「『アベノミクス解散』について」

2014-12-01 08:42:00 | インポート

         「『アベノミクス解散』について」


 報道によると、「安倍晋三首相は21日夕、首相官邸で記者会見し、

今回の衆院解散を『アベノミクス解散』と位置づけた。『アベノミク

スを前に進めるのか、止めてしまうのか、それを問う選挙だ。私たち

の経済政策が間違っているのか、正しいのか、ほかに選択肢があるの

か国民にうかがいたい』と語り、アベノミクスの是非が衆院選の最大

の争点になるとの見通しを示した」(日経電子版[2014/11/21 18:17])

 そもそも前回の選挙で自民党のマニフェストには「アベノミクス」

の元となる経済政策が掲げられ国民の支持を得て政権奪還を果たし、

もはや安倍政権は何の抵抗も受けずに経済政策を推し進めることがで

きたはずだが、にも拘らず道半ばで改めて国民に信を問う意義がまっ

たく理解できない。小泉政権下の「郵政解散」と比べられるが、少な

くとも「郵政解散」は参議院で郵政民営化法案が否決されたが故に、

これも可笑しな話だが衆議院を解散して国民にその信を問うた。そも

そも「アベノミクス解散」と呼ぶなら「アベノミクス」の成果を見て

から解散するのが本来であって、その道半ばで改めて国民に問わなけ

ればならない如何なる問題があるというのだろうか?さっさと第三の

矢を2%のインフレターゲットへ射て「アベノミクス」を成就させれ

ば済むだけのことで是非を問う選挙はそれからのことではないか。「

馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」

という諺があるが、実体経済という「馬」を金融緩和という「水辺」

へ連れて行くことができても、しかし馬は水を飲むとは限らない。金

さえばら撒けば消費が増えると考える経済学者は、馬の気持ちをまっ

たく分かっていない馬子と同じだ。敢えて道半ばで国民に信を問わな

ければならない理由を捜せばネガティブな理由しか見当たらない。す

でに第三の矢も尽きてしまったか、或いは「異次元の金融緩和」によ

ってしても「2年で前年比2%の物価上昇率を目指す」と言った日銀

黒田総裁の政策目標が達成できず、それを見越した上で政権を先延ば

しするためだけに選挙をするのだとしたらそれはあまりにも狡い。も

しも仮に野党が選挙に勝って「アベノミクス」が見直されたとすれば

、後々に再びリフレ派の恨みが蘇ってくるような事態だけは何として

も避けなければならない。だとすれば、反自民勢力は再び政権を奪還

するつもりでいるのなら、ここは一先ず大人しく「アベノミクス」の

成り行きを見届けてから、つまりきっちり「アベノミクス」を片付け

てから、その結果経済政策の選択肢が狭められるのは決して損なこと

だとは思えない。そしてそれはそんな先の話ではない。


                         (おわり)