goo blog サービス終了のお知らせ 

ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

任天堂の新しいビジネスモデル

2016-07-26 19:57:46 | 経済

任天堂のポケモンGo が世間で大きな話題を集めている。ゲーム機販売が伸びなくなって頭打ちになっていた任天堂の新たな展開を示すものとして注目している。このゲームには新しい特徴や従来の任天堂からのいくつかの路線変更がある。

1)拡張現実の初めてのヒット
拡張現実というのは実際のモノにコンピュータデータを重ねて付加価値を持たせるもので、ゲームだけでなく、様々な用途に使えると思って私も注目していたが、今までいまひとつヒットアプリが出ていなかった。今回のポケモンGoが拡張現実の初めてのヒットと言えるだろう。拡張現実のゲームはこれまでにもいくつか発売されていたのだが、今回なぜ大ヒットになったのかについては私は良くわかっていない。多分ポケモンという既に確立したキャラクターを活用した点が良かったのだろう。

2)任天堂の機器ではなくスマホを使った
ゲーム機の世界は任天堂、ソニー、マイクロソフトが3強で世界はほとんどこの3社で抑えられている。その中で任天堂は苦しんでいたとみられたのだが、今回は自社ハードではなくスマホを使ってソフトウェアビジネスに特化した。 

3)他社のプラットフォームとのコラボ
ポケモンGoを配信しているのは任天堂ではなくアメリカのナイアンティックという会社だそうで、Googleから分離した会社だそうである。拡張現実のプラットフォームはこの会社が作っているようである。こうしたいわばオープンイノベーションの姿勢も任天堂としては新しい動きである。

4)アメリカで先に配信
従来だと任天堂は日本でまず発売するか、世界同時発売か、という形だったが、今回はアメリカで先に発売して遅れて日本で発売となった。このパタンは正解であるように思う。任天堂の意志ではなくナイアンティックが配信したことが理由になっているのかもしれないが、日本で先に発売していたら、負の側面がより強調されていてうまくいかなかったかもしれないと思う。これからは、アメリカで先に発売して成功したら日本、というのが日本企業であっても成功のパタンになることは少なくないと思う。その方がはるかにグローバル化しやすいし、規制の問題などもクリアしやすいだろう。自動運転、ドローンなどIoTがらみのビジネスもこのパタンを積極的に取り入れるのが良いという気がする。

全体を通して任天堂は大きく変身したと思う。次にどういう手を打って成功を盤石にするかが興味深い。 


ソフトバンクのARM買収

2016-07-19 09:23:07 | 経済

昨日、ソフトバンクがイギリスのARMを3.3兆円で買収するというニュースが流れてきた。Sprint買収の特よりさらに高額であり、ソフトバンクとARMのビジネスがどうつながるかもわかりにくい。この買収に対する私の見方を書いてみようと思う。

・買収はキャピタルゲイン狙いではなく、実事業狙い
孫氏は企業に投資するときに株価の値上がりを狙う場合と、実事業での利益を 狙う場合とがある。孫子はどちらかと言うと株価の上昇を狙う投資のほうがうまく、アリババへの投資などで大きな利益を上げているがSprintへの投資はうまくいっていない。しかし、今回は実事業狙いであることは明らかである。そうでなければ完全子会社化する必要は無く、株を買えばよいだけである。しかし、ソフトバンクの事業と同関連させるかは分かりにくい

・狙いは人工知能ではないか?
孫氏は狙いは「IoT」であるとメディアに説明している。しかし、私にはどうもしっくりこない。 IoTのどこでARMの技術を活用しようとしているのだろうか? 確かにARMのシェアは高いが、安価なデバイスならARMチップは搭載されず、マイコンのようなより安価なチップになるだろう。ARMチップが使われそうなのはロボットと自動車であるが、数としてはスマホには及ばず、ARMのビジネスとしてはそれほど大きくないだろう。ソフトバンクがロボットや自動車のビジネスに直接乗り出すとは考えにくい。ソフトバンクはペッパーというロボットを発売してはいるが、それで大きなビジネスにしようとしているとは思えない。
私はソフトバンクの狙いはAIオペレータになることではないかと思っている。つまり様々なAIサービスを提供するというのがビジネスモデルではないかと思う。最近、GoogleはDeep Learning用のチップを開発し、既に使っていると発表した。これはクラウドのサーバで使われており、市販されてはいない。ソフトバンクの狙いはこのようなAIチップを開発し一定期間独占使用して、AIクラウドの性能で差別化しようという点にあるのではないかと思う。

