仮題「心なき身にもあわれは知られけり」(5)

2022-02-27 17:03:15 | 「死ぬことは文化である」

    仮題「心なき身にもあわれは知られけり」

 

        (5)


 今の社会から古(いにしえ)の時代を省みてまちがいを論(あげつら)

うのは過ぎた議論にちがいないが、忘れてならないことは古人の寿命

はわれわれよりもはるかに短かったことである。彼らが生死の境界を

まるで閾(しきい)を跨ぐようにいとも容易く越えてしまうことに驚か

されるが、それは生き死には天のみぞ知ることで執着したところでど

うすることもできなかったからに違いない。さらに、仏教の伝来によ

って仏教的死生観に救いを得て、閾は更に低くなった。

 天武天皇の後の皇位継承を巡る対立は、鸕野皇后がわが子草壁皇子

の皇位を脅かす甥の大津皇子を陰謀によって殺害して憂いを払ったが

、ところがそのわずか3年後になんと愛息草壁皇太子が即位する前に

急逝した。そして草壁皇太子の子軽皇子は幼少だったので鸕野皇后が

仲天皇(なかちすめらみこ)として即位した、持統天皇である。その後

、軽皇太子が持統太政天皇の下で十四歳で即位、文武天皇と称号した

が、彼もまた在位十年二十五歳で病死した。

「まず、天武・持統夫婦がすでに叔父と姪の結婚である。二人の間に

生まれた草壁皇子は、持統女帝の異母妹阿閉(あへ)皇女(元明)と結婚し

たから、甥と叔母とが結ばれたことになる。その子が軽皇子、つまり

文武天皇である。草壁皇子は二十八歳、文武天皇は二十五歳で病死し

た。この二代の早世は、両親が近親だったことと関係があるのではな

かろうか。」(『日本の歴史』三巻【あいつぐ女帝】[近親結婚]より)

 そもそも天皇とは天照大御神より繋がる天孫としての血統こそが存

在理由であるから近親婚が多く、それが皇族に夭逝が多かった一因だ

と言われている。

                         (つづく)


ふたたび「歴史は繰り返されるのか?」

2022-02-26 03:59:06 | 従って、本来の「ブログ」

   ふたたび「歴史は繰り返されるのか?」

 

 かつて2020年6月15日にこのブログに「歴史は繰り返さ

れるのか?」 という記事を書きました。以下はその記事の一部で

す。

『日本が今後どうなっていくのかは国民の最大の関心事に違いない

が、今まさに新型コロナウイルスのパンデミックによって世界中が

活動の自粛を強いられているこの時期と同じように、ちょうど10

0年前にもスペイン風邪のパンデミックが起こって世界中で感染に

よって多くの死者が出た。私はこれまでも何度か今の時代がその時

代と酷似していることを訴えてきましたが、ちょうどその頃はパン

デミックだけではなくて、気候変動がもたらす冷害による凶作にも

見舞われ、さらに関東大地震が起こり、そして世界的な経済恐慌と

、そして第一次世界大戦の最中でもあった。ただ、今はまだ世界大

戦は起こっていないが、しかし米中の対立は戦争前夜の観さえ窺え

る。もしも、歴史は繰り返されるとすれば、そしてまだ戦争だけは

起こっていないとすれば、今はまさに戦争前夜だということになる

。』(以下略)。

 ここにきてロシア軍によるウクライナへの侵攻はそう簡単に収拾

できないように思える。それが「第三次世界大戦」の嚆矢(こうし)

でなければよいのだが。


「あほリズム」(889)(890)(891)

2022-02-24 03:43:59 | アフォリズム(箴言)ではありません

     「あほリズム」

 

      (889)

 

 領土に関して言えば、酷寒のロシアはかねてより南下進出を望

んでいたが、対するウクライナは世界有数の穀倉地帯で、その土

壌は「チェルノゼム」或は「土の皇帝」と呼ばれる肥沃な黒土で、

かつてウクライナを占領したナチス・ドイツは大型ダンプを投入

して「チェルノゼム」をドイツへ持ち去ったほどで、占領国が土

を奪ったなんて前代未聞なので記憶しているが、ウクライナはロ

シアの不毛の領土などいっさい望んでいない。つまり、ロシアに

とってはウクライナ侵攻は失うもののない得ることの大きい戦略

なのだ。

 

       (890)

 

 この戦略は、中国の台湾併合についても一考になる。つまり、

中国共産党は台湾へ侵攻しても台湾政府が中国の領土を取り返す

ことはないだろうと思っている。つまり、失うもののない得るこ

とが大きい併合だと思っている。しかし、かつて蒋介石率いる中

国国民党は「国共内戦」に敗れて台湾へ遁れるまでは中国全土を

支配していたのだ。その台湾政府が中国共産党が支配する中国全

土を捲土重来することがもはや起きるわけがないとは断言できな

い。

 

       (891)

 

 長い目で見れば「民主主義国家 対 独裁国家」の対立は、「エン

トロピーの法則」に従えば、水平化つまり民主化の方へ向かうに

違いない。


「あほリズム」(886)(887)(888)

2022-02-23 05:16:55 | アフォリズム(箴言)ではありません

      「あほリズム」

 

       (886)

 

 ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部の親ロシア派が実効支

配する一部地域を「独立国家」として一方的に承認する大統領令に

署名した。今後はそれらの国からの治安要請を受けてロシア軍が国

境を超えて侵攻することはまず間違いないだろう。そのやり方は中

国共産党が宗主国イギリスとの約束を反古にして香港を併合した時

と同じだ。次は、欧米のプレゼンスが東欧に向けられている機に乗

じて中国共産党による台湾の「ウクライナ化」だろう。いかに米軍

といえどもこの二面侵攻には対応できない。そこで問われるのは、

我が国の対応に違いない。

 

      (887)

 

 中ロによる現状変更の動きは何となく大きな時代の終焉の始まり

のような予感がする。

 

       (888)

 

 全国民への新型コロナワクチン接種の要請が、後になって見れば、

国家総動員法のさきがけだったとならなければいいが。ふたたび「

若者よ!書を棄て、銃を取れ!」が正論として語られる世の中にな

らないように願うばかりだ。