極東アジアの真実 Truth in Far East Asia

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世界―、日本一多くの木を植えた男

2016-10-19 13:47:17 | 日本社会

どんぐりは、1年、2年

やがて、緑の葉っぱはのびて

いつの日か、僕らをまもる・・・

この歌は、雨谷麻世の「僕にできること」の収録曲の中の「木を植えよう~いのちの森~」と言う曲で、宮脇昭先生の植林活動の歌で、平成23年に小学校唱歌にもなっています。

鎮守の森 (新潮文庫) 文庫2007・宮脇 昭 (著)と言う小さな文庫本がありますが、この本は私達に日本古来の樹木の役割、大切さ等を分かりやすく教えてくれます。

著者は横浜国立大学、名誉教授(財)国際生態学センター所長・NPO地球の緑を育てる会顧問等をされている宮脇 昭先生です。

以下文は、主に宮脇 昭氏、白鳥哲氏HP、NHK、ウィキペディア等々の資料を一部コピー、参考等しています。白鳥哲氏のHPは樹木に関心がある方にはお勧めです。

 

少し古くなりますが、2005年6~7月の毎週月曜日、午後10時25分~10時50分、NHK教育テレビ「知るを楽しむ」という番組で、『この人この世界―、日本一多くの木を植えた男』と題して放送されました。

日本古来の「原木種植林」を主にした内容で、全国の多くの方々が「原木種植林活動等」に感動、涙したとも言われています。

放送後、全国の多くの視聴者から再放送のリクエストがあり、再放送(翌週月曜日)がありました。それでも再度の再放送のリクエストがあり2回目の再々放送(翌週水曜日)が行われました。それでも再放送のリクエストがあったそうで、如何に感動が大きかったが分かります。

古来原木種(どんぐり、シイ、タブ、カシ、クス等)が如何に大切であるか、多くの日本人が再認識したと言われています。

 

宮脇 昭先生は、岡山県出身で広島文理大学時代の「雑草学の研究」が、ドイツ国立植生図研究所所長チュクセン教授の目にとまり、以後教授の元で、潜在自然植生と呼ばれる、その土地本来が持つ植生を徹底的に学ばれたと言われています。

 

帰国後は、現場第一主義で日本全国を隈なく調査し、日本植生誌(1~10巻 / 宮脇昭 編著 至文堂)をまとめおられておられます。その後企業、学校、団体等と連携、市民参加の緑化運動は全世界1700箇所、4000万本以上の木を植えて来られたと言われています。

 

特筆すべき、宮脇 昭先生の植生に対する理論とは?

その土地の主役の木(古来原木)を選定し三役、五役となる複数の樹木を混植・密植することで自然淘汰、共存共栄して管理を必要としない森が形成される。

 

関東周辺では明治神宮などの鎮守の森(神社境内の森)に見られるようにどんぐり、シイ、タブ、カシ、クス等の常緑照葉樹が主役の木である。

 

異なった樹木がそれぞれの特性を生かしながら、それぞれが少しずつ我慢をして辛抱強く生きる姿が最高の自然環境である。

 

古来の日本の樹木はこのような状態だったと思います。

今、都内で多くの古来の原木種が多く栄えているのは皇居、明治神宮等だと言われています。これらの原木種は震災等では防災(火)の役割を果たすとも言われています。


宮脇 昭先生の全国調査の結果、日本ではほとんどの森が本来の植生でなくなっており、本来の植生は全体の『0.06%』日本のほとんどの森が本来の植生と違っていたことが分かりりました。

戦後、針葉樹拡大造林政策と呼ばれる林野庁政策でスギ、ヒノキ、カラマツなどをほとんど間隔を置かずに、利益等第一で植林されてきたと思います。
スギ、ヒノキは本来のその土地本来が持つ潜在自然植生ではありません。無理な植え方によりスギなどは生存に危機感を抱くために大量の花粉を放出し続け、花粉症の原因となっているとも言われています。

本来の潜在自然植生に基ずく森は、災害や防災、豊かな水源等となります。各地で見受けられる崖崩れは、森が本来の力を失っていることの顕れでもあると言われています。

 宮脇昭先生は、この潜在自然植生に基ずく森作りを、日本の「鎮守の森」(神社境内の森)にその原型があると言っています。

 

戦後、いつの間にか全国の宅地造成等々では、植林業者等は利益になる松の木等を植えるために古来の原木を完全伐採して整地し、新たにこれらの土地に古来種以外の松ノ木等を植生し続けています、唯利益を出すためにか・・・

防災効果(火)等を考慮したら古来原木種であるどんぐり、シイ、カシ、クス等が有効だと思います。

特に松ノ木は防災(火)を助長すると言われ危険だと言われています。これらの防災(火)は関東大震災を精査すると、古来の樹林が大きな防災(火)成果を上げています。

私達が防災(火)避難する場合は、「松ノ木」を避けることが必要と思います。

 

都内には皇居、明治神宮等以外にも面積は少ないですが、貴重な原木種の樹木があります。

昨今の都内での300本の樹木伐採には、このイチョウ等、原木種が多く含まれているようです。

2週間のオリンピックの為に、これらの大切な原木種樹木を伐採することは本当に正しい事だろうか・・・伐採後、再度、付近に植林したとしても当時の環境と現在は大きく違い、現状の大きさまでに育つのは大きな困難を伴う可能性があります。

宮脇昭先生の意見を是非聞きたいものですね。

何か代替策があるように思える時があります。

 

人間は古来、樹木から計り知れない目に見えない恩恵を受けてきたとも言われています。樹木には霊が宿るとも言われてきました。

特に大都会の樹木は限られた厳しい環境の中、極めて微妙な自然のバランスの上でなりたっていると思います。

都会の緑豊かな樹木達・・・私達に癒しの空間を分け隔てなく最高のプレゼントをしています。

正に自然のみが出来る驚異の技に思えます。

時代が変ろうと、私達はこの樹木達に対する敬虔(けいけん)な心を持つ事は大切だと思うし、人間は自然に生かされていると思う昨今です。

 


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