・買収金額は安くない
イギリスがEU離脱を決めた後なので安い買い物をしたと思われるかもしれないが、そうでもないようである。ARMの株価はEU離脱決定後も下がっておらず、むしろ上がっているそうである。為替はポンド安になっているので、その分と株価の値上がりが相殺した程度らしい。Sprint買収の場合は、その後、うまくいっていないが、周波数という大きな資産があり、仮にSprintを売却するとしてもそれほど損失は出ないはずである。これに対してARMの場合には、変にチップ販売などを制御すると他の会社のチップにスマホベンダが移ってしまい、極端な場合はARMの企業価値はゼロにまでなりえる。私にはかなりリスクの高い買い物に 思える。

・日本人離れした決断力
リスクの高い買い物であるが、こういった決断をできるところに孫氏の日本人離れした点がある。経営手法も普通の日本企業の様に 自社開発重視ではなく、オープンイノベーション重視で、自分が持たない技術は買ってくる、という手法でどこから買うかも世界全体が対象になっている。日本からもこういったグローバルな視点を持つ企業で成功するところが出てきてほしいものだと思う。


アメリカの日中鉄鋼に対するダンピング課税

2016-06-23 11:31:33 | 経済

今週はイギリスのEU離脱の国民投票、参議院選挙の告示、大手各社の株主総会と話題が豊富だが、その中で私が気になっていた話題で中国の鉄鋼輸出に関するニュースがあったのでこれを取り上げたい。

アメリカ政府は日本と中国の企業の「冷延鋼板」と呼ばれる鉄鋼製品の輸出に対してダンピングであるとの認定を出し、中国製品には265%、日本製品には71%の反ダンピング課税を行うと決定した。注目すべきは中国製品に対してはこれに加えて輸出支援金相殺のための256%を課税するという点である。中国製品に対しては500%を超える課税となる。この輸出支援金というのは中国政府が国内の鉄鋼メーカーに対して輸出を奨励して支援金を出しているものである。つまり、中国の鉄鋼企業は通常の売価の1/3程度の価格で輸出できていたことになる。

私は以前、鉄鋼の価格低下は製鉄業を独占しようという中国政府の戦略ではないか、と書いたが、その形跡は明らかに認められていると思う。中国政府は公式には鉄鋼を減産するというようなメッセージを発しているが、その一方でこのような輸出支援金を出しているし、EUがアメリカと同様に鉄鋼のダンピングの調査を開始したときには対抗措置をちらつかせている。

本来は貿易は自由化されることが望ましいが、故意に価格を下げて市場を独占し、その後で一気に価格を高騰させる、というようなことを国家レベルで行う国があれば、対抗措置を取らざるを得ないだろう。新日鉄などの個別企業では対抗しきれない動きだと思う。中国は過去のレアメタルで成功して、次は鉄鋼分野を狙っているのだと思っている。

今回は一部の特殊な鉄鋼製品だけの適用であるが、中国政府の出方によっては適用製品は拡大して鉄鋼製品全体に及ぶ可能性もある。これに対して中国政府が対抗措置を発動するのか、静かにしているのかは不明だが、対抗措置を発動するとお互いの動きがエスカレートする可能性が高い。現在のところアメリカが先行しているがヨーロッパ、アジアと同様の動きが広がるのか、一部の国は中国側につくのかも不透明である。

日本政府は今のところ具体的な動きを見せてはいないが、先日の伊勢志摩サミットの議題に上った案件であり、基本的にはアメリカに追随する動きになると思う。イギリスのEU残留問題の結果に関わらず、経済のブロック化の芽がここにも出ていると思う。


IT最大手企業が掲げるAI First

2016-05-12 08:54:48 | 経済

最近、Microsoft、Google、Facebookの幹部がこぞって「AI First」という言葉を発している。私はこれを単純に「AIは今後発展していく重要な技術だから優先度を高く開発しサービスとして提供していく」程度の意味に解釈していたのだが、どうもそれ以上の具体的な狙いがあり、競争の段階に入っているらしい。それは「ユーザのプラットフォームを抑える」という狙いである。

