「外患」

2009-04-05 10:30:09 | 赤裸の心
 以下の文章は、2009年2月6日の(八十七)章に投稿した

私の記述ですが、小説の本文からかけ離れている為に現在の

記述に差し替えて、削除しました。ところが、事態が切迫して来

ると世間が愈々騒がしいので、2ヶ月前の記載ですが、そのまま

投稿することにしました。表題以外は全くキーを押してません。         

                      ケケロ脱走兵

               

          「外患」  

手持ちぶささからK帯からニュースを見ていると、北朝鮮がミ

サイルの発射準備をしているという記事があった。私はバロック

の言った事が気に為った。彼は紛争が必ず起こると言って山の中

へ疎開したのだ。もし、北朝鮮がミサイルを発射するとすれば、

間違いなく日本を標的にするだろう。何故なら軍隊の有る韓国へ

発射すれば本当の戦争に為ってしまう。北朝鮮も体制崩壊の恐れ

さえ有る戦争までする気は無い筈だ。日本を狙うということはそ

の背後に居るアメリカを挑発する為だ。ミサイルは日本上空を越

え「軍隊の無い」日本を脅す為に太平洋上に落とすだろう。ただ、

彼等は極めてコントロールが悪い。ブラッシュボールの心算が、

狙いが外れてビーンボールに為るかもしれない。それとも、暴投

してアメリカまで行くかもしれない。2年半前には発射して直ぐ

に呆気なく失墜している。 北朝鮮を取り巻く状況は以前に増し

て厳しくなっている。更に中国や世界の経済不況はどの国よりも

北朝鮮に大きな打撃を与えているはずだ。国内の政情不安を抑え

る為に彼等が切れるカードは軍事力しかないのだ。つまり、北朝

鮮が好戦的なのは国内を統制する為なのだ。もしかすると、韓国

の脱北者が北朝鮮へ飛ばすプロパガンダが思いの外大きな影響を

与えたかもしれない。北朝鮮は明らかに苛立っている。グルジア

紛争にしろ、パレスチナのハマスにしろ、切羽詰った弱者が追い

込まれた末に、強者に先制攻撃を仕掛け、呆気なく圧倒的に反撃

されている。まるでかつて経済封鎖を受けて真珠湾を先制攻撃し

た日本のようだ。北朝鮮が何らかの軍事行動を行うとすれば日本

に対してだ。それは日本の軍事力が、経済危機で中国との関係悪

化を避けたいアメリカ軍に頼っているからだ。彼等は、日本を威

嚇してもアメリカは日本の為に直ちに反撃しないと踏んでいる。

今やアメリカのプレゼンスは経済危機によって弱くなり、世界中

で反米国家の動きが能動的になって来た。イランでは人工衛星の

打ち上げに成功させ、イスラエルを取り巻く中東情勢もアメリカ

軍の撤退で激動するだろう。アメリカは国内経済の破綻も重なり

、中東、アフガン、北朝鮮と、紛争の多極化によってプレゼンス

が分散される。北朝鮮は今こそがアメリカを揺さぶる千載一遇の

機会と思っている。アメリカは内憂を抱えて外患にまで拘われな

いのだ。更に中国も北朝鮮の挑発を止めようとしない事にも問題

があるが、中国もアメリカの覇権が弱まることを望んでいるだろう

。ただ、北朝鮮が挑発を繰り返すのは国内の体制批判をかわす

為だ。彼等は現体制維持の為に動いているのだ。それでも、身体

が思い通りにならなくなった軍事オタクの将軍様が、国民から掠め

取って作った軍隊を、自暴自棄になって死ぬ前に一度は試してみ

たいと思わないとも限らない。そうなると、日本は北朝鮮の挑発に

、国民の支持を失った麻生自民党が、こちらも渡りに船とばかりに

支持挽回を狙って自衛権を行使する可能性だってある。閉塞感を

打破する戦闘は国民の鬱積した感情を解き放って、麻生自民党は

支持を回復するかもしれない。もはや自民党政権は北朝鮮の権力

者と同じく、国民の不満を外に向けるしか政権を維持する方法は無

いだろう。そして、その時猶も国民は、社会保険の不正や官僚支配

や派遣制度の問題など、内政の問題を忘れずに居れるだろうか?

つまり為政者はそうやって戦争を利用する。ただ、もう我々は一億玉

砕や一億総懺悔などといった煽動に騙され無いようにしなくてはなら

ない。

                        (おわり)

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