二台目はSONY, 8-301Jで以前同社のHPに世界初のトランジスタテレビと謳われていたのでPhilco
Safariの話をして先方も納得してくれ、どの様な説明なら問題無いかと聞かれて仕舞い、直視型8イ
ンチなら世界初と云えるとお話し現在に至っている。 サテ、荷物が届きそのダンボール箱の大きさ
に驚かされた。 優に昭和30年代の14インチ白黒テレビが入りそうなサイズで仕舞うのに苦労した。
この種のテレビの修理、改造に付きましてはこちらの HP http://www2.odn.ne.jp/~cac55760/ から
お問い合わせ下さい。
電源コードが含まれておらずこちらの物を使って通電してみた。 一応ラスターは出たが高圧は少
し低い様だった。 同期も取れず、映像増幅も殆ど動作して無い様だったが寧ろ当然とも云える。
チャンネル・セレクタにもファイン・チューニングつまみにも問題が診られた。
可也難航することが想像出来るがご予算を伺って無いのでそれを伺ってから先に進もう。
10月28日 ゴーサインを頂いたのでレストアに取り掛かった。
コンデンサや半固定抵抗の一部が交換されており、垂直出力のトランジスタ(2SB147等)もモトロ
ーラの2N4903に交換されていた。
水平出力のトランジスタ2SC41も2N3055に交換されていた。 これらのことから修理が試みられ
たのはそう昔のことでは無さそうだった。 まずはコンデンサ類を交換してみよう。
IF基板内の電解コンデンサ、3個の表面は可也腐食していて数値が読めなかった。
音声IF、検波、低周波/映像 増幅、同期分離等が含まれる基板。 二つに表面の腐食が診られた。
左上の電解コンデンサは傷みが酷く全く文字が読めない。 8-301の回路図はアチコチで見るこ
とが出来るのだが8-301Jのそれは見た事が無く、多分8-301Wの回路図を見れば良いのだろう
が何処かに仕舞い込んでいる様で、仕方無く自分の8-301Jの基板を見て10μF/100WVと分か
った。
水平/垂直発振、出力の基板。 電解コンデンサに表面の腐食は診られなかったが垂直振幅が少
なかったことから容量抜けの可能性大。 キャラメル型のコンデンサも絶縁劣化が想像出来る。
サテ今日はここで時間切れとなったので明日通電してみよう。
10月29日 通電した結果高圧が放電している様だったので高圧を下げるべくコンデンサを水平出
力に加えてみたが変化は診られなかった。 難航することが想像出来たので先ずは資料を探した。
放電はグロー放電の様だったが、どこでどの様に放電しているのかが見えず、部屋を真っ暗にして
みる必要がありそうだった。 しかしこの放電がノイズを発生させているので止め無ければならない。
10月30日 グロー放電が何処で発生しているのかを見極めるのは困難なので以前レストアした類
似機種の基板を探してみた。 見付かった左の物はメモに依ると2007年10月22日に手掛けた物。
垂直直線性には若干問題は有るがラスターは良好だった。
CRTのアノードでの電圧を実測してみたが約5.38KVだった。 因みに今回の物の電圧は約7.3KV
だった。 水平偏向の周波数が高い可能性が有る。
オシロに表示された周波数は約9.81KHzだった。 これをH,Freq.で15.75KHz程度に調整した。
アノード電圧は5.31KV程に下がり放電は収まった。
一応画像が確認出来る様になったが映像増幅の周波数特性に問題が有り、また水平同期が不完
全で道のりは未だ可也遠そうだった。
表示サイズが大き過ぎたのでサイズ調整用の0.02μFを外したので、表示サイズも適当になり輝
度も上がった。
10月31日 今日も午後の殆どをこの機種関連の作業に費やしたがどうも負のスパイラルに陥って
仕舞った様でことごとく拙い結果しか得られなかった。 どうも水平同期が上手く取れないのは先
日来のグロー放電に起因しているのでは無いかと想われた。 放電に伴う音が聴こえなくなったこ
とから放電が収まったと考えたのは誤りで、周波数が上がった為に放電音が聴こえなくなった可
能性が有る。 これは1m程の所に在るラジオに可也ノイズが混入することから判明した。 一度
頭を冷やすことにしよう。 しかし今日は念の為作製したRF モジュレータも動作が芳しく無く、映
像信号の確認に永らく使って来たSONYの小型カラーテレビも夕方壊れて仕舞った!
11月1日 水平出力のトランジスタが 2N3055 に替えられているのが気になって交換してみた。
手元に在った5-303用の予備基板から本来のトランジスタ 2SC41 を外したが足が短か過ぎた。
仕方無く8-301用の予備基板から2SC41を外したが結果差は診られず元に戻した。
基板のグランドの配線をやり直し、パターン面を覆っているシールド板も付けた結果放電はヤット収
まった様でラジオにノイズは混入しなくなった。 ただ映像に診られるリンギングは大きく道は遠い。
11月2日 今日は放送用ビデオ測定器の設計を永らく手掛けていたMさんに手伝って貰い大きく進
展した。 この数日何かビデオ関連でつまづくことが多かったが、その原因がこのところ使っている
DVDプレーヤの垂直同期信号にあることをMさんが先ず見付けてくれた。
それならとテスト用パターン・ゼネレータの信号を映像増幅回路に直接加えてみた。
次いで垂直同期に問題は有るもののDVD信号を同様加えてみた。 画質は断然良くなった。
表示サイズが大き過ぎるのでこの後、高圧を若干上げた。 画質は実用レベルとなった。
しかし今回参照した Photofact の8-301W (1962年7月)用の回路図には間違いが幾つか見られ
た。 8-301と比べるとマイナーチェンジがアチコチに見られたが原則同様の回路で各部の電圧
や波形に大きな違いは無いハズなのだが、今日手掛けた範囲でも映像検波の電圧が8-301で
は1Vp-pとなっているが、8-301Wでは0.03V(30mV)p-pとなっていた。 *実測値は約0.5Vp-p
また検波後の極性も同期信号が一番高い電位となっており真逆だった。 一体どうしたのか?
11月3日 VIFを含む高周波系の特性が気になったので念の為に診てみた。 上の画像に診られ
るピークも気になったがそれ以上に受信周波数が大きくズレていた。
調整中の画像だがマーカーは95.0-96.5-97.25-99.0-101.75MHzの5周波数を加えた。
調整後のRF入力、調整前に比べれば格段に良好となったが未だ実用とするには水平同期が不足。
11月4日 手元のDVDプレーヤもVTRも問題が有る様なので今日は本体の改造後、地デジ・チューナ
ーの出力を使って動作を確認した。 十分実用となる画質、及び安定度が得られた。
11月9日 電源コードと信号入力コードを用意し再組み立てを終え、最終試験を行った。