何年前か、またどの様にしてヤリトリが始まったのか定かでは無いが、多分20年程前にドイツ
の真空管コレクターから第二次世界大戦中に連合軍(英空軍)を窮地に追い込んだ射撃照準
用レーダー、ウルツブルグ用の真空管一式を譲って貰った。 ご存知の方も多いと想うがこの
ウルツブルグを日本無線で複製するまでには、遥々ドイツから潜水艦で図面を運び苦労の末
終戦間際に試作機が何とか完成し、久我山の高射砲陣地に配備されたものの実戦には殆ど
使われなかったと聞いている。 サテ、このコレクター(近日中に名前を調べるつもり)からは
当時の板極管始め多くの貴重な真空管を譲って貰ったが、その中の2本がARCOTRON 201
と 301(頭頂部が赤く塗られている)で、見付かったら再生式のラジオでも作ってみようと考え
ていたが何処に仕舞い込んだか永らく分からずにいたが今日ヒョンナところから201だけが見
付かった。
頭頂部が赤く塗られた ARCOTRON 301 も何処かに仕舞い込んであるハズだが、今回この真空管
を紹介するのは非常に特殊だからで、何故ならグリッドを持たない3極管なのであります。
無理無理云うなら外部電界制御型3極管と云うべきか、スプレーシールドの様に管の外壁に塗られ
た導電塗料で構成された電極を制御に使っている。 1930年頃開発され実際にこれらを使ったラジ
オも製造されたが湿度の影響を受け易く短命に終わった様だが、他のメーカーでも同様の物が作ら
れ Philips ではC101、C102、また Valvo ではMW125と命名されている。 何れもVf:1.0V、 If:0.25A、
Va:150V、 Ia max.:0.5mA サテ、再生式のラジオは陽の目を見るか?
上はドイツのコレクターから譲って貰った時の状態そのまま。 本来外側を覆っている導電塗料
はもう少し下まで塗られているのでは無いかと想う。
1月1日 ARCOTRONを使った実際のラジオの回路を探してみた。 最も多く作られたのでは無い
かと想われたのはTelefunken の1930年製4球再生式 12W で再生検波にARCOTRON 301、低周
波の1段目にARCOTRON 201が使われていた。 出来れば近日中に回路図をここにアップしたい。
ARCOTRONのことを最初に知ったのはARC (Antique Radio Classified) の記事だと想い、数十冊
探してみたが結局今日は見付からなかった。
1月2日 元々のデータは3MB近く有るため直接貼り付けることが出来なかったので一度プリント
アウトした物を撮影してアップしました。 原理図?でC、Rの値、電圧等は添えられていません。
上は内部構造を記した物で、フィラメントが管壁に寄せてある。
1月3日 結局手許にあったARC (Antique Radio Classified)150冊程を確認してみたがARCOTRON
関連の記事が見付からず、次いでOTB (The Old Timere's Bulletin) に取り掛かった。
ヤット見付かったのは OTB の Vol.35 No.1 (Feb.1994) p24-25 の Ludwell Sibley 氏の記事 Grid-
less Tubes-The ARCOTRON だが記憶に有るものとは一寸違う気がする。 確かTelefunken 12W
のイラストが在ったと記憶しているがサテ何処か他にARCを仕舞い込んだか?
OTB を調べながら上の画像が気になった。 Welsh Peanut tube (1923) と呼ばれているこの真空
管も external grid なので今回のARCOTRON と同様の構造と云える。
帰路通勤の電車内で上の記事に目を通したが、ARCOTRON は Weagant の特許を基にしている
こと等多くのことが分かった。 一度これらを纏めた記事にしAWC の会報に載せることにしよう。