歴史的にプラットフォームを抑える、という戦略はMicrosoftのOSを抑えるところから始まった。競合他社はOSではMicrosoftの牙城を崩せないのでブラウザを抑える戦略に出た。ブラウザは最近Google ChromeがMicrosoftを抜いたが他の企業はなかなか抑えられない。そこで次にアプリを抑える狙いに出た。SNSがその典型だが、これらはアプリの一つに過ぎないのだが、アプリの中で様々な作業ができるようにしてアプリかな抜けださなくても必要な作業を殆どできるようにした。ブラウザもアプリの一つで、その面ではGoogle Chromeが最も進んでいるが、こういった使われ方を狙っている企業は多い。

そして彼らが次に狙っているのがAIである。ユーザが端末の電源を入れると、まずAIを起動し、そこに要件を入力する。AIは他のアプリや他社のAIなどともネットで連携していて必要な作業は殆どやってくれる。そうすればユーザーは自社のAI常時使い続けをるので様々な形での収入につなげることができる、ということのようである。

なるほど、ありそうな話だと思う。OSもブラウザも、SNSも使われ続けるのでどれが真の覇者になるかという決着はなかなかつかないのだろうが、利便性が高く皆が使うという流れができればその方向に一気に流れていくのだろう。消費者向けには広告収入を狙って大手IT企業は無料でサービスを提供するだろうからAIの普及は一気に進むような気がする。


日本の自動車業界の繁栄もあと10年か?

2016-05-09 09:33:39 | 経済

現在日本の産業界をけん引しているのはトヨタをはじめとする自動車業界であることには異論のある人は少ないだろう。様々な問題、新技術の開発による業界の変化などを経ながらも特にトヨタは世界の自動車業界で存在感を増してきている。これはトヨタの社風(カイゼン)という人材育成システムによるものでそう簡単に崩れるものではないだろう。

その一方で、日本の自動車業界に大きな危機が迫ってきていることも私は感じている。それは付加価値の源泉が製造現場ではなく、開発現場、それもソフトウェア開発現場に移りつつあると感じるからである。トヨタの強さはその工場にある。しかし、工場が付加価値の源泉で亡くなれば強さは失われる。その時期は着々と近づいている感じがする。

最近、日本の半導体企業ルネサスが車載半導体で世界シェア3位に転落したと報じられている。1位はNXP(フリップス系)、2位がInfineon(インテル系)だそうである。1位のNXPはモトローラ系の半導体企業Freescaleを買収したことによるものらしいが、トップに躍り出たらしいが、Infineonにも抜かれているのはルネサスの不調を示すと考えて良いだろう。

ルネサスは自動車メーカー毎に半導体(マイコン)をチューニングして製造し納品していたので世界シェアトップであったにもかかわらず利益が出ていないという状態だった。それが自動車業界も徐々に大手の規格に中小の自動車メーカが合わせる標準化が進み、ルネサスのシェアが落ちるという状況となって表れているらしい。

今の自動運転技術の急速な進歩を見るとこの状況は加速し、ルネサスのシェアはますます落ちていくだろう。自動車のCPUもスマホやタブレット端末のCPUが用いられるようになっていき、それにGPUによる人工知能エンジンが追加されるというような状態になっていくと思われる。そうなっていくと自動車の付加価値に占めるソフトウェアの比率が増える。つまり、自動車のコストに占める開発費の比率が増大することになる。

ソフトウェアの開発比率が大きくなると開発費を抑えることが極めて重要になる。そのポイントはハードウェアとのインターフェイスを標準化して、できるだけ共通ソフトを使えるようにしておいて、その共通ソフトに対して思い切った開発投資をすることである。そうなってくるとビジネスモデル自体が変わってくる。パソコンのマイクロソフトやスマートフォンのグーグルのようなソフトウェア専業の企業の存在感が大きくなってくることも考えられる。最近、グーグルとクライスラーが

自動運転技術で提携したが、この動きは注目に値すると思う。私の予想では、中国、韓国、インドの自動車メーカーや、テスラなどもグーグルと提携する可能性が高いと思う。これらの企業はグーグルが開発したソフトウェアプラットフォームを共用するので開発費負担が低くなりコスト競争力が高まる。この現象が目に見えて自動車の販売シェアに反映されてくるのは、今から5年から10年くらいの期間ではないかと思っている。


