今日お預かりしたのはデンマークBang & OlufsenのMaster 38で今回で2台目となる4球の
長波、中波、短波x2の4バンドラジオです。 ラインナップはCK1-CF3-CBL1-CY1で、検波
出力をいきなり出力管に入力する今となっては可也乱暴な回路と云えそうです。 殆どオリ
ジナルのままの様ですのでコンデンサ類の劣化が考えられ、また真空管も可也くたびれて
いる可能性が有りそうです。 この種のラジオの修理に付きましてはこちらのホームページ
からお問い合わせ下さい。
5月12日 昨日ザット診させて頂き考えられる修理費の概算をお知らせした結果GOサインを
頂いたので本格的なレストアに取り組んだ。 既に70年が経過しており無理も無いが、先ず
電源コードが短絡していた。 次ぎに2回路の電源スイッチ(トグル・スイッチ)に問題が見付
かり仮にジャンパーで接続し先に進んだ。 電源電圧に合わせジャンパーを変えているがこ
の部分での接触不良も一箇所見付かった(見た目問題は無さそうだったが電気的には繋が
ってなかった)。
この後いよいよコンデンサ類の交換に取り掛ったがこの20年以内に交換されたと想われる2個
を除き全て交換したのが下の画像に在る27個で小は100pFの物もペーパーコンデンサなのに
は驚かされる。 *この機種の場合、シャーシーが深く、一部の物の交換は容易では無い。
サテ、十分な感度、音量とは云えないが動作しだしたのでグラついている周波数変換用の
真空管CK1のベース内部を確認するのはリスクが高くサテどうするか! 先ずはトラッキング、
IF等の調整を明日にも試みてみよう。 それとサイズが特別なパイロットもどうするかご依頼主
に伺ってみよう。
【下の画像】最後のペーパーコンデンサ(50pF)を交換し、また断線していた巻線抵抗にセメント
抵抗を添えトラッキング調整に臨んだ。 最も重要と想われる中波の感度は可也上がり、長波も
良好だったが短波2バンドが殆ど動作しない。 中波を連続運転してみたがバンド切替後雑音が
出ることが有り数度ガチャガチャと動かすと直る。 つまりバンド切換えスイッチの接点に問題が
有るのは明白だがこの機種のバンド切替スイッチ部分を外すのは至難の技だがどうするか?
もっとも一度良好に動作した後は今日の試験中(2時間)問題無く動作してくれた。
5月14日 周波数変換CK1の底部がぐらついているので接着剤で固定しながら電源スイッチ
の修理に取り掛った。 別のトグルスイッチえの交換を考えていたがその前に駄目元で修理
を試みた結果幸い好結果が得られ一安心。 また別の問題として中間周波増幅のCF3のシ
ールドの問題が浮かび上がった。 通常真空管の外側に導電塗料を塗りこれをグランドに落
としシールド(スプレーシールド)としているが、どうもスプレーシールドとグランド(2番?ピン)
が繋がって無い様で頭部に在るg1に接続する為のグリッド・キャップ(外側がグランドに落と
されている)が上手く定位置に無いとグランドから浮き発振することが分った。
5月15日 秋葉原に袋打ちコードとパイロットランプ探しに出掛けた。 電線関係の専門店を合
計5軒回り、3軒目のO電気でも工場で既に製造を止めて仕舞ったと聞いた。 ただ道の向こう
で見た事が有るとのことで中央通りの東側を探して見た。 4軒目には袋打ちコードは無かった
がペンダントコードが目に止りデザイン的にも気に入ったので3mの黒の物を買った。 念の為
5軒目を当ってみたところなるほど赤+白と黒+白の袋打ちコードが置かれていた。 午後仕事
場に着きCF3のグリッドキャップの不具合を直し(上の画像が修理前、下が修理後)、電源コ
ードを作り、パイロット・ランプを取り付けて完成とした。 前回に比べ可也手間取って仕舞った
がご依頼主のところでも良好に動いてくれることを祈るばかりだ。
5月27日 先日修理して左程時間が経って無いが、先頃通電して20分程で爆発が起こり煙も
出たとのことで再度お送り頂いた。 先日修理した際、電源入力に並列に入れられていたコン
デンサ0.01μFが耐圧5,000Vだったので交換せず、また電源のケミコンもこの20年以内に交換
された物の様だったのでそのままとしたのが問題だったのかと想像したが届いた物にはその
気配は見られなかった。 ただ下の画像に見られる様、電源入力部分の高周波チョークのコー
ルド側が激しく発熱した形跡が見られ、また断線していた。 この状態に至った原因が想いつ
かないがこのチョークをパスし、またヒューズを追加した。 *欧米の物にはヒューズが装備
されて無い物が多い。 修理後2時間運転してみたが問題は見られなかったので終わりとした。