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ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

マンションの杭打ちデータ改ざん事件に思う

2015-11-17 09:24:47 | 経済

横浜のマンションで傾きが見つかり調べてみると杭が十分に岩盤に届いていなかったことが分かりデータが改ざんされていたことが判明した事件は大きな広がりを見せている。このマンションは「ららぽーと横浜」の近くにあり、以前の私の職場とも近いので気になっていた。調べ始めると改ざんは全国的に広がりマンション市場全体の先行きに影響を与えそうだという。旭化成建材ばかりが責められているがおそらく他にもかなりの業者が改ざんを行っているだろう。実際に作業を行っているのは旭化成建材の社員ばかりではなく、フリーの契約社員などがかなり含まれているはずで、そういう人はほかの会社の仕事もしているだろうと思うからである。

安全にかかわる問題なので、政府は元受けの三井住友建設、下請けの日立ハイテクなどの責任をきちんと追及すべきだろう。旭化成は日立ハイテク仕事を請け負ったわけで、支払いもこのルートのはずである。騒ぎ立てることが目的のマスコミは別として、ビジネス上はこのルートで交渉が行われていると思っている。

過去のデータ改ざんに対して私は「どうすべき」という強い意見は持っていないが、これが建設業界にIoTを導入する良いきっかけになるだろうとは思っている。作業が終わってから人手でデータをまとめて整理するからこのような問題が起こるのであって、作業中にデータをリアルタイムでセンターに送っていればこのような問題は起こりようがないし、作業も効率化する。こういった動きは今後一気に加速すると思う。

今回の事件で改めて明らかになった、下請け、孫請け、ひ孫受けといった業界の多層構造もインターネットで改善のきっかけをつかめるのではないだろうか。実作業をする工務店などが下位の下請けに甘んじているのは仕事をとれる仕組みがないからだろう。流通業界で卸が減って生産者と消費者が近づいているにもかかわらず、建設業界でこれが進まないのは情報の流通がうまくいっていないからだと思う。アリババのような企業が出て、登録すれば仕事の情報がネットで回ってきて、元受と実作業者が直接交渉できるようになれば業界の効率化が進み、国際競争力も上がるのではないかと思っている。

国土交通省に今回の事件をきっかけとして業界構造の見直しに動いてほしいと思うが、たぶん無理だろう。政府側では経産省が内閣府あたりに働きかけて動くかどうか、という感じだと思う。それよりも民間でIoTがらみで一儲けしようという企業が出てくるほうが期待が持てる気がする。


あふれだす中国鋼材

2015-10-17 21:00:03 | 経済

9月8日の「国家企業の影響を考える」で書いた中国が鉄鋼の独占を狙っているのではないか、という危惧が進行しているように思う。

今日の日経に「あふれだす中国鋼材」というタイトルで中国が国内で鉄鋼需要が減少しているにもかかわらず減産していないので、アジア各国に流れ出し、東南アジアやインドの鉄鋼メーカーが倒産し始めている、という記事があった。中国の鉄鋼メーカーに競争力があるのなら仕方がないが赤字で販売して淘汰を狙っているのではないかという感じがする。本来なら中国メーカーも利益が出ないで倒産するはずだが、倒産しない。国の援助を受けているのではないかと思う。これが韓国や日本のメーカーも倒産し始めるようになると事態は深刻だと思う。

中国企業が低コストで生産できて利益を上げているのなら仕方がないが、どうもそうではないようである。中国の鉄鋼企業は業績が悪いのに減産せず、倒産もしない。国が後ろ盾になって、安売りをしているようでは一般企業ではとても太刀打ちできない。私の想像は外れているのかもしれないが、実態調査に動くべきではないだろうか。

政府が後ろ盾になっていることが分かった場合、欧米企業なら何らかの政治的な手を打つ感じがするが、韓国や日本の企業や政府に果たしてそれができるのか、政府の実力も含めて気になっている。TPPの精神に逆行するようだが、中国からの輸入には関税をかけるような対策が必要かもしれないと思っている。もっと良い方法があれば良いのだが、私には思いつかない。


