碁の技術的な観点でのAlpha Goに対して人間と違うと感じた手に関する印象である。

第1局の時にはそれほど珍しいと思った手は無かったが、第2局目は人間のプロ棋士なら打たないだろうという手がいくつか出た。

最初は15手目の右下の定石からできた白石に対してのぞいた手である。序盤の何もないところでのぞく手は良くないとされているが、Alpha Goは続く左下隅の定石と関係して悪くないと判断したのだろう。解説の溝上九段も驚いていた。これが良い手だったかどうかは疑問だが後の打ち方で悪い手になっていなかったことは確かである。

2番目は37手目の4線に開いた白石に対して5線目から肩をついていった手である。これは人間のプロ棋士でも打つ人はいるだろうが珍しいだろう。溝上九段も「珍しいが良い手のようだ」とコメントしているし、実際良い手だったと思う。

3番目は41手目の左下の白石に肩をついて言った手である。この手は後で取られそうな石になるのであまり人間のプロは打たない。溝上九段も否定的なコメントを書いている。後の分かれで15手ほど後に実際に取られるのだが、取られても働いている。実際、68手目に白は地にならない手で一手かけて守っており、黒が優勢になった原因であると私は思っている。

4番目は81手目の左辺の黒をつながりに行った手である。その前の80手目に白が打ち込んできたところなので、その石を攻めたいところだが自分にも弱点があるので先に守った手である。これも人間にはなかなか打てない良い手だと思う。

5番目は93手目の上辺の白の間を突き出した手である。これは切れないところを出た手で俗筋の典型と言われている弱い人が打つような手である。しかし、Alpha Goは続いて打った97手目ののぞきに対して白が継げないことを見越してこの手を打っている。打たれてみれば継ぐとまとめて取られそうなことはある程度の打ち手なら読めるのだが、人間は「筋が悪い」と思って読まないと思う。溝上九段はこの手を当然のように言っているが、コンピュータ独特の発想だと思う。98手目で継げずに白が守り、99手目で黒が白石を切って上辺をつながった地にしたことで黒の優勢が確定したと私は思っている。溝上九段は指摘していないが、黒93の出る手を軽視したのがイ・セドル九段の失敗で、警戒していれば別の打ち方があったと思う。

Alpha Goはたくさんの棋譜を勉強することで良い手・悪い手に関する独自のルールを築き上げている。大部分はプロ棋士の感性と一致しているが、一致していない部分もある。プロ棋士が「形が悪い」と思って読まなかった手がその先を想定すれば良い手もあるという点がいくつもあることが明らかになった。その意味で昨日の対戦は、プロ棋士にとっても大変勉強になったと思う。世界中のプロ棋士がこの碁を見て勉強し新しい知見を得るだろう。中国や韓国は集まってわいわい言いながら勉強するオープンイノベーションなのに対して、日本のプロ棋士は一人で勉強するクローズドイノベーションなので日本と中・韓のプロ棋士のレベル差はさらに開くと思う。

 


Googleの囲碁プログラムが世界最強棋士に勝った

2016-03-09 17:17:16 | 囲碁

今日、韓国のトッププロ棋士イ・セドル9段と、Googleの囲碁プログラムAlpha Goが対戦してAlpha Goが勝った。これで囲碁においてもコンピュータが人間より上に来たと言えるだろう。囲碁は世界的には中国と韓国が強く、日本のプロ棋士はめったに勝てない。イ・セドル9段は韓国のトッププロで、日本では無敵でタイトル7冠を全部ひとり占めしようとしている井山名人も、イ・セドル9段には殆どの対戦で負けているはずである。囲碁の世界ではテニスのプロのように世界ランキングを付けていないが、イ・セドル9段はかなり上のほうだろうと思う。

私は棋譜を見ていたが、歯が立たないという感じではなく、接戦という感じであった。今回の対戦は5回戦うことになっており、今後の成績が楽しみだが、半年もたつと人間はコンピュータにかなわなくなるのは確実だろう。

