今日お預かりしたのは30年程前にパリのノミの市で購入されたと伺った Thomson-Houston
の電話機でその時の店主の話では 1930年頃の物と聞いたとのお話だった。 この種の電話機の
修理、改造のご依頼はこちらの HP https://vrc-tezuka.sakura.ne.jp/ にお願い致します。
想像だが製造は 1920年代初頭では無いかと想う。
裏面に在る押しボタン (S) の目的が不明。
心配した受話器は幸い断線しておらず良好に機能した。
受話器の奥に送話器が在り正面では無くホーン状の筒の奥なので音圧は下がる様な気もするが?
次いで送話器単体での動作を診たがこちらも大きな問題は無さそうだった(時に抵抗が小さいが)。
組込まれているのか心配したインダクション(ハイブリッド)コイルにも断線は診られなかった。
フックスイッチも良好そうだった。
回路図が無く略同年代の米国 W.E. の電話機の回路を参考にした。 一応動作するのでは無いかと
ご依頼主に電話をしてみた。 先方の声は問題無く聴こえたが、こちらの声が聴こえ無かった。
送話器単体では特に問題は無かったが何故か? 少し頭を冷やそう。 回路図が欲しい!
7月13日 回路図が入手出来無いだろうかとパリ在住の友人 Jerome にメールを送った。 結果彼
が所属している古い技術のフォーラム https://forum.retrotechnique.org/t/recherche-schema
-telephone-thomson-houston-annees-1920/94698 に掲出してくれたが何せフランス語なので
意味は半分も分からない。 ただ S と記されたボタンはどうもミュートスイッチの様だった。
また電話に詳しい方から French PTT の 24 或いは後の U43 の回路に近いのでは無いかとのこと
でこれらの回路をネットで探し 20枚程プリントアウトした。
7月16日 結局これまでに今回の電話機の回路に可成り近そうと云うものは見付からなかった。
こうなると少しずつ回路を追うしかない。 送話器が何としても回路内に無い様だった。
回路を追った結果送話器の片端は CM に繋がっていたがこの CM は何処にも繋がっていなかった。
Bornes et signification :
- L1, L2 : Points de connexion de la ligne téléphonique. Il n'y a pas de polarité privilégiée (pas de "+" ni de "-").
- ZM : pôle négatif de la pile microphonique dans les postes à batterie locale (électrode en Zinc de la pile Microphone).
- CM : pôle positif de la pile microphonique (électrode en Cuivre de la pile Microphone).
- ZS : pôle négatif de la pile destinée à la génération d'appel dans les postes sans magnéto (électrode en Zinc de la pile Sonnerie).
- CS : pôle positif de la pile d'appel (électrode en Cuivre de la pile Sonnerie).
- S1, S2 : Points de connexion de la sonnerie externe.
帰路通勤の電車内で先日ネットからDLしたフランスの1930年頃の資料に目を通していた時に気に
なる技術資料を見付けた。何処にも繋がって無い CM は送話器用電池のプラスで、隣の ZM がマ
イナスとのことだった。因みに ZS と CS はベル用電池。明日早速実験してみよう、しかし疲れた!
7月17日 送話器用の電池を加えた。 側音(自分の話す声)は受話器から聴こえたのでこれで行け
そうとご依頼主に電話してみたが残念ながらこちらの声は聴こえないとのことだった。 何故か?
実は回線に流れる電流をモニターする為トランスを挿入し送話器の動作を確認した。 若干歪んで
はいたが音声も確実にモニター出来たので間違い無いハズなのだが残念ながらここまでとした。