気になる日本政府のIoTへの取り組み姿勢

2015-10-15 16:31:15 | 経済

モノのインターネット、IoT(Internet of Things)は昨年あたりから急に取り上げられはじめ、最近はニュースでこの話題を聞かない日は無いほどである。モノのインターネットは最初はM2M(Machine-to-Machine)通信などと言われ、通信業界で動き始めたのだが、ウェアラブル端末などもなかなか普及せず、足踏み感があった。それがここへきて急に注目を浴びるようになったのは、ドイツがIndustry 4.0というコンセプトを打ち出し、ドイツの強みである製造業をIoTを使って強化する方針を打ち出し、アメリカでは有力企業が集まってIndustrial Internet Consortiumを形成して企業活動をインターネットを使って強化する動きが見えてきたからである。

このインターネットを使って企業活動を強化する動きは将来的には全産業に広がると考えられ、大きなインパクトをもたらすものだと思うが、日本政府や日本企業の動きは鈍く、出遅れ感が否めない。それでも総務省は「IoT政策委員会」を作り、9月25日にその第1回会合が行われた。

その資料を見て、「これで果たして出遅れ感を取り戻せるだろうか」と疑問に感じた。特に問題に思ったのは委員の顔ぶれである。学者や中小企業、オペレータ、野村総研のような経済アナリストが多く、実際に使って効率化をしようと考えるような企業があまり見当たらない。これで果たして中身の濃い議論ができるのだろうか、と疑問に感じる。

以前の総務省ならこの種の委員会を開くときは、NTT、KDDI、ソフトバンクと、日立、三菱、NEC、富士通などの大手電機メーカーで固めて、供給側の論理に結論が固まるのが見え見えだった。今回はオペレータは入っているが大手電機メーカーは一社もなく、「供給側の論理」を警戒した節は見られる。諮問を出した官邸側にそういった認識があるのではないかという気がしている。その点は良いのだが、「それなら」と言って総務省が集めた委員たちは実際にIoTを本格的に利用して事業を伸ばそうとするよりも、IoTに絡んで一儲けしようという小物か、評論家という感じがする。もちろんベンチャー企業のような人も必要なのだが、やはり国を大きく動かすような重みのある委員もほしかったと思う。

来年6月を目途に答申をまとめる予定のようだが、「こんな用途がある」という用途の羅列に終わるのではないかという感じがして、日本の周回遅れが確定してしまうような気がする。長くなるので今回はここまでにして別の機会に「私ならどうするか」を書いてみたいと思う。



アベノミクスは賞味期限切れ

2015-10-05 10:18:06 | 経済

安倍総理が自民党総裁に再選されてことをきっかけに記者会見で挨拶し、「アベノミクスは第2ステージに入る」と宣言した。新アベノミクスは

・GDP 600兆円
・出生率 1.8
・介護離職ゼロ

という目標である。これに対する世間の評価は必ずしも高くないが、私も「アベノミクスは賞味期限切れだな」と感じている。その理由を書いておこう。

私はこの第2ステージは「三本の矢」の中の「成長戦略」をあきらめたものだと理解している。アベノミクス第1ステージの3本の矢、金融緩和、公共投資、成長戦略はそれなりに効果を生んでおり、円安・株高を実現している。貿易収支はまだマイナスだが、そろそろ効果が出てきて黒字化するのではないかと思っている。これまでの成功は第1の矢(金融緩和)と第2の矢(公共投資)のおかげだと言われており、第3の矢(成長戦略)が最も重要なのだが、これはうまくいっていない、と言われていた。成長戦略の要は規制緩和であり、本質的に効果を生むまでには時間がかかるものだが、今一つ政府の切れが良くない印象を私も持っている。

成果が出ていないとは言っても、安倍政権はこれまで規制緩和に取り組んできたと私は認識しており、歴代の内閣に比べるとかなり良いほうだと思っている。農業の産業化、TPP、マイナンバーなど、最近話題になったアイテムだけでもいくつかある。十分とは言えないが政府はかなりの熱意を持って取り組んできたと私は思っている。