IBMはチェスのプログラムを作り、1997年に世界チャンピオンに勝ったが、IBMは遊びでプログラムを作っていたわけではない。世界チャンピオンに勝ったディープ・ブルーというコンピュータのノウハウは現在、IBMのワトソンという人工知能に引き継がれ、ワトソンは現在、同社のビジネスの核になってきている。Googleも遊びでやっているわけではなく、ビジネスシナリオを持っていることは間違いないだろう。日本人が作っている囲碁や将棋のプログラムは、囲碁や将棋を強くすることだけを目標にしている印象なのとは大きな違いである。今回のAlpha Goの特徴は、人間でも言語で記述できないようなノウハウをディープラーニングという手法で人間レベル以上に獲得できることを示している。Googleに囲碁のプロがいるわけでなくても学習させられるというのは、コンピュータにとって新しい境地を開いたと言えると思う。

2月25日に書いたように、現在、様々なことを判断することを仕事にしている、企業の管理職などの大部分がコンピュータに勝てなくなる日は近いと思う。ピケティの「21世紀の資本」で格差が拡大すると言われているが、あの本はこのような技術イノベーションをカウントに入れていない。格差拡大は一層進むと思われ、資本主義の見直しを急ぐ必要があると思う。


GoogleのAI囲碁がプロ棋士に勝利のインパクト

2016-02-25 09:22:09 | 囲碁

Goopleが開発した囲碁のプログラムがプロ棋士に勝利した。5戦5勝だそうである。プロ棋士と言ってもヨーロッパのプロ棋士だから日本のプロ棋士に比べれば大分落ちるのだろうが、その棋譜を見て私自身「これは自分より強そうだ」と思った。数年前までは「強いと言ってもまだ人間に比べると大分劣る。自分なら勝てるだろう」と思っていたのとは大きな違いである。来月には世界的なトップ棋士である韓国のイ・セドル氏と戦うそうだから、これに勝てば日本の名人もかなわないとみて間違いない。

Googleの囲碁プログラムが強くなったのはディープ・ラーニングというAIの手法を用いてポリシーネットワークとバリューネットワークを開発したからだという。ポリシーネットワークとはある局面で可能な候補の手数をその時の石の配置を見て絞り込むもので、教師付き学習でプロ棋士同士の棋譜を入れるなどして学習させた。バリューネットワークとは形勢を判断するものでこれによって何手先まで読んで、読みを打ち切るかを決める。これにモンテカルロ法というシラミ潰し的に読みを入れる従来の手法を組み合わせる。

私自身囲碁のプログラムを作ってみたことがあるのだがその時の経験からすると、このバリューネットワークがとても作れそうにない、という感じだった。最後まで読み切って勝ちと分かればその手を選択すればよいのだがそれは現実的には不可能なのでどこかで読みを打ち切らなくてはならない。自分自身、ある程度で読みを打ち切っているのだが、それが1手先の時もあれば30手先の時もある。プロ棋士も同じだと思う。そこをどうして決めているのかを自分自身「言語化できそうにない」と感じたものである。

これには経験から来るルールが必要である。つまりある局面があって次の手を決めるのだが、その手に対して相手が応じないとひどいことになる「重要な次の手」がある場合には読みを継続しなくてはならない。そしてそういった継続的「重要な次の手」がなさそうな場合に「一段落」と判断してその時に優勢かどうかを判断する、というのが人間のやっていることで、「重要な次の手」がありそうかどうかを形で判断してありそうだと思えば時間をかけて読みを入れる。つまりプロ棋士は形から「重要な次の手」がありそうかということを石の配置から判断するルールとして持っているのだが、このルール形成を教師付き学習で実現したというのが今回のGoogleのプログラムの特徴になると思う。

これはあらゆる分野に応用できる。裁判官の判決を出す判断のベース、医師の検査データからの診断の判断、金融専門家の投資判断など現在高収入を得ている人たちの判断がコンピュータにかなわなくなる日も近いだろう。その中でも一流の人たちは独自のルールで判断しており他の人が着眼していない判断ルールを持っていてこのデータを学習させることはなかなか難しいと思うが、2流の人たちの判断はあっさりとAIに負けるようになると思う。

