「(菅)話放題」③

2010-07-05 21:37:21 | 「(菅)話放題」
                「(菅)話放題」③


 我々は、1990年初頭のバブル崩壊をロールエンドにしてビデ

オテープに収録された高度経済成長時代の映像を、まるで逆回転

させたようなその後の二十年を送っている。1970年代初頭、株

価は日経平均で1万円の大台を超えんとして「奇跡的な成長」とま

で謳われ、人々は止まることを知らない繁栄に浮かれていた。それ

が再び株価は同じ1万円を巡って、バブル期の瞬間的に付けた3万

円台を分水嶺にして、遂に大台を割り込むまでに後退りしてしまっ

た。70年代の好景気に沸いた時代とは対称的(対照的)な下降する

ベクトルによって。

 1970年代の政治状況も様々な問題が指摘されていたが、問題

があっても力強い経済成長の勢いで飛び越えることができた。日米

安保の問題も、政治と金の問題も、社会保障の問題も、国内経済に

比すれば何れも「大したことじゃない」と言って先送りしてきた。

もちろん国民も今より遥かに若かった。しかし、それら先送りして

きた問題が逆回しの時代の下で再び映し出されようとしている。と

ころが今度は、収縮した経済に相対して巨大化した陥穽(かんせい)

を前に高齢化した国民はただ立ち止まるばかりで、嘗てのように飛

び越える勢いを失くして「大したこと」になってしまった。つまり、

我々は決して新しい問題に向き合っているのではない。ただ打っ遣

って措いた過去の宿題に悩まされているだけだ。政治と金で躓いた

小沢元党首を始め、日米安保に端を発する普天間移設問題を、米軍

と沖縄県民の苦痛と日本の国防の三竦(すく)みから迷走し、政権を

投げ出した鳩山政権に続いて、今度は菅政権が放漫財政のツケを消

費税で賄おうとして、国民と行政と経済成長の三竦みから迷走し、

再び国民の支持を失い政権から降りるようなことがあれば、政権は

一年交代から僅か半年の周期に短縮され、自民党は言わずもがな民

主党さえも国民の支持を失って、政治に対する国民の不信が更に高

まる。

 先立つ60年代後半は、世界はイデオロギーの違いから東西に別

れ、アメリカはまるで今の反イスラム主義によるアフガン攻撃に見

られる様な、反共産主義からベトナム戦争が始まり、それに先立つ

60年代初頭は我が国内に於いても、経済不況から治安が悪化し、

左翼政党が勢力を拡大して労働争議が頻発し、一方では政治疑獄が

取り沙汰されて政治不信が高まった。(来る参院選でもしも共産党

が議席を増やすことでもあれば、私の思い付いた「逆回転の日本史」

は杞憂では済まなくなるが)そして、その先を遡ると朝鮮戦争が勃発し、

更にその先を遡れば・・・。

 ただ、我々は既にアナログ時代を超えてデジタル時代を迎えてい

る。ビデオテープの逆回しという発想はいかにも前時代の考え方で

ある。私が危惧する「逆回転の日本史」もデジタル世代の若者の手

によって簡単にデジタル変換されて、再びアジアが混乱する時代が

繰り返されることがないように上手く上書きされることを願うばかりだ。

                                   (菅)③

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