今日北海道のHさんからお預かりしたのは Philco, Predicta G4242L Holiday でネットオークショ
ンで落札された物とのお話だった。 この種のテレビの修理、改造のご依頼はこちらのホームペー
ジ http://vrc-tezuka.sakura.ne.jp/ にお願い致します。
脚の部分はメッキに出すとのことで外してお送り頂いた。
先ずは電源回路が繋がっているか確認してみたが導通無し。 次いでCRTのヒーターを確認してみ
たがこちらは問題無し。 (良かった!)
電源スイッチ/音量調整のツマミはオリジナルでは無く非純正。
側面に本来無ければならないツマミ3個は1個しか付いていなかった。 自分で持っていたオリジ
ナルのツマミは見付かるか?
シャーシを取り出してみたがホコリで抵抗やコンデンサの値が読めない。
シャーシの内側は左程ホコリは無かった。
電源が入らなかったので回路を追ったが電源スイッチが先ず壊れていた。
仕方なくスイッチ部分をジャンパーした。
一応電源は入る様になった。 どうも少し暗いとピントが合わない!
ただ高圧が出る所までは行かなかったので自分で持っている姉妹機種のシャーシを使った。
(CRTがもし死んでいればレストアする意味が無いのでまずCRTの確認に取り掛かった)
輝度が十分とは言えないが一応ラスターが出た。
この機種に診られるCRT前面のカバーの白濁が顕著なので動き始めたら前面部分を分解しよう。
1月12日 側面の金具も出来たらメッキしたいとのご希望が有ったので外した。
伺ったメッキ屋さんに発送した。
1月13日 昨日一部コンデンサを交換した。 不足していたコンデンサを朝一で部品屋さんを訪ね
購入して来た。
1月14日 購入したコンデンサを組み込んだが回路が可笑しい(下の回路図に赤く印を付けた部分が
断線していた)このモデルのプリント基板のパターンが切れていたのは初めてとなった(嫌な予感)
一応ペーパーコンデンサ略全てを交換した(容量を確認した1個は交換せず)。
ヒーター回路に入っている巻き線抵抗が一部断線していた。 帰路部品屋さんに寄ろう。
1月15日 昨日買って来たセメント抵抗を組み込んだ。
一部可成りヒーターが明るい真空管が有りヒーター定格が間違っているのかと想ったが正しかった
何とか高圧が出る様になりCRTにラスターが出た。
当初輝度調整が出来なかったが暫くして調整が出来る様になりまた輝度がガクンと上がった。
ただ 3Ch の RF 信号を加えたが先ず音声が全く出ず、映像も辛うじて受信している感じだった。
道のりは未だ可成り遠そうだった!
気になったので全ての真空管の gm やエミッションを測定してみたが特に問題は診られなかった。
1月19日 コロナ以前は毎週の様にクラブメンバーの一人 M さんに起こし頂き色々な物の修理をお
手伝い頂いた。 彼は永年測定器の開発を手掛けていたのでアナログ、デジタル両方の回路に精通
していて大変助かっていたがコロナで外出を自粛され永らくお越し頂けなかったが今回お願いした
結果久し振りにお越し頂けることになった。 昨日までの画像にならない状況では何としても拙い
と考え現状をオシロで確認したが結果水平偏向周波数が10KHz程しか無くここを調整した結果上の
画像が得られた。 この後 M さんと回路を追い、どうも電源の電解コンデンサを交換した方が良さ
そうと交換した結果可成り前進はしたが未だ幾つもの問題が残っている。
画像がピンボケなのは前面のカバーの問題でここは改善出来るが、その前にチューナーの接点不良
が可成りで、ここが後年のターレット・チューナーなら接点の接触不良は直ぐに払拭出来るがロー
タリー・タイプなので簡単には行かない。 また垂直出力管のソケット部分でも可成り接触不良が
診られた。 そして垂直同期のレベルが低く同期が不安定なことも簡単には解決出来そうに無い。
いやはや道のりは可成り遠そう!
1月21日 垂直偏向用 10DE7 のソケットの接触が不安定だったので各受けの部分を修正した。
先日電解コンデンサを殆ど交換した。(1月20日 古いコンデンサに新しい物をパラに接続したが
これが問題を引き起こした。 内部から異音がして調べたところ古いコンデンサが発熱していた)
ロータリーチューナーの接点部分を診てみた。 ターレットタイプなら簡単なのだが。
思い切って M さんから提案の有った垂直の積分回路を作り交換してみるか。
M さんからのアドバイスに従い垂直同期の積分回路を作った。
どうせならと音声回路の真空管3本を新品に換えた。 ところが通電してみたがラスターの輝度が
下がって仕舞い内部から怪しげな音が聴こえた。
1月22日 昨日からCRTの輝度がガクンと低下して仕舞った。 チューナーの修理は上手く行った
様だったが今日も略一日取り組んだが好結果は得られずガックリ落ち込んで仕舞った。
1月23日 CRT 周りの電圧を確認すべくソケットと CRT 用コネクタのピン番号を調べた。
カソードにはビデオ信号が加わっているので変動が有るが略 0.3~115V (輝度最小)、G1 は垂直
の輝線消去信号が加わっているだけなので略 0V、G2 は 375V、G4(フォーカス)は 0V だった。
この条件下で CRT は殆ど発光せず、残念ながら CRT その物の問題と想われる。
1月24日 理論的に考えて CRT が殆ど発光せず、また輝度調整が出来ないのが CRT 内部での
問題としか考えられないので自分で持っている姉妹機種の CRT で最終確認を行った。
予想通り自分の物では良好に発光した(100V動作なのでサイズは小さい)。
1月25日 昨日、残念ながら諦めるかとご依頼主にも長いメールを送った。 無論何とも悔しく何か
見落としは無かったかズット考えていたが今朝一点閃いたことが有り、早速朝一で確認した。
カソード 7番ピンとソケットの導通を診てみた。 想像通り導通は無くソケット側が開いて仕舞った
のかどうかは未だ未確認だが 7番ピンに別のビニール線を巻き付け映像信号を加えた。
良好に発光した! イヤハヤ何とも単純な問題だった。
ただ垂直/水平両同期には問題が在り M さんの助けを借りよう。
1月27日 今日の午後は M さんが手伝いに来て呉れるのでその前に一部の真空管を交換し、動作を診
ることにした。 水平の安定コイルを調整して水平同期の変化具合を診てみようとしたが変化が無い。
以前回路が内部で切れていると想像したが実際はそうでは無く安定コイルが断線していた。
仕方無く古いビクターのテレビから外そうとしたが基板に半田付けされており途中で諦めた。
安定コイルのインダクタンスは3,900pFとの組み合わせで 33mHと可成り大きく駄目元でマイクロ
TV の物を外し加えてみたが共振周波数は未確認。
しかし以前垂直振幅は十分だったが可成り小さい(垂直偏向用の 10DE7 は新品)。
撮影した画像では同期の不安定さは見えないが可成り不安定だった。 しかし参った!