お話ではチューニングが悪くなったとのことだったが、通電した当初は中波は機能していたが暫く
すると音量、感度共に低下した。 FM も辛うじて動作したが米国バンドのままなので改造を要する
それとハムが若干混入しており、ダイアル糸も滑っていた。 この種のラジオの修理、改造に付き
ましてはこちらの ホームページ https://vrc-tezuka.sakura.ne.jp/ からお問い合わせ下さい。
7月12日 先ずは絶縁の劣化が考えられるペーパーコンデンサの交換に取り掛かった。
イヤハヤ可也の数で驚いたが全てのペーパーコンデンサを交換した。
交換後FMでは可也感度、音量も増加したがAMでは殆ど変化が診られなかった。 トラッキング調
整でも殆ど変化は無かったが、IFを調整したところドラスティックに感度が増加した。 ただIFT1の
2次側(下の画像の左側の右上の調整穴)の変化が無く一度分解してみる必要が有りそうだった。
7月13日 今日朝一で通電したところFMは良好だったが、AMは音量、感度とも低く昨日とは大き
く異なっていた。 念の為各真空管のgm(エミッション)を測定してみたがディスクリミネータとAM
の検波をになっている19T8の二極管部(x3)のエミッションがMIni. Valueを可也下回っていた。
しかしAM検波を行っている部分は若干低いだけなので感度、音量低下の原因は真空管では無く
IFT内部のマイカ・コンデンサに問題が在ると想われた。 こうなると作業量は一挙に増加して仕舞
い先にお伝えした金額を超えて仕舞うのでどうするか悩むところだ。 *1940-50年代の米国製ラ
ジオには今回同様IFT内部のマイカ・コンデンサの問題が多く、修理は困難で難航することになる。
7月21日 IFT(中間周波トランス)の修理は1940年代~1950年代の米国製ラジオの修理で最も
難航するが、今回のモデルではAM/FMの両IFTが一つのケースに収まっており更に困難なもの
となる。 上は1'st IFT、下は2'nd IFT で先ずは先日問題が診られた1'st IFTに取り掛かった。
困った構造でコイルは底面のベークライト板で固定されており、このベークライト板を外さないこ
とには内部を診ることは出来ないが、その為には全ての配線を綺麗に外す必要が有る。
何とか取り出したが元々の設計の中に分解することは想定されて無い様想われる。
トライアンドエラーで共振コンデンサを選び1次、2次の共振周波数を約460KHzとした。
1次、2次の両共振回路の特性を見ようとしたがC結合で信号を加えても芳しい結果が得られず
結果としてM結合で好結果を得た。 1次、2次両共振回路が上手く動作した際の画像が下の波
形で、上手く行ったと組み込み動作を診てみた。 感度はドラスティックに増加し上手く行ったと
想い始めた頃から感度が低下し始めた。 何とも解せない これ以降2度分解しIFT単体での動
作を診てみたが問題は診られなかった。 3度目に分解したところで時間切れとなったので続き
は明日取り組むが、次に上手く行かなければ修理は諦めることにしよう。 想定した時間の2倍
以上となって仕舞った。 しかし時間経過で変化しそうな部分は見当たらないのだが?
7月22日 昨日IFTの共振コンデンサを調整した結果、組み込み通電すると短時間良好に機能し
たが数分で感度はガクンと落ちて仕舞った。 何とも原因が分からず不思議だったが、まさかと
は想ったが上の画像のマイカ板(この面はグランド電位)を外した。 ついでに組み込んだ後か
らでは調整が難しくなるのでFM用のIFT (10.7MHz) も調整しておいた。
組み込み祈る思いで電源を入れたが思いが通じたか非常に良好に動作してくれ、最終調整後こち
らで通常受信が困難な文化放送 (JOQR 1,314KHz) が作業台の上で良好に受信出来驚いた。
FMは聴かないとのお話だったが念の為国内バンドに改造した。 局発の周波数を実測したところ
45MHz程で驚いたがどうも2倍の高調波を使っている様だった。 (12BE6で80MHz辺りを発振させ
るのは無理が有るのかも知れない) 駄目元で発振周波数を70MHz台にしてみたが良好だった。
最後にダイアル機構を診てみたが部分的に動きがスムーズでは無かった。
バリコンのシャフトも重かったが、もう一つの原因は上の画像に見られる様ドライブ・シャフトえの巻
き付け方が逆で下の様に直した結果スムーズに動き始めた。
イヤハヤ真空管ラジオでこれ程時間を費やすとは考えていなかったが良い勉強になった!