「あほリズム」(344)

2015-07-20 20:32:12 | アフォリズム(箴言)ではありません

 

        「あほリズム」


           (344)

 恥ずかしながらブログに小説のようなものを認める者にとっては、少

なくとも芥川賞を受賞した作品には目を通すべきだと思って、過去には

西村賢太「苦役列車」や田中慎弥「共食い」を図書館のソファーに寝そ

べって「文芸春秋」をへたり読みしたこともあったが、と言うのも、彼

らはそれぞれ受賞会見でおもしろいコメントを残したからで、もしも私

の小説が奇跡的に受賞の栄誉に浴するようなことになれば、その時には

「風俗に行きたいので」「もらっといてやる」とコメントしようと決め

ていたのだが、それに釣られて興味が湧いてそれぞれの作品を読んでみ

たが会見のコメント以上に面白くなかった。それ以来受賞作を読む気に

もならなかったが、今回人気のお笑い芸人の作品が受賞したと聞いて、

さぞや受賞会見では機知に富んだジョークが語られると思いきや、世間

が注目しているそんな「おいしい」機会を与えられたお笑い芸人が、気

の利いたコメントも残さず、ただ恐縮しているだけの姿を見て、「こら

アカンは」と思ったのは多分私だけではないはずだ。笑いを取る絶好の

機会を見逃すお笑い芸人に、芸人の悲哀の機微を捉える観察眼が備わっ

ているとは到底思えない。

                       (おわり)