並四の動作がイマイチだったので仕舞い込んであった局型123号を引張出した。 随分と前に分解
だけして仕舞い込んであった物だが先ずは回路図を探してみよう。この種のラジオの修理、改造
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底板(内側)に貼られたラベルには(旧タイガー電機) 戸根無線株式會社、製作年月 18 XX とある。
東芝製の電解蓄電器の静電容量 (6-4 50-5) μF の意味が不明。 電解コンデンサとしては10μF/50V、
4μF/250V、6μF/250V、10μF/150V(x2) の4種、合計5つが使われるハズだが上の画像の物はどの部
分を担当しているのか?
その後このコンデンサに4、6μF/250Vと*5μF/50Vが含まれていることが分かった。(*10μF/50Vの代替)
12月27日 配線を終え動作を確認してみたが思いの外高周波増幅での発振が気になった。
再生量と高周波増幅のバイアス調整のコツが分かって来て可成り安定して受信出来る様になった。 アンテ
ナ・コイルのタップの切換で可成り感度が上がり、先日の並四と比較すると音量も十分だった。
文字が読み難くて恐縮ですが前面左下に 放送局型受信機之証 12305 のデカールが貼られている。
12月28日 高周波段での発振が気になり出力側のコイルを逆にしてみたが大きな変化は診られなかった。
1月2日 先日動作し始めた時の状態と比べると若干音量が減った感じがしたので電源電圧を確かめてみた。
記憶では当初電源電圧は180V程で倍電圧整流回路としては電圧が低いが古い整流管ではこれ位で仕方無
いのだろうと考えていたが、今日計った値は約130Vと最早倍電圧整流回路では無くなっていた。 倍電圧整
流管 24ZK2 のエミッションを確認してはいないが、この間で可也エミッションが低下した様想われるので不本
意ながらシリコンダイオードをパラに接続してみた。 電源電圧は一挙に260V近くとなり、動作は大きく変わっ
たがどうも高周波段での発振が色々と悪さをしている様で想った様な動きが得られない。再生検波回路を発
振の手前で止めたとしても高周波段での発振が有るとどうも上手く機能しない。 サテ高周波段はシールドも
無く、特に配線に問題が在るとも想えないのだがサテどうしたものか?
1月3日 高周波段の出力側のコイルを90°回転させ配線を極力短くした。 試みにアンテナ・コイルの高周
波増幅のグリッドにオシロのプローブを当て発振を確認していた時に比較的安定して受信出来ることが分
かった。 これがプローブの抵抗成分に依るものなのか、容量成分に依るものか不明だったので、代わりに
4.7MΩを付けてみたが変化は無く、どうも容量成分で片方の共振点が変わり発振し難くなった様だった。
サテ、アンテナ或いは出力側のコイルをシールドしてみる位しか思い付かないが一体この機種は本来高周
波段での発振無しに使われていたのだろうか? 高周波段での発振と、再生検波での発振が重なると1Hz
程度の周期での低周波発振となる。
1月5日 何とも動作が腑に落ちないことを伝えたMさんが自作のスイープ・ゼネレータを携え今日来てくれた。
残念ながらこれといった進展は見られなかったがアンテナ・コイルのQが想定外に低く、それを近年のダストコ
ア入りのコイルに交換してみたが大きな変化は見られなかった。 Mさんも同一機種(多分正規型)を持ってい
てそのモデルでは高周波段での発振は診られず、またカソード・バイアスの調整もスムーズにかつリニアに変
化するとのお話だった。 Mさんが帰った後、念の為に真空管のgmを測定してみた。 結果 12YV1は約1,770
μmho、12YR1は約1,190μmhoと問題は無く、次いで12ZP1に移ったがヒーターが点灯せず、チューブチェッ
カーに挿したまま少し前後に動かしてみたが一瞬ヒーターが明るく点灯し、嫌な予感がしたがそれが的中して
仕舞いヒーターは見事に断線していた。 サテ12ZP1の予備は在ったか? 明日一番で探し、また回路も確認
してみよう。 *改めてシャーシー内部の画像を見てみたがカソード・バイアスに誤配線が在った!
1月6日 上はMさんがお作りになったスイープ・ゼネレータでの高周波特性、一応単峰特性を示している。
幸い12ZP1の予備は見付かり回路の改造(誤配線の修正)に取り掛かった。
改造後は高周波増幅もシムーズに変化し、昨日トリマーを回しても殆ど変化の無かったアンテナ側の共振回
路も変化する様になった。 何よりこれまで一応信号は在る様としか感じられなかった文化放送も良好に受信
出来これなら十分実用となるレベルだった。 Mさんの我が家の物はスムーズに高周波増幅が変化すると云
う一言がきっかけとなった。