現在世界では中間層の没落が言われているが、これからは中間層の上位、富裕層の下位の没落が大きな問題となると思う。


熱海の囲碁合宿と版画展

2016-01-11 16:57:15 | 囲碁

土曜日から1泊で熱海のホテルでの囲碁合宿に参加してきた。大学の囲碁部のOB会の集まりなのだが、関西からも4-5人参加していて総勢30人という結構大きな集まりとなった。

大学の囲碁部なのでレベルは高く、相手が強いだけに面白いのだが、結果は1勝4敗というさんざんな成績だった。今年は少し囲碁をやろうと思っているので、実戦の回数を増やして錆を落としたいと思っている。暖かな熱海で気の合う人たちの囲碁に興じた楽しい週末だった。ホテルも熱海の街も観光客がたくさん来ていて景気は良いように感じた。

帰りは小田原からロマンスカーで町田まで来て町田から歩いて帰ってきた。途中に国際版画美術館というのがあって立ち寄ってみたところなかなか良い作品が多かった。版画というと浮世絵のようなある程度図柄の荒いものを思っていたのだが、作品によっては「これが版画?」と思うような細かい色使いの作品もあった。入場無料だったが。「今日は入場無料」と書いてあったので日によっては有料の時もあるのだろう。部屋は大きく3つに分かれていて、常設展示と、新規作品、地元の中学生の作品とがある。新規作品の部屋だけは写真を撮ることが禁止されていた。新規作品は抽象的な現代アートが中心で私はむしろ常設展示のほうに魅かれた。また中学生のレベルが高いのには驚かされた。

町田から子供の国を経由して歩いて2時間半ほどの長い距離だが天気が良くて暖かかったので気持ちよく歩けた。

充実した週末だった。


熱海の囲碁合宿

2015-01-12 10:47:07 | 囲碁

土曜、日曜と熱海のホテルで大学の囲碁部のOBの合宿に参加してきた。土曜日の午後1時から日曜日の12時までで5局打つ。関西から来る人もいて、県代表レベルになるような強い人が多く、試合ではなく楽しく強い人と打つのは楽しいものである。私は3勝2敗だったのでまずまずと言える。年齢は様々だが、ここ数年間メンバーがあまり変わっておらず、その分平均年齢が上がっている感じがする。皆本当に囲碁が好きで囲碁の話題だけで何時間も話ができる。

会場は熱海のニューフジヤホテルというマンモスホテルである。朝食、夕食共にバイキング形式だったのだが会場の人の多さに驚かされる。1泊2食付きて1万円くらいだからそれほど格安というほどでもないのだがどうしてこんなに繁盛しているのだろうと思う。バイキングは飲み放題もついていてそれなりに品数はあるのだが、それほど上質というわけでもない。食事は普通の旅館のほうが質が上だろうかと思う。温泉は温泉ホテルとしては普通、部屋はやや良い、という程度だと思う。このホテルには、囲碁、将棋、マージャン、カラオケ、ダンスホール、卓球場などがついており宿泊者は無料で利用できる。碁盤が何十面もあるホテルはそれほどないので我々はこのホテルを毎年利用しているのだが、他の人はどうしてここを利用するのだろうと不思議に思っている。団体客向けの感じもするが、子供連れも結構いる。子供は食べ物に好き嫌いが結構あるので品数の多いバイキングは好ましいのかもしれないが、私は個人なら、まずこのホテルに泊まろうとは思わないようなところである。自分の好みが変わっているのだろうか。

今年に入って毎日2万歩の歩きをしていて途絶えさせたくなかったので、行きは自宅から新横浜まで鶴見川沿いに歩いて新横浜から新幹線に乗った。2時間半くらいの歩程だった。帰りは小田原からロマンスカーに乗り、町田で降りて町田から歩いた。町田から成瀬方面を通って子供の国の横から帰るコースは何度か歩いていたので、小田急の反対側を北に歩き、木曽団地、薬師台を経て鶴見川の上流に出てそこから鶴見川に沿って歩いて帰ってきた。遠回りをしたので2時間50分くらいかかった。

