今日お預かりしたのはB&O(Bang and Olufsen)のMaster 41K (Klangbund)で輸送中の
問題が無いか先ず診させて頂いた。 この種のラジオの修理、改造に付きましてはこち
らのホームページからお問い合わせ下さい。
スピーカーは下に落ち、コーンの一部が破けていた。 また真空管UCL11のベースのキー
が割れており、他に整流管UY11が欠落していた。
バラストランプ?と想われるランプ(左端)も断線していた。
UCL11はキーの部分が壊れているだけで無くヒーターも断線していた。 因みにラインナップは
UCH11-UBF11-UCL11-UM4(マジック・アイ)-UY11の5球。
画像からは見難いが前面のガラスパネルの一部が割れていた。
全て部品はオリジナルの様なのでコンデンサ類の交換が必要と想われる。 真空管はオリジナル
の物は入手が困難だが似た物でならレストア可能だがこの辺りをご依頼主に伺ってみよう。 しか
し可也の金額となりそうだ。
修理のゴーサインを頂いたので早速断線していたUCL11を探してみた、幸いベルギーの業者が
Telefunkenの未使用の物を持っていたので発注し、欠落していたUY11の在庫も問い合わせて
みた。 両方共在れば真空管の問題は無くなる(他の2本UCH11とUBF11が生きていればだが)。
11月21日 先ずはキャビネット(スピーカー取り付け部分)の補修を行い、破れていた
スピーカーのコーンも補修した。
導通の無かったUCL11が本当に断線しているのかベースを外し確かめてみた。 何と導通
が有った。 諦めないで良かった!
再度ベースを付け、半田付けを行ったがまたしても導通が無く、再度ピンの部分を補修し
好結果を得た。 抵抗は約103Ωで、この真空管のヒーター定格は60V/100mA。
頭部からは殆どヒーターの点灯具合が確認出来ないが下から覗き込む形で何とか見えた。
【上】5極管部は6V6のパラメータを使い高いgmを確認出来た。 【下】3極管部は6C5の
パラメータより若干バイアスを浅くするとマアマアのgmを確認出来た。
11月22日 今日はコンデンサ類の交換に取り掛かり、ペーパーコン30個、ケミコン1個を交換
した、イヤハヤ何ともコンデンサを多用したモデルだ。 電源部のケミコンは未だ診て無い。
11月23日 今日は電源のケミコンに取り掛かった。 5本のリードの個々の説明は無く、黒が
ネガティブとの記載しか無かったが赤2本が16μF、残りの青が32μFと想像した。
実測値は赤の片方が0.5μF程、もう片方は短絡していた。 青は約4μF程だった。 ところが32μF
が何処に使われているのかが分らない。 電源電圧を設定するセレクタの所に繋がっているのは
分ったが、電源電圧の設定と32μFが何とも結び付かない。 またグランドがコモンで無ければ考
えられるのだが? (回路図が有れば何のことは無いのだが)
シャーシの後面に在る電源電圧設定用プラグと電圧を記したラベルだが110V~250Vと下の110V
~50Hzと125V~50Hzの違いが分らない。 上の5つはDC/ACどちらでも可と云うことなのか?
16μFは22μFで置き換え、サテ整流管UY11の入手を待ってから先に進むか? ダイオードで代用
させるか? 画像をアップし忘れたがこの機種にはバラスト・ランプ(チューブ)とパイロット・ランプ
が使われているがそれらの定格が断線している為分らない。 真空管5本のヒーター電圧の合計
は163Vなので90V程を他で消費しなければならないが、多分その内の60V程をバラスト・ランプ(チ
ューブ)、残りを抵抗で消費させているのでは無いかと想像する。 バラスト・チューブの方はOS
RAMのURDOX U2410-P、 パイロット・ランプはPhilips 8012T と記されていた。
いやはやインターネット様々でOSRAM、 U2410Pは24V/0.1AのバラストチューブでPhilipsの
8012Tは18V/0.2Aのランプだった。 比較的近い物を秋葉原で購入して来た。 しかしこの手
の特殊電球を扱ってくれているT電気さんの存在は大きい。
11月25日 昨日手に入れた電球2種をバラスト・チューブとパイロット・ランプに使い
一応回路を組んでみた。
整流管(ダイオードで代用)のプレートに電圧が加わって無い。上の画像に在る2+3Pinのコネク
タにオート・トランスが入り、110V-125V~入力の場合+B電圧用に電源電圧を昇圧するのでは
無いかと想像したが先ずは昇圧せずに動作させてみた。 しかし50Hzと記された設定以外にも
110Vが用意されておりそのままの110Vが印加されていた訳なので昇圧トランスでは無いのか
も知れない。 回路図さえあればこの辺りのことで悩むことは無いのだが!
マア十分と感じられる感度/音量が得られ一安心! 後は細かい部分の調整に取り掛かろう。
11月26日 整流管UY11の部分はこの真空管が手に入った際直ぐに交換出来る様
表からピンを挿す方法で対応した。 電源は100Vでも全く問題無く良好に動作した。