「直接民主主義」再々掲載

2017-06-13 06:50:10 | 従って、本来の「ブログ」

 


          「直接民主主義」再々掲載


 テレビのニュースを見ていて驚いた。高知県にある村民約400人の

過疎の村が議会を廃止して有権者全員による自治を検討しているという

。朝日デジタルニュースによると『議会に代わって有権者全員で構成す

る「町村総会」の設置を検討している高知県大川村議会の6月定例会が

12日開会し、和田知士(かずひと)村長が村としても総会について調

査・研究を進める考えを表明した。和田村長は本会議冒頭、2年後の村

議選で候補者数が定数6に届かない恐れもあると指摘。「行政、議会に

村民の関心が薄れてきているのではないか。どうすれば議会が維持でき

るか勉強したい」としたうえで、「それでも村民の関心が薄いなら、総

会が成立できるか検討に入らなければならない」と述べた。「どのよう

に条例制定をするのかなど、作業は大変なものとなる」とも語った。今

後、副村長の下で総会の会場や体の不自由な村民を会場に運ぶ方法、総

会に必要な金額などを調べるという。

 村議会では5月15日に朝倉慧(あきら)議長の諮問を受け、議会運

営委員会で総会設置が必要かどうか検討している。議運では答申期限の

12月20日まで月1回以上のペースで議論する。(高木智也、佐藤達

弥)』朝日デジタルニュース2017年6月12日11時59分

 かつて私は、地方議員による政務活動費の不正受給が相次いだ時に、

ITを活用して「政治家」を一掃して「直接民主主義」によって自治を

してはどうかと書いたが、何ともこの国らしい事情によって、つまり政

治理念とか思想によってではなく、なし崩しに「直接民主主義」が検討

されようとしている。以下は、2012年6月21日に投稿した「直接

民主主義」の記事の再々掲載です。


         *    *    *

        「直接民主主義」


 この国で、将来の理想を語ることがどれほど空しい徒労に終わる

ことになるかを知らないわけではないが、それでも既得権益に群が

る腐った蛆虫どもと同等に見られたくないので、空しさを予感した

上で理想を語ろうと思う。

 すでにインターネット技術の発達によって、有権者による直接民

主主義が可能ではないだろうか。技術的なことは詳しくないがそれ

ほど難しいことだとは思えない。ただ、総背番号制は欠かせないだ

ろうが、投票に用いる端末器を行き渡らせることや、その集計には

それほど問題があるとは思えない。もしもそうなれば、まず、莫大

な歳費を貪るだけの国と地方に巣食う代議士が一掃できる。後はそ

の処理に当たる事務局さえ残せばいいだけだ。もっともその事務方

が歪めてしまう危険性がないわけではないが、それさえも直接投票

によって糾すことができるはずだ。立法を求める法案は全ての有権

者が提案でき、何段階かの審査投票を経て議案として取り上げ最終

的に住民投票か国民投票でクリック一つで採決する。矛盾する法律

の調整だけが官僚たちの役割だ。もう彼等が無能な政治家を使って

思い通りに引水させてはならない。専門的な知識が求められたり是

非に対する様々な意見は専門家による解説や議論をインターネット

上やマス・メディアを通じて行えばいい。無用になった国会は、こ

の国の腐敗した政治の歴史を伝える博物館にでもすればいい。

 もう政治家を無くそう、と言うのは、本来主権が国民や住民にあ

るのなら、大統領も首相も知事も市長もまして何の役にも立たない

議員など無用のはずではないか。彼等が国民の負託を忘れ官僚に

洗脳されて体制に従うのであれば、いったい何をする為の代議士な

のか。民主主義に於いてリーダーとは有権者の上に権力を与えられ

て立つ人ではなく、有権者の決定を執行する監督人に過ぎない。こ

れほどまでにも国民の意志が政治家によって歪められてしまうなら、

そして政治家の歳費こそが大きな債務を生むのであれば、たとえ衆

愚政治に陥ったとしても、どちらにしてもその責任を負わされるの

は主権者たる国民であるのだから、責任を負うべき主権者の直接の

判断によって決定される方がマシではないか。ポピュリズムを警戒

する人は、それでは今の政治家たちは信念を曲げずにポピュリズム

に対して毅然として立ち向かっているだろうか。いったい誰が主権

者の声を代弁してくれるポピュリストだというのか。何れも既得権

にしがみつく団体の御用政治家ばかりじゃないか。この頃のSNS

の浸透や携帯端末の充実を見れば、その流れは今の政治を変えて、

直接民主主義へ向かわせているように思えてならない。そう考えて

いるだけでも空しさを忘れて何だか気分がスッキリしてきた。


                           (おわり)