しかし、今度の第2ステージの目標はこの成長戦略の旗を降ろしたものと私には思える。その代わりに金融緩和に一層頼ろう、という姿勢になったと思っている。今再び世界の経済状況が怪しくなっており、経済評論家と呼ばれる人たちはさらなる金融緩和を言い出している。金融関係者は政府が金をじゃぶじゃぶに出してくれればコストが下がるので好ましい。そして、経済の専門家と呼ばれる人たちは大部分が金融関係者であることが、こういった減少につながっていると思う。

今、追加の金融緩和などするべきではないと私は思う。そう思う人は少なくないだろうと思うのだが、日銀は政府や金融界から強い圧力を受けるだろう。選挙が近いので即効性のある、金融緩和を含めたばらまき政策に走り、日本経済の将来に傷をつけるのではないかと懸念している。


国家企業の影響を考える

2015-09-08 14:18:06 | 経済

G20では中国発の経済変動に話題が集中したようだが、私が世界経済で気になっていることに一つに国家企業の影響がある。

例えば石油企業の国際メジャーというとエクソンやシェル、BPなどが思い浮かぶが、事業規模が圧倒的に大きいのはサウジのアラムコであり、他にもロシアのガスプロム、中国のペトロチャイナなどが大きく、原油価格などは市場価格だけでなく国策も交じって決まっていると考えるべきだろう。最近では中東の航空会社がシェアをの伸ばしていて、民間とは資金力がまるで違うので困っているとユナイテッドの社長が語っていたのを読んだことがある。資金力に圧倒的に差のある国営企業が競争に参入してくると市場がゆがめられる。G20などではこういったことのルール化を話し合うべきではないかと思う。

最近私が気になっているのは鉄の価格である。鉄の需要は中国が非常に大きく、中国では多くの鉄鋼会社が生産を増やしている。最近の中国経済の減速で、余り気味なのだが減産はしておらず、中国企業が安値で大量に輸出していると聞く。私はこれがレア・アースの時のパタンに陥らないかと気にしている。レア・アースはその名の通り世界的にレアな元素で中国の奥地でとれるので中国が世界シェアの95%を占めていた。それがあるとき中国政府が急に輸出を絞り、品薄のうえ価格も暴騰した。携帯電話に使われていたので、携帯電話メーカーはレア・アースを使わなくて済むように研究開発を続け2年後くらいにはレア・アースの使用量は大幅に減少した。

鉄は工場を止めたりすると再起動に長い時間がかかる。工場を閉鎖してしまえば増産には非常い長い時間がかかる。中国企業は赤字でも政府の援助で生き延びられるが他の国は難しいだろう。製鉄の分野で中国企業以外で強いのはアルセロール・ミタル(インド資本)、韓国、日本とほとんどがアジア資本である。中国に対して政治力を発揮できそうにもなく、身動きが取れなくなるのではないかと気にしている。

私の知識は数字を伴っておらずあやふやなものだが、気になる動きである。


中国経済の実態はどうなのだろう?

2015-08-30 14:29:52 | 経済

最近、中国政府が「元」の切り下げを行い、それに伴って世界の株価が大きく下がった。一応下げ止まって回復に向かっているが先行きは見通しずらくなってきている。このブログにも何度か書いたのだが、中国景気は減速している、という話は昨年からあった。それでも政府が言う7%成長はできるというのが大方の見方だった。少なくとも今年の初めには大部分のエコノミストが7%程度はいけるだろうと言っていた。私自身今年初めに調べた時には「本当に7%も成長ができるのだろうか?」と疑問に思いながらも「自分は経済の専門家ではない。大部分の専門家が【できる】といっているのだからできるのだろう」、と思っていたし、ブログにもそう書いた。