セブンイレブンの今後

2016-04-25 09:17:29 | 経済

少し前の話であるが、セブンイレブンの鈴木敏文会長が引退することになった。社長を交代させようとして取締役会で否決されて、引退を決意したものである。裏にはどうも内部の勢力争いがあるらしい。

鈴木会長の引退の弁では現在の社長は事業執行は順調にこなしているものの、CEOとしては物足りない、ということで社長を交代させる、ということだった。これはいかにもありそうなことに思うし、多分鈴木会長の見方が正しいのではないかと私は考えている。その一方で交代して新社長案として出されていた古屋氏は66歳で現社長の井坂氏よりも8歳も年上で、鈴木氏退任報道以後、多くの報道がセブンイレブンに関して出された中にあって影は薄いと感じる。鈴木氏退任の意向を受けて井坂氏がセブン&アイホールディングの社長、古屋氏がセブンイレブンの社長になったことから見て、それなりに力のある人ではあるのだろうが、ぐいぐい引っ張る人という感じはしない。つまり、反対派の「社長交代案はおかしい」という意見も理屈に合っている感じがする。

どちらの意見にも良い点もあれば悪い点もあって決め難い状況ならば、結論を先延ばしにして、議論を継続するのが常道である。それをやらずに強行しようとしたのが鈴木会長で、反対派は創業家まで担ぎ出して阻止に回った結果、否決され、鈴木敏文氏が引退することになった。なぜ鈴木氏はこんなに急いだのだろう? 体調でも悪いのだろうか?と勘ぐってしまう。

今後、セブンイレブンがどうなっていくかであるが、私は次第に落ち目になっていくだろうと予想している。それは鈴木氏の手法がマイクロマネージメントだからだというのが私の考える理由である。報道などを見ると鈴木氏自身がお惣菜の味見をしてOKを出していたのだという。これがセブンイレブンのマイクロマネージメント体質を表していると思う。井坂氏や古屋氏も、味見をして判断する。売れ行きが良くなければ早めに切り替える、といった判断はできる人なのだろう。

しかし、「仮説と検証」をどれだけ幅広くやれるかが、CEOとしての力量だと私は思っている。特に鈴木氏が推進してきたオムニチャネル戦略による、ネット販売と宅配、店舗販売の一体化は今後の世の中の長期的トレンドとなるのは間違いないだろうが、ユーザがまだ十分になじんでいるとはいえず、一気に進むとは思えない。提供側が様々な成功と失敗を繰り返しながら、社会構造の変化に合わせて少しずつユーザの行動パタンを変えていくのをどううまくやるか、がセブン&アイホールディングのミッションだと思うのだが、鈴木会長抜きではこれをうまく進めるのは難しいだろうと私は思っている。

1年くらいは今の延長線上で殆ど影響は出ずに進むと思うが、2年目くらいから変調が見え始め、3年目には成長が止まるという感じになるのではないかと思っている。今後のセブンイレブンの業績に注目していきたい。


オープンソース設計図の時代

2016-04-05 12:52:24 | 経済

日経ビジネスの最新号にクラウドのサーバに関する興味深い記事があった。最近のクラウドはAmazon、Google、Microsoftなどが圧倒しており、サーバ市場ではこれらのクラウド用のサーバが大きな割合を占めている。そのクラウドサーバでは殆どが大手ベンダに発注されず、台湾などの企業のODMになっているという。つまり発注者側が要求仕様を決めて、その仕様に基づいてODMベンダが開発・製造して納入している。実質的には発注者側が設計しているという。

更に恐ろしいことに発注者側のネット企業は設計図を「オープンソース」として公開して誰にでも実現できるようにしているとのことである。こうなると、サーバベンダにとっての競争の軸は製造コストしか残らなくなる。携帯電話の基地局でも同様の動きがあるということだが、記事に載っていたUSのVerizon、AT&T、ドイツのT-Mobile、韓国のSK Telecomにハード設計能力があるとは思えないので、基地局のオープンソースはそう簡単に実現はしないだろう。現在、基地局の発注者側で設計能力があるのは世界でも日本のドコモくらいだと思う。ドコモにとっては「オープンソース」をやることによって基地局のコストダウンを実現できる可能性があるが、他のオペレータにはできないことなので、無償公開よりもっとうまいビジネスモデルがありそうに思う。

