「カーター・ピーナッツ・ラーメン」
(5)
就農者の青年は、農閑期の間だけ警備員の仕事をしていたが、その
警備会社の社長こそカーター・ピーナッツ協会の会長だった。青年は
そのことを知った上で会長の会社で働いていた。そして、すぐにピー
ナッツ・ラーメンのことを相談すると、会長自身もこれまでに需要を
増やすためにピーナッツを使った様々な6次化への取り組みを考えて
いて、ピーナッツの練り込み麺もすでに製麺所に頼んで試みてはみた
ものの、「どうも上手くいかなかったみたい」と青年は言った。私は、
「君は出来たのにどうしてプロが出来なかったのかね?」と訊くと、
「他人に任せても、多分モチベーションまでは伝わらないんでしょ」
「なるほど」
そこで彼が配合の割合を思考錯誤して作った麺を会長に試食してもら
うと、「美味い!」と言って忽ち乗り気になった。心強い理解者を得
た青年は、さっそくカーター・ピーナッツの栽培を出来る限り増やし
て、秋には収穫したピーナッツで、カーター・ピーナッツ・ラーメン
を甲奴町の特産品として売り出そうと意気込んでいる。
(おわり)
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