それがここへきて専門家の意見として7%などとても無理で5%ではないか、いやもっと低いなどという声も出てきた。「7%成長はできる」と言っていたエセ専門家が意見を変えたのか、その時は黙っていた人が意見を言い始めたのかは分からない。専門家の意見というのもあてにならないものだと思った。

私の反省として納得していないのに、「専門家が言っているのだから信じよう」という態度は止めようと思う。ネット時代には多くの情報が流れる。しかし、大部分は他の人の意見をそのまま転送しているか、多少脚色しているだけである。本質的な意見は案外少ないものである。私自身、このブログの意見は自分で考えて書いているつもりでいるが、元ネタは新聞やネットであり、それらを結び付けて自分の意見を作っている。元ネタが間違っていれば自分の意見も間違えることは避けようもないのだが、もし元ネタが間違っていればどこかにしっくりこない感じが残るはずである。ひとつの意見だけを参考にする場合には、反対することはあっても同じような意見を書くことはしていないので、ある程度問題は避けされるはずである。

本当のところ、中国経済はどうなのだろう。実態が5%ならかなり大きな社会問題になる感じがして、今の状況から見て今度は5%は低すぎる感じがする。上海株は一時的にせよ年初来安値を付けたので、株バブルの収束はできたと思っている。それでも昨年の5月頃からみれば4-5割高くなっている。勘ぐりすぎかもしれないが世界同時株安は中国政府が演出した面もあるのではないかと思っている。上海株を取引停止にしても再開すればまた売り圧力が高まる。それを政府が一手に買い支えることはできない。しかし、世界同時株安なら、目立たずに株価が下げられる。実際、この世界株安のおかげで上海株は適当なレベルまで下がってきた。ここで通常の金融政策を取れば、急激な株安は抑えられるだろう。実際株安は止まったし中国を含めた世界経済も落ち着きを取り戻している。

以上は根拠もない私の推測に過ぎない。エコノミストはこの先どうなるか見通せないと言っているが、私自身はこれで世界株安は収まって通常常態に戻ると思っている。


NECの良いニュース

2015-08-22 14:13:39 | 経済

木曜日だったと思うが、久々に私が過去に勤めていたNECに関するニュースで「良いな」と思うものがあった。

 NEC、人工知能で防犯 日立は業務助言に応用

である。良いと思ったのは「年間530万円から利用できる」というように売り切りではなくサービス事業を目指している点である。日本のコンピュータベンダは90年代まではコンピュータシステムのハードウェアを売るビジネスを中心としていたのだが、90年代後半あたりからソルーション事業、つまり顧客企業のコンピュータシステムとして使いやすいシステムを構築することを主な事業にしている。最近はクラウドとか言ってネットワーク化したシステムを構築しているが、出来上がったら顧客に引き渡すのではこれまでの変わらないと私は思っている。

これからベンダにとって重要なのは顧客の仕様書をもらってそれに合わせてシステムを作るのではなく、自らでサービスソフトを作って利用料を取って利益を上げるビジネスモデルが重要だと思っている。NECはこれに踏み出したということだろう。

こういったシステムは、顧客に引き渡さないので内部構造は分かりにくく、企業の技術力が試される。いわゆるビッグデータ分析になり、経験を積むほど賢くなってくる。人工知能としてはIBMのワトソンが有名だが、NECは監視カメラの分析では強いらしく、この分野で世界の市場を集めて強固なビジネス基盤を作ってほしいと思う。

このような分野は最初にある程度顧客を集めて、分析サービスを提供し良い評判をとると、どんどんデータが集まり好循環に入る。そうなると後発は苦しくなってくる。目先の利益にとらわれず、技術開発、マーケティング、営業に思い切って投資して世界トップに地位を確立してほしいものだと思う。