土、日共に天気が良く、ぽかぽかして歩いていて気持ちが良かった。旅行気分を味わい、たっぷり囲碁を打って、長時間の散歩もして充実した週末だった。


中国の勉強法と日本の勉強法

2014-06-09 16:32:04 | 囲碁

勉強法と言っても学校の勉強では無く囲碁のプロ棋士の勉強法である。私が大学の囲碁部に居た頃は日本のプロ棋士が世界で圧倒的に強く、プロ棋士を目指す人は中国や韓国から日本に来ていた。それが1990年代後半から日本は次第に勝てなくなり、20世紀に入って韓国が覇権を取った。その後中国が強くなって、今は中国が圧倒している。日本は中国にも韓国にもなかなか勝てない。韓国が強くなったのはイ・チャンホと言う一人の天才棋士の影響が大きいと思っているが、中国は集団で強くなってきており、その鍛え方に違いがあるような感じがしている。

最近中国のアマチュアで結構強い人と話す機会があったのだが、中国のプロ棋士の勉強法は集団で徹底的に意見を戦わせるそうである。日本、中国、韓国のプロ棋士の打った碁を徹底的に分析し、「どの方法は良い」というような結論を出す。日本の棋士も勉強しているのだが、日本のプロ棋士は一人で勉強することが多く、中国は集まってワイワイやるらしい。日本でも若い棋士は「勉強会」と言って集まってやっているらしいが中国は頻度がはるかに高いようである。中国では対局数が日本よりはるかに多く、実戦が読みを鍛える場になっていて、勉強は集団でやると言うことのようである。

企業で言えば中国のやり方はオープンイノベーションである。強い棋士同士が集まってこうやると良いのではないかと言う意見を交換する。その中で鋭い手が見つかってくる。日本は一人で研究するのでやはり良い手を見つけにくいようである。私にも経験があるが自分より強い人の意見に「なるほど」と思うことがあり、そこで強くなる感じがすることは少なくない。日本人棋士はタイトルを取るようなレベルになるとあまり集まって研究しなくなるが、中国ではタイトル保持者でも関係なく集まって研究しているようである。

研究と言うと序盤が中心になるが、中盤以降中国の棋士は弱いかと言うとそうではない。日本の棋士はむしろ後半で逆転負けすることが多い。これは私は対局数の違いが関係しているのではないかと思っている。日本の碁は持ち時間が長く、その分だけ対局数は少ない。毎週1局の対局があればかなり多いほうである。1局は1日で終わるので週に1日働いている感じである。中国はその2倍くらいの対局数がある感じがしている。その点でも違いがある感じがしている。

囲碁は日本では文化として捉えられているが中国では頭のスポーツとして捉えられている。この違いも大きい感じがする。文化なので「美しい棋譜を残す」と言うような意識が日本の棋士にはある。中国の棋士はとにかく勝つことを目指して頭をフル回転させる。従って若い棋士のほうが強い。オープンイノベーションで価値を目指して貪欲に戦うほうが勝ちやすい、というのは企業の戦いにも通じている感じがする。



囲碁本因坊戦挑戦手合い、井山6冠の先勝

2014-05-16 09:23:40 | 囲碁

井山本因坊に、伊田八段が挑戦する挑戦手合い7番勝負が始まった。伊田八段は先日このブログでも紹介したように、昨年四段でリーグ入りを決め、七段を贈呈され、今回、リーグで優勝して八段を贈呈された。現在の囲碁界で7大タイトルのうち6個を抑えている井山6冠とはこれが初めての対戦という20歳の若武者である。受けて立つ井山6冠のほうも24歳という若さで、若者対決になった。

14,15日と2日かけて第1局が戦われたが内容は井山6冠の完勝だったと思う。黒番の井山6冠が広げた大模様に伊田八段が入っていった。入っていた白石は二つに分かれたが二つともきれいに生きたように見えた。しかし、実は完全ではなく、井山6冠が片方の石の急所を攻めると危うくなってきた。結局その石は生きたのだが、その過程で生きていたもう一つの石が完全に生きてはいない状態になった。