クラウドのサーバや、携帯電話の基地局は一般人の眼には触れない装置であり、性能を満足すればよいので、部品が標準化されて、設計が容易になれば「設計図のオープンソース」は起こっても不思議ではない。特に付加価値がソフトウェアに移行して、ハードウェアで差別化が困難になってくると、ネット企業がこのような動きに出るのを止めることは難しくなるだろう。ハードベンダにとっては恐ろしい時代になったものである。インターネットの時代にはこのようにビジネスモデルがどんどん変わる。他社にできないようなコア技術を持たない企業は常にビジネスモデルをチェックしておく必要があると思う。


グーグルの時価総額

2016-02-11 16:48:12 | 経済

今月の初めころ、グーグルの持ち株会社AlphabetがAppleを抜いて世界の時価総額ランキングで1位になったというニュースが流れた。今はAppleが抜き返してApple1位、Google2位ということになっているがいずれにせよ私にとっては大きな驚きだった。この現象はAppleの減産が報じられて株価が下がったことと、原油安でオイルメジャーのExxonの株価も下がっていることが大きく影響していることは間違いないのだが、Googleのビジネスモデルからして時価総額世界1位になるような会社ではないと私は考えていたのである。

良く知られているようにGoogleの収入源は広告収入である。一般消費者はGoogleのサービスを利用はしていてもお金は払っていない。Googleは企業からお金をもらうB2Bのビジネスモデルなのだが、どの会社でも広告費は予算の中ではごくわずかであり、それを世界中からかき集めたとしても世界1の会社になれるとは思えなかったのである。実際利益額ではAppleのほうがかなり多く、Appleの利益は四半期で1兆円を超えるのに対して、Googleはその7割程度である。しかし、殆どが広告収入でここまで利益を出すのは驚きである。Googleは様々な研究開発を行っており、囲碁のプロに勝った(ヨーロッパ人)という話も出ているのでその分プレミアムがついているのだろう。

元々大きな産業ではない広告業界でこのような巨人が現れて他の広告業界は困っているのだろうか? Googleはそれまでなら広告を出せなかったような中小企業も広告を出せるように業界をむしろ活性化しているのだろうか? このあたりのGoogleの影響力についても一度調べてみたいと思っている。

一般消費者でGoogleにお金を払っている人はごくわずかだと思うが、私は今年からGoogleの有料サービスを利用することにした。その気持ちの背景には「これだけGoogleのサービスを日々使っているのだから少しくらい払っても良い」という気分はあったことは否めない。無料でもそこそこのサービスを受けられるのだが有料なら信頼性が上がるのではないかと思ってのである。しかし現在、こういったGoogleの有料サービスのユーザーはどれくらいいるのだろうか? ごくわずかではないかという気がしている。

家にインターネット回線を引くとポータルサービスというのに加入しなくてはならない。これはNTTコムとかBiglobeとかいう日本のプロバイダーから選ぶことになっているのだが、この選択肢の中にGoogleが入っていれば私は間違いなくGoogleを選ぶと思う。そもそもプロバイダーが何かしてくれているという実感がないので、契約をしないといけないということに違和感を持っている。Googleがプロバーダー事業をやらないのには何か理由があるのだろうか? これもGoogleに関する疑問である。私の感性が古いからかGoogleには分からないことが多く、ミステリアスな企業というイメージを持っている。


マイナス金利をどう見るか?

2016-02-01 09:10:23 | 経済

金曜日の1月29日、日銀がマイナス金利を発表した。最近の円高、株安に対しての対策として打ち出したものである。この日、株価は一旦上がって、その後大幅に下がり、その後またかなり上がって、最終的には日経平均が400円以上上がって引けた。この方針は日銀の中でも意見が割れており5対4の際どい決定だった。