WiFi Firstというサービス

2015-07-07 17:11:12 | 経済

またまた英国Economist氏からの情報であるがアメリカで「WiFi First」と言うサービスが広まっているという話である。

現状、電話のインターネット化の進行は着実に進んでおり、国際電話の年間利用時間は年間5600億分、これに対してSkypeの利用時間は2500億分でSkypeだけで全世界の国際電話の半分を利用している。インターネット電話のサービスは他にもあるので実質的には国際電話に関してはインターネット電話のほうがむしろ多くなっていると考えることができるだろう。国際電話の料金を考えるとある意味では当然だと言えるし、インターネット電話の品質も良くなってきたので企業が国際電話会議を行う時にどんどんインターネット電話に移行してきた点が大きいのだろう。

このような状況を受けて、WiFi Firstと呼ばれるサービスがアメリカとフランスのベンチャーから出てきている。これは携帯電話のデフォルト利用をWiFiにするものでWiFiが使えない時にはMVNO(現状Sprintを利用)でモバイルオペレータのネットワークを利用する。WiFi-Mobile Networkのハンドオーバーをサポートしていているのは現状はGoogleのNexusだけだそうであるが、他の端末でも使えないことはない。料金はデータも含めて$5から$40だそうである。現状、電話を含めた料金体系と言う意味ではドコモのカケホーダイがあるがこのWiFi Firstはドコモの半額程度と言うことができる。

国際電話の例で明らかなように、通信オペレータにとって国際電話の利益率は高い。それを値下げをせずに放置すると、抜け道ができた時にトラヒックはどんどん抜け道のほうに流れていく。モバイル通信で言うとローミングサービスに続いて電話サービスが国際電話のような状況になっていくと思う。Apple SIM等と言う概念が出てきているように当面は国際ローミング、中期的に電話料金をモバイルオペレータが下げて行かないと、次第にMVNOにトラヒックが移行して行くように思う。

今、3GPPではU-LTEという5GHz無線LANの周波数帯でLTEを利用することを検討している。3GPPなのでオペレータがLTEトラヒックのオフロードとして使うことを想定しており、もナイルオペレータでないと使えないような技術条件を何か入れるのかもしれないが、IEEE802委員会が対抗して誰でも使えるU-LTEを標準化すればそれを止めることはできないだろう。WiFi FirstにとってはLTEとの親和性が良くなり好ましい方向性だと思う。


ギリシャ問題の今後

2015-07-01 08:36:51 | 経済

本日、ギリシャが期限までに借金を返済せずにデフォルトに陥った。世界の株価やユーロは一時的に下がったがその後戻っている。一部の投機筋が動いただけで全体としては織り込み済みだったということだと思っている。

マスコミなどは今後の国民投票で緊縮を受け入れるかどうかが大きな問題だと騒いでいる。外れてはいないと思うが、ポイントをついてもいないという感じを私は持っている。私の気持ちは5月14日にギリシャについて書いたときから変わっていない。私が思うのはヨーロッパ全体にとってシナリオは、以下の3つで

1.国民投票で緊縮を受け入れ、解散総選挙、中道右派の政党が政権を取る

2.国民投票で緊縮を拒否、ギリシャはEU離脱

3.国民投票で緊縮を受け入れ、シリザが方針転換(現体制で緊縮財政にする)

好ましい順番に並べてある。

国民投票ではおそらく緊縮を受け入れになるだろうと思う。その時の賛成と反対の比率が問題で大差ならば1.になり、僅差ならば3.になるだろうと思う。チプラス首相が辞任したとしても、政権がシリザにあるうちは3.と解釈すべきだと私は思っている。

日本の先の民主党政権を見ていてもわかるように、もともと実績もなく国民をあおって選挙に勝ったような政党には難しい問題に対する遂行能力は無い。まして、選挙公約と全く異なる方針を運営することはできない。シリザが実行する限り、緊縮財政にすると言いながらぐずぐずと動きが悪くいつまでたっても借金を返せる体制にならないという状況が続くと思っている。国民投票で大差で負ければさすがに総選挙になると私は考えている。

