将棋の名人戦と、囲碁の本因坊戦が同時進行している。将棋の方は毎日と朝日の共催だが、囲碁は毎日のスポンサーである。こういうタイトル戦は新聞社がスポンサーをするのだが、将棋の方は2紙共催という異例の状態になっている。もともと毎日が主催していたところへ朝日と将棋連盟の幹部が相談して朝日に移ることを画策した。これに毎日が腹を立てて囲碁を申し立て、棋士の中からも「理にかなわない」と反対する人が続出して、共催という方向に落ち着いたものである。
従来私はこういう大きなタイトル戦がある時はその時期だけ、主催者の新聞を買って棋譜を見ていた。しかし、最近はネットで見ることができるので、特に新聞は買わなくなった。ネットでは打った手を一手ずつ見ることができる。新聞紙面で見ると、多くの手数を頭の中で並べる必要があるので大変である。ファンはネットに写るのが当然だろう。ここでも新聞社の収入がネットに食われている。将棋の名人戦は有料であるが普通は無料で見ることができる。今年は息子が将棋の有料サイトに登録したので私も見ている。
無料サイトは、本当に好きな人のためのボランティアという感じで、盤面だけで広告などは一切入ってこない。もう少しうまい使い方がありそうなものだと思う。
内容は将棋の方は羽生名人に森内九段が挑戦しているのだが、森内3連勝のあと羽生が3連勝を返して3対3になっており、次回が最終局である。前半は森内九段の強さが目立って羽生名人に少し精彩が無い感じがしていたが後半、5,6局目などは両者底力を出して、見応えのある応酬となっている。普通は追い上げた方が勝つのだがこの二人は精神力が強く、一局一局で流れを変えられる感じがするので予断を許さない。
囲碁の方は山下本因坊に羽根九段が挑戦していて山下3連勝のあと羽根九段が1勝を返したところである。こちらは力の差がある感じがしていて、普通に行けば次あたりで山下本因坊の防衛となるだろう。山下本因坊が調子を落として弱気になったりすると逆転もあるかもしれない。昔から囲碁の方は3連敗、4連勝がかなりあるが将棋の方は数えるほどしかない。囲碁の方が心理的な影響が強いのだろうか、それとも囲碁の棋士の方が心理的に弱いのだろうか、と思う。
両方の側面があるが私は後者の方が強いのではないかと思う。中国、韓国のトップ棋士はそんなに心理的にぶれない感じがしている。話は違うが少し前に囲碁の井山名人が、中国、韓国のトップと戦う各国一人のトップ戦で優勝した。日本棋士が国際大会で優勝するのは10年ぶりくらいだと思うが、快挙である。中国、韓国の棋士も本当に第1人者だったので本人にとって大きな自信になっただろう。これからの活躍が楽しみである。