マイナス金利と言っても我々の預金がマイナスになるわけではない。銀行が日銀に預けている預金のうちの一部をマイナス金利にするというものである。具体的には日銀への預金を基礎残高、マクロ加算残高、政策金利残高の3段階に分け基礎残高は+0.1%の金利、マクロ加算残高は0%の金利、政策金利残高は-0.1%の金利にするとしている。基礎残高とはこれまでにすでに預けていたもの、マクロ加算残高は日銀が判断して必要と認めるもの、政策金利残高はマクロ加算残高を超えた預金、ということになっており、実際の影響はそれほど大きくはない。むしろ「今後、必要な場合、さらに金利を引き下げる」という表現のほうが影響が大きそうである。

この日銀の決定に対する経済界の評判はあまり良くない。「これで実体経済が良くなるとは思えない」とか「日銀は打つ手が無くなってついにマイナス金利を始めた、と思われる」とか、「一週間前には『やらない』といっていたことを始めるのでは信用されなくなる」とかいった否定的な意見がテレビでは多く語られている。前回、2014年10月末に発表した「国債買い入れなどによる通貨供給を増やす」、と言ったときには好意的反応が多かったのとは対照的である。

私の印象は「黒田さん、考えたな」という感じで好意的に受け止めている。今回のマイナス金利は「日銀に預けないでください」というメッセージであり、銀行にとって好ましくない内容なので銀行の影響を大きく受けているエコノミストから否定的な反応を受けているのだと理解している。先日、「これ以上の金融緩和は効果がないのではないか」と書いたばかりだが、今回は通貨供給量を増やす金融緩和ではなく銀行に運用を強いるものなので好意的に受け止めている。

この影響はどう出るかというと日本国内での運用に行き詰った資金が海外に流出するので円安に振れるだろうということである。今年に入ってから円高傾向が見えてきているが、このまま円高が進行すると、日本経済は不況になるので、円安に向かうように手を打ったというのは必要なことだろうと思う。一週間前に「やらない」と言っていたことをやったのは甘利大臣の辞任が影響しているだろうという見方があった。先に日銀が発表してから甘利大臣が辞任したのでは効果は吹っ飛んでしまうが、大臣辞任直後にマイナス金利を発表すれば大臣辞任のマイナス効果を打ち消せるという観測である。これは当たっているのではないかと思っている。

株価は今後どうなるかは分からないが、円安は進むだろうし、実際に進んでいる。アメリカの大統領選挙と絡んで「通貨安競争は止めるべきだ」というアメリカ世論が高まってくるかどうかが今年の日本経済を占う焦点だと私は思っている。

 

 


薄気味悪い株価の動向

2016-01-24 14:17:08 | 経済

今年に入って株価の動きが変調である。年明けから連日下げ続けたと思うと金曜日の日経平均は一気に900円以上も上がった。ISのテロは各地で勃発しているし、イランとサウジの政治的緊張などもあるが経済的にそれほど大きな影響があるとは思えないし、中国経済の成長が鈍っていると言っても前からのことで今年に入って特に大きな動きがあったとは思え無い。今の株価は世界中で変調だが、原因の大部分は投機筋の心理的な動きではないかと私は考えている。

要するに昨年後半株価が上がってきたのだが危うさを含んでいると皆感じており、下がり始めたらすぐに売り逃げできるようにと皆構えていたからではないかと思う。投機マネーは株だけでなく原油などの自体経済にも流れており、こちらは必要としている企業などが影響を受けている。実需要を持っている企業も投機的動きに対応していかないと損をしてしまうので対応しているというのが実態だろう。それがドラギ総裁がユーロを緩和すると発言したことで日経平均の900円の急上昇などにつながっていると思う。

このような状況でさらなる金融緩和をして効果があるのだろうか、と疑問に思う。一時的な株価の上昇にはつながっても少し時間が経てば投機的傾向をますます強くするだけなのではないかと思う。金融緩和よりは政府が需要を作る、公共工事のようないわゆる財政出動のほうがましなのではないかと思う。財政出動は需要を作り仕事を作るからである。しかし、不要なものを作ると後で揺り戻しが大きい。過去の日本の公共工事などでは使われない建物などを建てて後で維持費用がかさんで大きな問題になったことがあったと思っている。東京オリンピックに向けての工事などもあまりに規模が大きくなればこのようになるだろうと思っている。

どうすれば良いのかは分からない。ただ、最近金融業界で言われている日銀のさらなる金融緩和は効果がないだけでなく、むしろマイナスになるのではないかと危惧している。