インターネットオークションに出品していた ICR-100 が落札されたが先頃修理でお預かりし
た ICR-100, ICR-120 等が修理後間もなく可笑しくなったことが有り、数日間動作試験を行っ
た上で納めることにした。 昨日動作を確かめながら音声の歪みが気になりスピーカーを交
換した。 その後も連続試験を夜まで続け仕事場を後にした。
9月29日 午後、仕事場に着きスイッチを入れたが何故か動作しない。 症状からはどうも局
発が動作して無い様で、再度中身を取り出したところ動作し始め、ヤレヤレと組み込んだが
またしても動作しない。 サテ、お納めしてから問題が見付るよりはこちらに在る内に問題
が見付って良かったのだが この機種等この時期の IC ラジオは基板を取り出したり組み込ん
だりするだけで1日分寿命が縮む気がする。 サテ、原因は何処に!
9月30日 昨夜帰宅を遅らせ局発部分を細かく診てみた。 目視では問題は見られず、また
電気的にも可笑しな部分は見当らなかった。 基板にストレスを加えると症状が出る様なの
でストレスを掛けながら調べヤット見付ったのが (上の画像でパターンが最も狭くなってい
る) 局発用トランジスタのエミッタ回路で画像中央より少し上に非常に狭いクラックが見付
った。 因みにこの部分の基板の幅は 1mm、パターンは約 0.5mm幅となる。ここを繋ぎ上手
く動作し出しヤレヤレと帰宅したが、今朝再度通電したところまたもや動作しない。サテ局
発(周波数変換)用のトランジスタは先日交換したばかりで問題は無いハズだが念の為交換
したが変化無し。こうなると残るはベースとアンテナコイル (2次側) 間に入っている PFB 用
0.01μFの劣化しか考えられずパターン面に 0.047μFを外付けしてみた。 結果良好に動作し出
し既に半日程を経過したので部品面の 0.01μFを交換し引き続き動作を確かめてみよう。 昭
和 20年代末頃のセラミック コンデンサには絶縁不良を起こしたり、導通して仕舞う物も時
々見られたが、外した 0.01μFに問題は全く見られなかった。 兎に角兎に角交換しその後も
運転を続けたが今日のところは問題は起きなかった。
10月1日 午後 4時間連続試験を行い電池の端子電圧も 2.12Vまで下がったが問題無く動作し
ていたので明日再度(祈りながら)組み込んでみよう。
10月2日 昨日の連続試験で殆ど放電して仕舞った電池を今日は 6時間掛け充電し 2.62Vま
で上昇したところで試験を開始しようとしたがまたもや動作しない。局発のエミッタのパス
コン、ベースバイアス用抵抗、試験中切れて仕舞ったアンテナコイルの交換、バリコンの交
換と考えられる物は全て試みたが変化無し。 サテこうなると最早打つ手は無く (局発用の発
振トランスの交換は事実上無理なので) 諦めるしか無いかも知れない。 しかしどっと疲れた!
10月3日 昼過ぎ仕事場に着きスイッチを ON した。 問題無く動作する ?? 一体どうした
ことなのか? 何か見えない力に翻弄されている様な気がする。 ただ AVC の利きが悪く 歪
みも多い気がするがこれらは局発とは無関係なのでどうもこの固体 (基板) を使うのは無理
がありそうと想い始めた。
10月4日 気を取り直し他の基板での動作を確かめてみた。 1台目は AF は動作するものの IF
が動作せずICに問題が在りそうなので諦め、2台目に取り組んだところ先日の症状と同様局発
のエミッタ回路がオープンになっていたのでそこを直した結果上手く動作して呉れたので連
続試験を始めた。 これまでのところ AVC も、歪みの点にも問題はないが先ずは何日か様子
を見てみよう。
10月5日 今日は長時間のランニングに備え単三2本でブースター電源を作り電源をパラにし
た。 またフルボリュームで動作させる為に12cm程度のスピーカーもパラに繋ぎ約 7時間の
連続試験を行った。 この間問題無く動作していたが一点電源投入時徐々に音量が増すのが
解せなかった。 サテ明日は込み込んでみるか またしても寿命が縮む気がする!
10月7日 昨日、今日と格闘し好結果を得られたが、昨日新たに充電器に問題が見付かり接
点部分の細かい調整に難航したが以前買っておいたステンレス用の半田が役に立ってくれた。
しかしこれまで20台以上この機種を手掛けて来たが今回程梃子摺ったことは無く一つには視
力の低下が作業に影響しているのかも知れない!
10月10日 今回はアレコレ梃子摺った結果修理費に換算すると落札価格の優に倍となって仕
舞ったが結果喜んで頂けたので救われた。 しかし初期の IC ラジオは恐い!