ここからが井山6冠のすごいところである。彼はそのもう一つの石を取れると踏み、準備工作をしてから取りに行った。この準備工作は損な手なので、もし取れないと負けになってしまう。しかし、実際はきれいに殺して勝ちになった。プロなら誰でも「取れそうだ」と思う場面である。しかし、日本のプロで実際に取りに行く人は少ないと思う。それは取りに行くためにあちこちで犠牲を払うので、もし取れないと負けになってしまうからである。99通りの読みでは取れることになっていても一つでも生きる手があれば負ける。形勢が悪いときには逆転を狙って取りに行くことがあるが、悪くないときに取りに行くのはリスクが大きい。従って日本のプロは「取れそうだ」と思っても取らなくても勝てる手を探して、相手が生きる手を打っている間に他で得をして勝とうとする。

「日本のプロは」と何度か書いたが中国や韓国のプロはこのような場面で実際に取りに行く人が多い。勝つ確率は下がるのだが、失敗したとしても、どこで間違えたかが明らかになり自分の読みが鍛えられる。結果として日本のプロより読みの力が鍛えられて、日本のプロは中国や韓国には勝てない状態が続いている。井山6冠はその状態を打破したいと思っていて意識して厳しい手を打っているように感じている。これが3勝3敗の後の最後の一局なら違う打ち方をしたかもしれないが、まずは7番勝負の第1局目、思い切って自分の読みを信じて踏み込もう、という感じだったと思う。

こういう打ち方ができるのは「まだ強くなれる」という実感があるからだと思う。囲碁は中国では知的スポーツと位置付けられている。24歳の6冠に20歳の挑戦者、今後も思い切った戦いをして自分の能力を鍛えてもらいたいものだと思う。


NHK杯 囲碁・将棋の決勝

2014-03-27 08:47:33 | 囲碁

日曜日はNHK杯の囲碁・将棋の決勝の放送があった。10時から11時半が将棋の決勝、その後に高校野球の中継が入って13時から14時半が囲碁の決勝ということで昼間の中心的時間帯をテレビの前で過ごした。

将棋は郷田九段と丸山九段の決勝でいずれもA級の実力者だがタイトル保持者ではなく若干物足りなさを感じた。内容は丸山九段の中盤での失敗が響いて一方的に郷田九段が勝った。この二人は同学年でさらに同学年として羽生三冠、森内二冠、佐藤九段、藤井九段という強豪がいて、将棋の強い人の超当たり年の学年である。皆40歳になったがまだ上位で頑張っている。

囲碁のほうは関西棋院の結城九段と日本棋院の河野九段の決勝でこちらは大熱戦だった。三連覇がかかっていた結城九段が少し苦しそうだったのだが、取れそうだった中央の数目の石を取りにいかずに、逆に自分の石をかなり大きく捨てて代わりに辺の地をとった作戦が成功して逆転した。河野九段とすれば中央の石を取りに行ったのが判断ミスだった。結城九段はこれでNHK杯三連覇である。毎回最初から始めるトーナメントシステムで三連覇は大変なものである。囲碁界は長い時間を使って戦う7大タイトルのうち6つを井山九段が持っており、残った一つの十段位を結城九段が持っている。今高尾九段の挑戦を受けていて防衛なるか、というところである。

長い時間の結城九段の囲碁を見ていて感じるのは気分のむらがあり、崩れてくると取り戻そうとして無理をしてさらに崩れてしまう、といった精神的な弱さがあるという点である。ところがNHK杯戦ではそのような気分のむらは感じられず、無理っぽいと思ったら多少不利でも自重して次のチャンスを待つ、という戦い方をしている。やはり「テレビの囲碁では自分が強い」という自信があり、それが次のチャンスを待つ自重につながっているのかと思う。自分に自信を持つことの大切さを感じる。

囲碁も将棋も棋士の戦いは楽しめたのだが、表彰式になってNHKの重役が表彰状を読み上げ最後に籾井会長の名前を読んだ時には違和感を感じた。「そうか、あの人の名前でやっている棋戦なんだ」と改めて思わされ、優勝カップが何か薄汚れたものに感じてしまった。このブログでも籾井氏の会長就任記者会見の発言について取り上げたが、その後の動きを見てもますますNHKの会長にふさわしくない人物だと思う。NHKの人事は海外メディアからも問題視されており、早く辞めさせないと将来安倍政権の致命傷になるような気がしている。