今のEUの首脳もおそらく同じ思いだろうと思う。EU立場は国民投票の結果どうなれば債務免除などとは全く言っておらず、ギリシャは既にデフォルトしているので、強い言い方をすることが可能である。国民投票で緊縮財政を受け入れたとしても、うわべだけの緊縮受入れならばやはりデフォルトさせて支援打ち切りに出るだろうと思う。おそらく裏でギリシャ国内に対して情報操作していると思うが、それとは別に公式メッセージとしてどのような発言をするかは興味深いところである。

日本政府は今は野次馬のような立場でこの問題を見ており、金融関係者や投資家だけがやきもきしていると思うが、今後日本が資金援助している東南アジアなどで似たような事態が起こる可能性はある。政府や日銀は今のEUの対応をしっかり分析して、どこが良かったか、どこが悪かったか、を分析しておくべきだと思う。政府ならばEUの動き、ロシアや中国の動きなどの内部情報もある程度は入手できると思うのでしっかり分析してもらいたいと思う。



車の自動運転は意外に早いと思う

2015-05-21 09:26:03 | 経済

最近、車の自動運転が話題になることが多い。Google Carが有名だがAppleも進出を考えているようだ。殆どの人は「10年後の話」と考えていると思うが私は意外に自動運転車の普及は早く、10年後には今のアイサイトなどの運転補助機能と同レベル、つまり自動運転機能がついているかどうかが、車の売れ行きを左右するような状態になると思っている。

自動運転と言っても、無人運転は10年後にはまだで、運転席ではなく、助手席に人が乗っていて運転席は無人、というのが実験中ではないかと想像している。運転席にシートベルトをして運転手が座っていないといけないが、条件は警報が鳴ったら5秒以内に人が運転をするようにできること、という感じで、それまではテレビを見たり、電話を掛けたりしてよい、というのが私の10年後の自動運転のイメージである。20年後には無人運転が普及しているだろうと思っている。

私が自動運転の普及は早いと思う根拠は、自動運転のほうが事故が少なくなると思うからである。Google Car既に200万キロほど公道を走っているが事故はゼロ(止まっているときに追突されたなどの事故はある)だそうである。アメリカではカリフォルニア州で自動運転認可のための法整備の検討が進んでおり、保険なども検討されているので遠からず認可されると思っている。そして認可が出て2-3年すると十分な実績が積み上がり事故率が低いことが公表されて、ヨーロッパ、日本と認可が広がると思っている。

自動運転は当然のことながら速度違反はしないし、制限速度よりもある程度余裕を持って走るだろうから、人が運転するよりも到着までの時間は若干長くなるだろう。しかし、本を読んだり、テレビを見たりしてよく、事故率も低いとなれば運転者にとって十分なメリットがあるだろう。遠距離のバスやトラックの運転もメリットがあると思う。

Googleの最終目的は無人運転で、一般人は自宅に車庫を持たず、どこかの大規模駐車場にある車をスマホで呼び寄せ、目的地まで着いたら車を降りると車は勝手に駐車場に行く、というイメージだそうである。駐車場が各家庭など不要になり、大規模駐車場に集約できるので都市設計も変わってくるだろう。

Googleのイメージする最終形態までには時間がかかると思うが、ショッピングセンターなどの入り口で車を降りると後は車が勝手に駐車スペースまで行く、無人バレーパーキングは早いと思う。駐車場には人は通らなくなるので対人の事故は考えにくいし、パーキングスペースには様々なセンサーを付けることが可能だからである。利用者のメリットも大きくショッピングセンターのセールスポイントにできるだろう。

自動車の変化は情報通信の変化に比べてかなり遅かったが、ここへきて加速の兆しが見える。今の自動車メーカがそれぞれ自動運転技術を開発する可能性もあるが、水平分業になる可能性が高いと思う。つまり、自動運転技術は車メーカー各社がGoogleからライセンスを受けるというパソコンやスマホのようなビジネスモデルになる可能性が高いと思う。また、Appleが自社ブランドの自動車を作り、韓国の自動車メーカーあたりが下請けで製造に徹するというiPhoneモデルも考えられ、業界構造の大きな変化につながるかもしれないと思う。